p を0でない実数とする。正の実数 x1, ... , xn に対して指数 p のヘルダー平均は次で定義される[2]:
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p = 0 のときは、幾何平均(指数が0に向かうときの極限)で定義する。
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さらに、重み wi (正の数のセット。ただし )に対して重み付きヘルダー平均は次で定義される:
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重みを考えない平均は、すべての重みを wi = 1/n としたものに相当する。
n = 2、a = x1 = M∞, b = x2 = M−∞の場合の図示。 調和平均、H = M−1(a, b),
幾何平均、G = M0(a, b)
算術平均、A = M1(a, b)
二乗平均、Q = M2(a, b)
いくつかの特定の p の値に対しては、特別の名前が付けられている[3]。
- 最小値
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- 調和平均
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- 幾何平均
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- 算術平均
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- 二乗平均平方根
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- 立方平均
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- 最大値
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の証明 (幾何平均)
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指数関数を使ってMp の定義式を書き変える。
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p → 0 の極限で指数関数の引数にロピタルの定理を適用する。分子と分母をそれぞれ p で微分することで
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を得る(重み wj の合計が必ず1になることを利用した)。指数関数の連続性により上の関係を代入し直して
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を得る[2]。
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および の証明
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(必要なら添え字を付けなおすなどして) と仮定する。すると
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を得る。 については
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より導出できる。
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ヘルダー平均は次の性質をもつ[1]:
- 引数 x1, ... , xn の最小値と最大値の間にある。
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- 引数に対して対称である。つまり引数を並べ替えてもその値を変えない。引数の置換演算子を P とすると次式で表される:
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- 他の平均と同様、引数 x1, ... , xn に対して斉次である。つまり b を正の実数として次式が成り立つ:
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- 準算術平均(英語版)と同様に、平均の計算は同じサイズのサブブロックの計算に分割できる。これにより、必要に応じて分割統治法を使用して平均を計算できる。
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一般に -∞ ≤ p < q ≤ +∞ ならば
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である。また2つの平均が等しいのは x1 = x2 = ⋯ = xn のとき、かつそのときに限る。これはイェンセンの不等式より、任意の実数 p に対して
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が成り立つためである。
特に p = -1, 0, 1 の場合を考えると、この不等式は調和平均 ≤ 幾何平均 ≤ 相加平均
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を意味する。
ヘルダー平均より非線形移動平均が導かれる。これは小さい p の場合には小さい信号値を強調し、大きい p の場合は大きい信号値を強調する。移動算術平均の効率的な実装である smooth
が使えるならば、次のHaskellコードに従って移動ヘルダー平均を実装できる。
powerSmooth :: Floating a => ([a] -> [a]) -> a -> [a] -> [a]
powerSmooth smooth p = map (** recip p) . smooth . map (**p)
ヘルダー平均はさらに一般化 f-平均(英語版)に一般化できる。
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この式は f(x) = log x とすれば、極限を使うことなく幾何平均も表すことができる。ヘルダー平均は f(x) = xp とすることで得られる。
- ^ a b Sýkora, Stanislav (2009). Mathematical means and averages: basic properties. 3. Stan’s Library: Castano Primo, Italy. doi:10.3247/SL3Math09.001
- ^ a b P. S. Bullen: Handbook of Means and Their Inequalities. Dordrecht, Netherlands: Kluwer, 2003, pp. 175-177
- ^ Weisstein, Eric W. "Power Mean". mathworld.wolfram.com (英語). (retrieved 2019-08-17)