ブラッド・ブラック

アメリカの野球選手 (1986 - )

ブラッド・ブラックBrad Brach, 1986年4月12日 - )は、アメリカ合衆国ニュージャージー州モンマス郡フリーホールド・タウンシップ英語版出身の元プロ野球選手投手)、野球解説者。右投右打。愛称はB-ラッド[1]

ブラッド・ブラック
Brad Brach
ボルチモア・オリオールズでの現役時代
(2018年4月29日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ニュージャージー州モンマス郡フリーホールド・タウンシップ英語版
生年月日 (1986-04-12) 1986年4月12日(38歳)
身長
体重
6' 6" =約198.1 cm
215 lb =約97.5 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2008年 MLBドラフト42巡目
初出場 2011年8月31日
最終出場 2021年9月8日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴

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プロ入りとパドレス時代

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2008年MLBドラフト42巡目(全体1275位)でサンディエゴ・パドレスから指名され、プロ入り。ドラフトの際には2日目までに指名されなかった時点で指名をほぼ諦めており、最終日に指名の知らせを受けた時は自宅の庭で芝刈りをしていた[2]契約金はわずか1000ドルだった[3]

2011年8月31日のロサンゼルス・ドジャース戦で4番手として登板し、メジャーデビューを果たした[4]。この年は9試合に登板し、防御率は5.00を超えたものの、投球イニング数を上回る11奪三振を記録した。

 
サンディエゴ・パドレスでの現役時代
(2012年9月11日)

2012年故障者リスト入りしたティム・ストーファーに代わって、開幕ロースター入りした[5]。同年は67試合にリリーフ登板してメジャー初勝利を含む2勝を挙げ、防御率も3.00台まで落とすなど飛躍のシーズンを過ごした。また、奪三振の多さも健在であり、奪三振率10.1をマークした。

2013年、登板試合数が半減以下となる33試合だったが、防御率を3.19まで改善した。また、投球イニングと同数の三振31を奪ったものの、メジャーデビュー以来で初めて奪三振率が10.00未満となった。

オリオールズ時代

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2013年11月25日にデビン・ジョーンズとのトレードで、ボルチモア・オリオールズへ移籍した[6]

2014年3月11日にオリオールズと1年契約に合意した[7]。この年は46試合にリリーフ登板し、防御率3.18・7勝(1敗)を記録して再ブレイクを果たした。

2015年は、オリオールズのリリーフ陣の一角として62試合に登板。自身初の防御率3.00未満となる2.72、自己最多の89奪三振を奪った。2011年のデビュー以降の5シーズンで、奪三振率が10.00を超えたのは3度目である。

2016年もリリーフ陣の一角として、開幕からフル回転。前半戦で40試合に登板し、防御率0.91・6勝1敗15ホールド・49.1イニングで58奪三振という驚異的な成績をマーク[8]。この活躍ぶりからオールスターゲームに選出された。その後の調子はやや低下したものの、最終的には自己ベストとなる71試合に登板。いずれも自己ベストの防御率2.05・10勝(4敗)・92奪三振・WHIP1.04という数値を黒くして、抑えザック・ブリットンと共にブルペンを支えた。

2017年はブリットンの故障離脱の間は抑えも務め、67試合に登板。自己ワーストの5敗を喫し、3年ぶりに防御率が3点台となったが、4勝・18セーブとリリーフの一角として存在感を示した。

ブレーブス時代

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2018年7月29日にインターナショナル・ボーナス・プール(海外選手契約金枠)とのトレードで、アトランタ・ブレーブスへ移籍した[9]。オフの10月29日にFAとなった[10]

カブス時代

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2019年2月11日にシカゴ・カブスと1年300万ドル(2020年のミューチュアル・オプション付き)の契約を結んだ[11]。8月3日にDFAとなり[12]、5日に自由契約となった[10]

メッツ時代

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2019年8月8日にニューヨーク・メッツとメジャー契約を結んだ[13]。オフの10月31日にFAとなった[14]が、12月6日に1年85万ドルで再契約した[15]

2021年2月11日にジョナサン・ビヤーの加入に伴ってDFAとなり[16]、16日に自由契約となった[17]

