ブラック・コーヒー
アガサ・クリスティの戯曲
『ブラック・コーヒー』(原題: Black Coffee)は、イギリスの小説家アガサ・クリスティの戯曲。エルキュール・ポアロものの推理劇である。1930年にかつてロンドン北西部にあったスイス・コテージのエンバシー・シアターで初演、翌年同市内ウエスト・エンドのセント・マーチンズ・シアターにて公演。クリスティ作品の戯曲化は1928年に『アクロイド殺し』を原作とした『アリバイ』があるが、クリスティ自身が執筆した戯曲としてはこれが初作品である。1997年にチャールズ・オズボーンによって小説化された。日本語版としては2008年現在、早川書房から戯曲版と小説版の両方が出版されている。
あらすじ
編集科学者のクロード・エイモリー卿は、家族を前にして、探偵のエルキュール・ポアロを家に呼んだと言った。彼は、研究していた新しい原子爆発の方程式が盗まれたと言い、部屋を真っ暗にしておく間に、方程式が入った封筒を返すように勧めた。その後、電気がつき、封筒が机に置かれていたが、クロードは死んでおり、封筒はからだった。
登場人物
編集- エルキュール・ポアロ[1]
- ベルギー人の著名な私立探偵。
- アーサー・ヘイスティングズ大尉[1]
- ポアロの友人(いわゆるワトソン役)。
- クロード・エイモリー卿
- 原子力科学者。60歳位の男性。現代科学界の第一人者[2]であると同時に発明家で特殊な錠の特許を持つ。
- リチャード・エイモリー
- クロードの息子。好感のもてるイギリス人紳士。
- ルシア・エイモリー
- リチャードの妻。イタリア人とイギリス人とのハーフで25歳位の美人女性。
- キャロライン・エイモリー
- クロードの妹。古風だが親切そうな中年女性。
- バーバラ・エイモリー
- クロードの姪。今風の21歳の女性。
- エドワード・レイナー
- クロードの秘書。これといって特徴のない28歳の男性。
- トレッドウェル
- エイモリー家の執事。
- カレリ博士
- エイモリー家の客。イタリア人男性。
- グレアム
- クロードのかかりつけの医師。
- ジャップ警部[1]
- スコットランド・ヤードの警部。
- ジョンソン刑事
- ジャップ警部が連れてきた警官。
構成
編集クロード・エイモリー卿邸の読書室を舞台とする3幕構成。なお、エイモリー邸はロンドンから約25マイル離れたアボット・クレーヴにある。
- 第1幕 - 午後8時30分
- 第2幕 - 翌朝
- 第3幕 - その15分後
書誌情報
編集日本語翻訳版のみ記載する。
戯曲版
編集- 『ブラック・コーヒー』麻田実訳、早川書房(クリスティー文庫)、2004年1月発行、 ISBN 4-15-130065-1 他
小説版
編集- 『ブラック・コーヒー 小説版』中村妙子訳、早川書房(クリスティー文庫)、2004年9月発行、ISBN 4-15-130034-1 他