ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ
『ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ』(英: Black Holes and Revelations)は、イギリスのロックバンドであるミューズの4作目のスタジオ・アルバム。2006年7月3日にワーナー・ミュージック・グループから発売。全英アルバムチャート1位。
『ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ』 | ||||
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ミューズ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 2005年10月 – 2006年3月 | |||
ジャンル | ||||
時間 | ||||
レーベル |
ワーナー・ミュージック・グループ![]() ![]() | |||
プロデュース | リッチ・コスティ、ミューズ | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
ゴールドディスク | ||||
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ミューズ アルバム 年表 | ||||
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EANコード | ||||
EAN 5056480322892 |
制作
編集南フランスのシャトーにあるスタジオ「Studio Miraval」で本作の作曲、リハーサルが行われ、前作に引き続きリッチ・コスティがプロデューサーとして加わった[5][6]。レコーディングはニューヨークのエレクトリック・レディ・スタジオや当時マシュー・ベラミーが在住していたイタリアのスタジオなどで行われた[6]。
ベラミーは本作の制作時にDJに関心を持ち、プリンスやスライ&ザ・ファミリー・ストーンを聴いていた[5]。収録曲「スーパーマッシヴ・ブラック・ホール」、「マップ・オブ・ザ・プロブレマティック」はその影響を受けている[5]。
また、アルバム全体を通して新世界秩序、不当な戦争、権力の乱用、陰謀による操作、民衆の反乱といった政治的主張や陰謀論の影響も受けている[7][8]。
ベラミーは主にMansonのカスタム・ギターを使用し、アンプはVOXの「AC30」、マーシャルの「JMP」、アンペグの「V4」を組み合わせて使用[6]。
収録曲「テイク・ア・バウ」では、フィリップ・グラス風のストリングスを導入[6]。なお、プロデューサーのリッチ・コスティはかつてグラスの下でチーフ・エンジニアとして働いていた[6]。コスティは「モーグが主役で、その後ろにオーケストラがいるモーグ・シンフォニーのように考えた」と話している[6]。「シティ・オブ・ディリュージョン」のストリングス・アレンジはイタリアのヴァイオリニストであるマウロ・パガーニによるもの[6]。
「スターライト」についてベーシストのクリス・ウォルステンホルムは、「友達、家族、愛する人など、誰かを恋しく思う気持ちを歌ったラブソング」と話した[9]。
「スーパーマッシヴ・ブラック・ホール」についてベラミーはビートルズやプリンス、カニエ・ウェストに加え、ソウルワックスなどのR&Bのリズムとオルタナティブ・ギターをミックスしたベルギーのバンドに影響を受け[10]、ニューヨークのクラブに踊りに出かけていたことも影響にあると話した[11]。ドラムトラックはベラミーが入手したキックとスネアのサンプルを使用し、前作に引き続きビジュアルプログラミング言語の「Kyma」を使用してサンプルを加工した[6]。
「ナイツ・オブ・サイドニア」はサーフ・ミュージックおよびベラミーの父・ジョージ・ベラミーが所属していたバンドであるトルネイドースの楽曲「テルスター」の影響を受けている[6]。
発売
編集イギリスでは2006年7月3日にワーナー・ミュージック・グループ傘下のミューズのレーベル「Helium-3」から発売。全英アルバムチャートで1位を記録[12]。日本では6月28日にワーナーミュージック・ジャパンから先行発売され、オリコン週間アルバムチャートで11位[13][14]。アメリカではワーナー・レコードから発売され、Billboard 200で9位[15]。
イギリス(BPI)で2024年にクアドラプル・プラチナ、アメリカ(RIAA)で2016年にプラチナ、日本(RIAJ)で2014年にゴールドの認定を受けた[16][17][18]。
批評
編集本作についてアメリカの音楽雑誌「Blender」のDorian Lynskeyは、「1970年代の2枚組アルバムを45分に凝縮したような、流星のような勢いがある」と評した[19]。NMEのAnthony Thorntonは、「馬鹿馬鹿しく、大げさで、野心的で、まったく素晴らしいアルバム」「いずれにせよ、あなたを打ちのめすだろう」と評した[20]。エンターテインメント・ウィークリーのWill Hermesも「陳腐で大げさ」と評しつつも「野心的で非の打ちどころがなく、思わず拳を突き上げるような興奮を誘う」と評した[21]。
ガーディアンのDave Simpsonは、「マシュー・ベラミーは、ロック界で最も滑稽な男になるためのキャンペーンを続けている」「ミューズ拒否を公言している人でも最終的には負けを認めざるを得ないかもしれない」と評した[22]。
本作は2006年のマーキュリー賞にノミネートされる[23]。2007年に出版された『死ぬ前に聴くべき1001枚のアルバム』で紹介され、『クラシック・ロック』が2010年に発表した「過去10年間のプログレッシブ・ロックに欠かせないアルバム10枚」に選ばれる[1]。
音楽雑誌によるランキング
編集収録曲
編集全作詞・作曲: マシュー・ベラミー。 | ||
# | タイトル | 時間 |
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1. | 「テイク・ア・バウ - Take a Bow」 | |
2. | 「スターライト - Starlight」 | |
3. | 「スーパーマッシヴ・ブラック・ホール - Supermassive Black Hole」 | |
4. | 「マップ・オブ・ザ・プロブレマティック - Map of the Problematique」 | |
5. | 「ソルジャーズ・ポエム - Soldier's Poem」 | |
6. | 「インヴィンシブル - Invincible」 | |
7. | 「アサシン - Assassin」 | |
8. | 「エクソ・ポリティクス - Exo-Politics」 | |
9. | 「シティ・オブ・ディリュージョン - City of Delusion」 | |
10. | 「フードゥー - Hoodoo」 | |
11. | 「ナイツ・オブ・サイドニア - Knights of Cydonia」 | |
合計時間: |
日本盤
編集# | タイトル | 時間 |
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12. | 「グロリアス - Glorious」 | |
合計時間: |
最強盤(DVD)
編集- WPZR-30194/95[29]
- スーパーマッシヴ・ブラック・ホール(ビデオ)
- スターライト(ビデオ)
- ナイツ・オブ・サイドニア(ビデオ)
- スーパーマッシヴ・ブラック・ホール(ライヴ・フロム・パリ)
- スターライト(ライヴ・レイザー・パフォーマンス・アット・MTVアウォード)
- ナイツ・オブ・サイドニア(ライヴ・フロム・ロンドン)
シングル
編集脚注
編集- ^ a b Classic Rock, February 2010, Issue 141.