ロイヤルズ時代

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2021年2月22日にカンザスシティ・ロイヤルズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[18]。4月23日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[19]が、翌24日にグレッグ・ホランドがCOVID-19関連の故障者リストから復帰したためDFAとなり[20]、26日にFAとなった[21]

レッズ時代

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2021年5月1日にシンシナティ・レッズとマイナー契約を結び、傘下のAAA級ルイビル・バッツへ配属された[22]。5月21日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[23]。この年はメジャーで35試合に登板したが、9月12日にDFAとなり、16日に自由契約となった[10]

ブレーブス傘下時代

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2022年3月19日にアトランタ・ブレーブスとマイナー契約を結んだ[10]。この年は傘下AAA級グウィネット・ストライパーズで21試合に登板し、3勝1敗3セーブ、防御率4.88の成績を残したが、メジャー昇格の機会はなく、オフの11月8日に自由契約となった[10]

引退後

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2023年6月30日にMASN英語版で古巣オリオールズの野球解説者となった[24]

投球スタイル

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サイドスローに近いスリークォーターで投げる[25]。90 - 94mphフォーシーム、80 - 85マイルのスライダーの2球種がメインで、主に左打者用に82 - 86mphのスプリッターも投げる[26]。三振奪取力が高く、投球イニング以上の奪三振を記録したシーズンが3度ある(2014年度シーズン終了時点)。

被本塁打の多さが欠点であり[25]、特に2012年は66.2イニングで11本を浴びた。

詳細情報

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年度別投手成績

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W
H
I
P
2011 SD 9 0 0 0 0 0 2 0 0 .000 38 7.0 9 0 7 4 1 11 1 0 5 4 5.14 2.29
2012 67 0 0 0 0 2 4 0 15 .333 280 66.2 50 11 33 7 2 75 4 0 28 28 3.78 1.25
2013 33 0 0 0 0 1 0 0 2 1.000 141 31.0 36 3 19 0 0 31 4 0 15 11 3.19 1.77
2014 BAL 46 0 0 0 0 7 1 0 8 .875 254 62.1 48 6 25 1 1 54 2 0 24 22 3.18 1.17
2015 62 0 0 0 0 5 3 1 15 .625 324 79.1 57 7 38 3 0 89 1 0 25 24 2.72 1.20
2016 71 0 0 0 0 10 4 2 24 .714 311 79.0 57 7 25 1 0 92 4 1 23 18 2.05 1.04
2017 67 0 0 0 0 4 5 18 9 .445 275 68.0 51 7 26 1 0 70 4 1 27 24 3.18 1.13
2018 42 0 0 0 0 1 2 11 3 .333 185 39.0 50 4 19 1 0 38 1 0 24 21 4.85 1.77
ATL 27 0 0 0 0 1 2 1 8 .333 104 23.2 22 1 9 1 1 22 2 1 8 4 1.52 1.31
'18計 69 0 0 0 0 2 4 12 11 .333 289 62.2 72 5 28 2 1 60 3 1 32 25 3.59 1.60
2019 CHC 42 0 0 0 0 4 3 0 4 .571 181 39.2 42 3 28 1 1 45 3 0 27 27 6.13 1.76
NYM 16 0 0 0 0 1 1 0 2 .500 61 14.2 15 1 3 1 0 15 0 0 6 6 3.68 1.23
'19計 58 0 0 0 0 5 4 0 6 .556 242 54.1 57 4 31 2 1 60 3 0 33 33 5.47 1.62
2020 14 0 0 0 0 1 0 0 0 1.000 58 12.1 8 2 14 0 1 14 2 0 8 8 5.84 1.78
2021 CIN 35 0 0 0 0 1 2 1 10 .333 139 30.0 30 5 18 2 1 33 2 0 26 21 6.30 1.60
MLB:11年 531 0 0 0 0 38 29 34 100 .567 2351 552.2 475 57 264 23 8 589 30 3 246 218 3.55 1.34
  • 2021年度シーズン終了時

年度別守備成績

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投手(P)












