ブレーメン形 (Typ Bremen) は、超低床路面電車の形式の1つ。

ブレーメン市 GT8N

概説

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ドイツのメーカー・MAN GHHが、1990年に試作車を発表し(ブレーメン市に納車)、1993年より量産を開始した。

左右独立車輪の採用により台車部分を含む客室床面の全面の超低床化を実現し、100%超低床路面電車の普及に貢献した。製造会社が幾度も変わっており、現在はボンバルディア・トランスポーテーション(Bombardier Transportation)が製造している。

メーカから正式な愛称を与えられていないため、最初に投入された都市ブレーメンにちなんだ Typ Bremen 以外に、製造会社にちなんだ Typ MAN/AEG、Typ AEG などいくつかの呼び方がある。「ブレーメン形」を指してGTシリーズと呼んでいる事例もあるが、これは適切ではない。GTはGelenkTriebwagen(連接の自走可能車)を意味し、ドイツの他のメーカの車両にも広く使われている一般的な車両形式名である。

AEGとABBの鉄道部門が経営統合してアドトランツが設立された際に、それまでの超低床路面電車モデル(ブレーメン形、ユーロトラムバリオバーン)を形式統合する試みが行われ、新しいモデルとしてインチェントロを開発した(ユーロトラムバリオバーンの様にフローティング車体を採用)。しかしブレーメン形も新型車体化して継続生産されたため、車両形式の統合どころか、かえって形式が増えてしまうことになった。

ボンバルディア社がアドトランツ社を引き継いだ後は、ブレーメン形は、公式の製品カタログからは外されたが、新潟トランシスによる製造が続いた。ユーロトラムインチェントロは、フレキシティ・アウトルックシリーズに含まれる形で製品カタログに残されている。

製造会社の変遷

  • 1990 MAN Gutehoffnungshutte Schienenverkehrstechnik AG
  • 1993 AEG Schienenfahrzeuge Nahverkehr & Wagen GmbH (車体の製造・組み立てはLHBが担当)
  • 1996 ABB Daimler-Benz Transportation AG (Adtranz)
  • 1999 DaimlerChrysler Rail Systems GmbH (ADtranz)
  • 2001 Bombardier Transportation

基本仕様

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全ての車体に2軸台車を一つずつ装備した特徴の連接構造をとり、フローティング車体は使用していない(シーメンスの新設計であるコンビーノ・プラスもこの特徴を持つ)。2車体連接から4車体連接までの製造実績がある。

そして左右独立車輪の採用により台車部分の低床化を実現しており、この部分の床面高さは360(一部車両は350)mm、ドア付近では300mmとなっている。各車体の中央に台車を持つため、客用扉は各車体の側面に向かって左側に寄せて取り付けられており、一方の先頭車体のみ2扉となっている。扉は両開きのプラグドアである。主電動機は各車体に1台ずつ装荷しており、片側はそのまま平歯車で、反対側には床下のねじり軸を介して駆動している。車体装架カルダン駆動方式の変形である。

車両形式

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ブレーメン形の車両形式は,ドイツの標準的形式名の法則(→GTシリーズ)に従って決められている。

諸元

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以下の諸元は過去の実績に基づく標準的な数値。

  • 車体幅 : 2300mm / 2350mm /2400mm
  • 全長
    • 先頭部車体 : 8950mm / 9100mm / 9250mm
    • 中間車体 : 8600mm
  • 車体高 : 3290mm
  • 床面高さ : 360mm(ドア付近300mm)
  • ドア
    • 幅 : 1250mm
    • ドア高さ : 1850 / 2000mm
  • 軌間 : 1000mm / 1067mm / 1435mm
  • 架線電圧 : 600V / 750V
  • 最高速度 : 70km/h
  • 制御装置 : GTOまたはIGBTによるVVVFインバータ制御
  • 主電動機
    • 定格出力 : 80kW / 84kW / 100kW / 120kW

