ベグ[1]学名Beg)は、モンゴル化石が発見された前期白亜紀角竜類に属する恐竜。タイプ種Beg tseのみを含む単型の属であり、化石は部分的な頭蓋骨と非常に断片的な体骨格が知られている。既知の範囲内で最も基盤的な新角竜類である[2]

ベグ
ホロタイプ標本の頭蓋骨
地質時代
前期白亜紀アプチアンあるいは後期白亜紀セノマニアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 周飾頭亜目 Marginocephalia
下目 : 角竜類 Ceratopia
: ベグ属 Beg
学名
Beg
Yu et al.2020
タイプ種
Beg tse
Yu et al.2020

発見と命名

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ホロタイプ標本IGM 100/3652は2015年にモンゴルのウムヌゴビ県Tsogt-Ovoo付近で発見された。産出した地層はバインシレ層の下位層であるUlaanoosh層 (enであり、その上部層の最下部から産出した可能性が高い。この層準は特に前期白亜紀後期白亜紀の境界に近く、年代は約1億1300万年前から約9400万年前と見積もられている[2]

学名はモンゴルの文化において戦争を司るヒマラヤの神格ベグツェ英語版に由来する。ベグツェは粗い顔や体で描写されることがしばしばあり、本属の保存された頭蓋骨の外見と類似する[2]

特徴

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後側から見た頭蓋骨

長さ約40センチメートルの頭蓋骨の大きさに基づき、ベグはインロンリヤオケラトプスと同程度の中型角竜であった可能性が高いとされる。本属は基盤的な角竜と他の新角竜類との中間的な特徴を示しており、系統学的にもそれらの中間に位置する。頭蓋骨以外の化石要素としては、断片的ではあるものの1本の肋骨・部分的な左肩甲骨・部分的な右坐骨および同定不能の多数の骨片が得られている[2]

古環境

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ベグはモンゴル南部に分布するUlaanoosh層 (enで化石が産出した。同層からは竜脚類カメ、およびParafaveoloolithus sp.に分類された恐竜の卵化石が知られている[2]

出典

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  1. ^ こんな恐竜知っている? どの図鑑にも載っていない最新の恐竜たちを図鑑MOVEが解説!”. 講談社の動く図鑑move. 講談社 (2024年3月14日). 2024年6月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e Yu, Congyu; Prieto-Marquez, Albert; Chinzorig, Tsogtbaatar; Badamkhatan, Zorigt; Norell, Mark (2020-09-10). “A neoceratopsian dinosaur from the early Cretaceous of Mongolia and the early evolution of ceratopsia” (英語). Communications Biology 3 (1): 499. doi:10.1038/s42003-020-01222-7. ISSN 2399-3642. PMC 7484756. PMID 32913206. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7484756/.