2011 SD 9 0 0 0 0 ----
2012 67 2 6 2 1 .800
2013 33 2 5 0 1 1.000
2014 BAL 46 2 6 3 1 .727
2015 62 3 6 1 1 .900
2016 71 5 4 0 0 1.000
2017 67 7 8 0 2 1.000
2018 42 1 4 1 1 .833
ATL 27 0 2 0 0 1.000
'18計 69 1 6 1 1 .875
2019 CHC 42 4 6 0 1 1.000
NYM 16 1 0 0 0 1.000
'19計 58 5 6 0 1 1.000
2020 14 1 4 0 0 1.000
2021 CIN 35 2 5 2 1 .778
MLB 531 30 56 9 9 .905
  • 2021年度シーズン終了時

記録

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背番号

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  • 58(2011年 - 2013年)
  • 35(2014年 - 2018年7月28日)
  • 46(2018年7月30日 - 同年終了)
  • 29(2019年 - 2020年)
  • 47(2021年)

脚注

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  1. ^ Orioles Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月4日閲覧
  2. ^ Brach fondly recalls his Draft week padres.com
  3. ^ Brad Brach beat long odds to reach Padres' bullpen padres.com
  4. ^ August 31, 2011 San Diego Padres at Los Angeles Dodgers Box Score and Play by Play Baseball-Reference.com
  5. ^ Padres place Tim Stauffer on DL ESPN
  6. ^ Orioles acquire RHP Brad Brach from San Diego” (英語). MLB.com (November 25, 2013). February 25, 2014閲覧。
  7. ^ Orioles agree to terms with 19 players on one year contracts” (英語). MLB.com (March 11, 2014). March 12, 2014閲覧。
  8. ^ Brab Brach 2016 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference.com (英語) . 2016年10月8日閲覧。
  9. ^ Do-Hyoung Park (2018年7月29日). “Braves land righty reliever Brach from O's” (英語). MLB.com. 2018年8月4日閲覧。
  10. ^ a b c d e MLB公式プロフィール参照。2022年11月9日閲覧。
  11. ^ Jordan Bastian (2019年2月11日). “Cubs, reliever Brach complete deal” (英語). MLB.com. 2019年3月13日閲覧。
  12. ^ TC Zencka (2019年8月3日). “Cubs DFA Brad Brach, Activate Cole Hamels” (英語). MLB Trade Rumors. 2019年8月6日閲覧。
  13. ^ Anthony DiComo (2019年8月8日). “Brad Brach joins Mets' bullpen” (英語). MLB.com. 2019年8月9日閲覧。
  14. ^ Thomas Harrigan, Manny Randhawa and Paul Casella (November 8, 2019). “Here are every team's free agents this winter” (English). MLB.com. December 2, 2019閲覧。
  15. ^ Anthony DiComo (2019年12月6日). “Mets re-sign reliever Brach, designate Flexen” (英語). MLB.com. 2019年12月7日閲覧。
  16. ^ Mets Designate Brad Brach For Assignment” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年2月12日閲覧。
  17. ^ Corey Oswalt sent to minors by Mets, Brad Brach released” (英語). Associated Press (2021年2月17日). 2021年2月20日閲覧。
  18. ^ TC Zencka (2021年2月22日). “Royals Sign Brad Brach To Minors Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年3月1日閲覧。
  19. ^ Connor Byrne (2021年4月23日). “Royals Place Greg Holland On IL, Select Brad Brach” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年4月24日閲覧。
  20. ^ Mark Polishuk (2021年4月24日). “Royals Reinstate Greg Holland From IL, Designate Brad Brach” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年4月25日閲覧。
  21. ^ Connor Byrne (2021年4月26日). “Brad Brach Elects Free Agency” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年4月27日閲覧。
  22. ^ Steve Adams (2021年5月6日). “Reds Sign Brad Brach To Minor League Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年5月23日閲覧。
  23. ^ Mark Polishuk (2021年5月21日). “Reds Place Nick Senzel, Wade Miley On 10-Day Injured List” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年5月23日閲覧。
  24. ^ "MASN adds three new broadcasters to its air," Mid-Atlantic Sports Network (MASN), Friday, June 30, 2023. Retrieved June 30, 2023.
  25. ^ a b 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2015』廣済堂出版、2015年、34頁頁。ISBN 978-4-331-51921-9 
  26. ^ Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Player Card: Brad Brach

関連項目

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外部リンク

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