導入都市

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ドイツの都市

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都市 形式 編成 運転台 軌間 両数 備考・参考
アウクスブルク
(アウクスブルク市電)
GT6M 3車体連接車 片運転台 1,000mm 1両 試作車[1][2]
GT6M 3車体連接車 片運転台 1,000mm 11両 2023年以降ザグレブ市電へ譲渡[注釈 1][1][2][3][4]
ベルリン
(ベルリン市電)
GT6N 3車体連接車 片運転台 1,435mm 105両 詳細は「ベルリン市電GT6N形電車」を参照[1]
GT6N-ZR 3車体連接車 両運転台 45両 詳細は「ベルリン市電GT6N形電車」を参照[1]
ブラウンシュヴァイク
(ブラウンシュヴァイク市電)
NFGT6-S1100 3車体連接車 片運転台 1,100mm 12両 [5]
ブレーメン
(ブレーメン市電)
GT6N 3車体連接車 片運転台 1,435mm 1両 試作車
1999年ノーショーピング市電スウェーデン語版へ譲渡
詳細は「ブレーメン市電GT6N形電車」を参照[5][6][7]
GT8N 4車体連接車 片運転台 78両 詳細は「ブレーメン市電GT6N形電車」を参照[5][6][7]
フランクフルト (オーダー)
(フランクフルト(オーダー)市電)
GT6M 3車体連接車 片運転台 1,000mm 8両 [5]
イェーナ
(イェーナ市電)
GT6M-ZR 3車体連接車 両運転台 1,000mm 33両 10両はウッチ市電へ譲渡予定[8][9][10]
マインツ
(マインツ市電)
GT6M-ZR 3車体連接車 両運転台 1,000mm 16両 [8][11]
ミュンヘン
(ミュンヘン市電)
R1.1 3車体連接車 片運転台 1,435mm 3両 試作車
1999年にノーショーピング市電へ譲渡
詳細は「ミュンヘン市電R形電車」を参照[8][6]
R2.2 3車体連接車 片運転台 70両 詳細は「ミュンヘン市電R形電車」を参照[8]
R3.3 4車体連接車 片運転台 20両 詳細は「ミュンヘン市電R形電車」を参照[8]
ニュルンベルク
(ニュルンベルク市電)
GT6N 3車体連接車 片運転台 1,435mm 14両 詳細は「ブレーメン形 (ニュルンベルク市電)」を参照[6][12]
GT8N 4車体連接車 片運転台 26両 詳細は「ブレーメン形 (ニュルンベルク市電)」を参照[6][12]
ツヴィッカウ
(ツヴィッカウ市電)
GT6M 3車体連接車 片運転台 1,000mm 12両 [6]

日本の都市

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熊本市交通局9700形(GT4N-ZR)
 
熊本市交通局0800形(GT4N-ZR)
 
岡山電気軌道9200形(GT4M-ZR)
  • 投入開始 : 2002年
  • 形式 (車番) : GT4M-ZR (9201,1011,1081)
  • 9201,1011はインチェントロに準じた車体を採用。1081はチャギントンのキャラクターを再現した特装車。
  • 岡山電気軌道9200形電車も参照
 
万葉線MLRV1001形(GT4M-ZR)
  • 投入開始 : 2004年
  • 形式 (車番) : GT4M-ZR (MLRV1001 - 1006)
  • インチェントロに準じた車体を採用。
  • 万葉線MLRV1000形電車も参照
 
富山地方鉄道TLR600形(GT4M-ZR)
 
富山地方鉄道9000形電車(GT4M-ZR)
 
福井鉄道F1000形(GT6M-ZR)
 
えちぜん鉄道L形電車(GT4M-ZR)
 
宇都宮ライトレールHU300形(GT6M-ZR)

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ 計画当初はウッチ市電へ譲渡される予定だった。

出典

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  1. ^ a b c d 服部重敬 2017, p. 46.
  2. ^ a b 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 9」『鉄道ファン』第46巻第8号、交友社、2006年8月1日、158-159頁。 
  3. ^ Libor Hinčica (2022年12月25日). “Místo Helsinek Augsburg. Lodž hodlá pořídit ojeté tramvaje”. Československý Dopravák. 2022年12月29日閲覧。
  4. ^ Michael Levy (2023年8月8日). “Zagreb purchases Augsburg’s GT6M low-floor trams”. Urban Transport Magazine. 2023年8月10日閲覧。
  5. ^ a b c d 服部重敬 2017, p. 47.
  6. ^ a b c d e f 服部重敬 2017, p. 49.
  7. ^ a b 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 7」『鉄道ファン』第46巻第6号、交友社、2006年6月1日、144-145頁。 
  8. ^ a b c d e 服部重敬 2017, p. 48.
  9. ^ Libor Hinčica (2023年9月8日). “Do polské Lodže mají zamířit tramvaje GT6M z německé Jeny”. Československý Dopravák. 2023年9月9日閲覧。
  10. ^ Witold Urbanowicz (2023年8月30日). “Łódź sprowadzi używane tramwaje z Jeny”. Transport Publiczny. 2023年9月9日閲覧。
  11. ^ Stefan Vockrodt. “Variobahnen für die Mainzelbahn”. Strassenbahn Magazin. GeraMond Verlag GmbH. 2022年6月17日閲覧。
  12. ^ a b Technik im Detail”. Verkehrs-Aktiengesellschaft Nürnberg. 2013年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月17日閲覧。

参考資料

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  • 服部重敬「特集 新潟トランシス part4 欧州のGT低床車 世界初の全低床車としての登場から現在まで」『路面電車EX 2017 vol.10』、イカロス出版、2017年10月20日、ISBN 978-4802204231 

外部リンク

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