- ^ Perry, Andrew (2006年6月17日). “Muse, Black Holes and Revelations” (英語). The Observer. ISSN 0029-7712 2025年2月5日閲覧。
- ^ Monteiro, Chelsea (2018年11月14日). “Simulation Theory: Muse’s Dayglow Nightmare” (英語). Medium. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Muse: Black Holes and Revelations”. Q (London) (241): 106. (August 2006).
- ^ a b c “Muse : Matt Bellamy interview”. web.archive.org (2007年5月10日). 2025年2月4日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “An Evening With Rich Costey - EMusician”. web.archive.org (2019年3月30日). 2025年2月4日閲覧。
- ^ “Messages from Mars | Rock Roots And Jazz | Music | Arts | Telegraph”. web.archive.org (2007年7月9日). 2025年2月4日閲覧。
- ^ “Muse - Black Holes And Revelations Review from Music Emissions”. web.archive.org (2007年2月12日). 2025年2月4日閲覧。
- ^ “VH1.com : Muse (UK) : Muse Get Stuck At Sea — Without Unicorns — In 'Starlight' Clip - Urge Music Downloads”. web.archive.org (2007年1月8日). 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Supermassive Black Hole”. Rock Mag (65). (2006-03-03).
- ^ NME (2006年3月15日). “Muse reveal all about new album” (英語). NME. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Official Albums Chart on 9/7/2006” (英語). Official Charts. 2025年2月5日閲覧。
- ^ a b “Muse / ミューズ「Black Holes And Revelations / ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ」”. ワーナーミュージック・ジャパン. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ | ミューズ”. ORICON NEWS. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Muse Chart History (Billboard 200)” (英語). Billboard. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Muse – Black Holes and Revelations” (英語). BPI. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Muse – Black Holes and Revelations” (英語). RIAA. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “一般社団法人日本レコード協会 ゴールドディスク認定”. www.riaj.or.jp. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Muse : Black Holes and Revelations Review on Blender :: The Ultimate Guide to Music and More”. web.archive.org (2007年2月17日). 2025年2月5日閲覧。
- ^ NME (2006年6月30日). “Muse: Black Holes & Revelations” (英語). NME. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Black Holes and Revelations | EW.com”. web.archive.org (2016年11月7日). 2025年2月5日閲覧。
- ^ Simpson, Dave (2006年6月30日). “Muse, Black Holes and Revelations” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077 2025年2月5日閲覧。
- ^ “NME.COM - News - Arctic Monkeys win 2006 Mercury Music Prize”. web.archive.org (2006年12月9日). 2025年2月5日閲覧。
- ^ NME (2016年10月10日). “NME's best albums and tracks of 2006” (英語). NME. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Q Magazine Albums Of The Year 2006”. Q Magazine (January 2007 (246)): 126. (2006).
- ^ Schiller, Rebecca (2011年10月6日). “150 Best Tracks Of The Past 15 Years” (英語). NME. 2025年2月5日閲覧。
- ^ Baggs, Michael. “Poll: what is the best Muse single of all time?” (英語). gigwise.com. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Muse ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ”. タワーレコードオンライン. 2025年2月5日閲覧。
- ^ “Muse / ミューズ「Black Holes And Revelations(Japan Tour Edition) / ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ【最強盤】」”. ワーナーミュージック・ジャパン. 2025年2月5日閲覧。
- ^ a b c d e “MUSE” (英語). Official Charts. 2025年1月19日閲覧。
- ^ Martin, Dan (2011年5月21日). “Doctor Who: The Rebel Flesh – Series 32, episode 5” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077 2025年2月5日閲覧。