フーズ・ラスト』(Who's Last)は、イングランドロックバンドザ・フー1984年に発表したライブ・アルバム[1]1982年9月から12月まで北アメリカ大陸で行われたフェアウェル・ツアー[2][3][4]から、アメリカ合衆国で開かれたコンサートの音源を収録した。

『フーズ・ラスト』
ザ・フーライブ・アルバム
リリース
録音 1982年10月10日、10月20日、10月27日、12月14日
アメリカ合衆国の旗ニュージャージー州イーストラザフォード
アメリカ合衆国の旗ワシントン州シアトル
アメリカ合衆国の旗カリフォルニア州サンディエゴ
アメリカ合衆国の旗オハイオ州クリーブランド
ジャンル ロック
時間
レーベル MCAレコード
プロデュース Dave 'Cyrano' Langston
チャート最高順位
アメリカ合衆国の旗81位
イギリスの旗48位
ザ・フー アルバム 年表
The Singles
(1984年)
フーズ・ラスト
(1984年)
The Who Collection
(1985年)
テンプレートを表示

解説

編集

経緯

編集

ザ・フーは1982年9月に10作目の新作アルバム『イッツ・ハード』を発表し、同月10日と11日にイングランドのバーミンガムで母国イギリスでの最後のコンサートを行なった[5]。彼等は引き続いて、同月22日のメリーランド州ランドーバー英語版キャピタル・センター(ランドーバー、メリーランド州)英語版でのコンサートを皮切りにアメリカとカナダでフェアウェル・ツアーを行なった。参加者はメンバー4名と『イッツ・ハード』に参加したアメリカ人キーボーディストのティム・ゴーマン英語版だった。

フェアウェル・ツアーは12月16日と17日にトロントメープル・リーフ・ガーデンズで行なわれたコンサートで幕を閉じ[6]、彼等は1983年に正式に解散した。

内容

編集

本作の17曲の収録曲のうち、13曲は12月14日のオハイオ州クリーブランドリッチフィールド・コロシアム英語版で行なわれたアメリカでの最後のコンサート[6]で収録された。

フェアウェル・ツアーではケニー・ジョーンズ(ドラムス)が加入した後で制作された『フェイス・ダンシズ』(1981年)と『イッツ・ハード』の収録曲も披露されたが、本作に収録された曲は全て前任のキース・ムーンが在籍していた時代のものである。

「ドクター・ジミー」は『四重人格』(1973年)の収録曲で、ムーン在籍時のコンサートではシンセサイザーや金管楽器の演奏を録音したテープが用いられ、メンバー4名がテープの再生音に合わせて演奏した。彼等が同曲をテープを用いずに演奏したのは、このツアーが初めてだった。

「不死身のハードロック」(Long Live Rock)に続く「リプリーズ」(Reprise)は「不死身のハードロック」の最終節をロカビリー風に繰り返したものである[7]

プロデュースを担当したデイヴ・サイ・ラングストン(Dave 'Cyrano' Langston)は1965年4月にローディーとして雇われて以来、長きに渡ってスタッフとしてザ・フーの活動に関与した[8][注釈 1]

収録曲

編集

LP

作詞・作曲の記載がない曲はピート・タウンゼント作である。

録音年月日・会場の記載がない曲は1982年12月14日にオハイオ州クリーブランドのリッチフィールド・コロシアムで収録された。

Side One
#タイトル作詞・作曲録音年月日・場所時間
1.「My Generation」  
2.「I Can't Explain」  
3.「Substitute」 October 27, 1982
Jack Murphy Stadium, San Diego, CA
4.「Behind Blue Eyes」 October 10, 1982
Brendan Byrne Arena, East Rutherford, NJ
5.「Baba O'Riley」  
合計時間:
Side Two
#タイトル作詞・作曲録音年月日・場所時間
1.「Boris the Spider」John Entwistle 
2.「Who Are You」  
3.「Pinball Wizard」  
4.「See Me Feel Me / Listening to You」  
合計時間:
Side Three
#タイトル作詞・作曲録音年月日・場所時間
1.「Love Reign O'er Me」  
2.「Long Live Rock」  
3.「Reprise」  
4.「Won’t Get Fooled Again」  
合計時間:
Side Four
#タイトル作詞・作曲録音年月日・場所時間
1.「Doctor Jimmy」  
2.「Magic Bus」 20 October 1982
Kingdome, Seattle, WA
3.「Summertime Blues」Eddie Cochran, Jerry Capehart20 October 1982
Kingdome, Seattle, WA
4.「Twist and Shout」Phil Medley, Bert Russell 
合計時間:

CD

Disc One
#タイトル作詞・作曲録音年月日・場所時間
1.「My Generation」  
2.「I Can't Explain」  
3.「Substitute」 October 27, 1982
Jack Murphy Stadium, San Diego, CA
4.「Behind Blue Eyes」 October 10, 1982
Brendan Byrne Arena, East Rutherford, NJ
5.「Baba O'Riley」  
6.「Boris the Spider」John Entwistle 
7.「Who Are You」  
8.「Pinball Wizard」  
9.「See Me Feel Me/Listening to You」  
合計時間:
Disc Two
#タイトル作詞・作曲録音年月日・場所時間
1.「Love Reign O'er Me」  
2.「Long Live Rock」  
3.「Reprise」  
4.「Won’t Get Fooled Again」  
5.「Doctor Jimmy」  
6.「Magic Bus」 20 October 1982
Kingdome, Seattle, WA
7.「Summertime Blues」Eddie Cochran, Jerry Capehart20 October 1982
Kingdome, Seattle, WA
8.「Twist and Shout」Phil Medley, Bert Russell 
合計時間:

参加ミュージシャン

編集

関連作品

編集

映像

編集

音源

編集
  • Face Dances
    ボーナストラックとして、1982年10月13日のニューヨーク公演から「クワイエット・ワン」を収録。
  • It's Hard
    ボーナストラックとして、1982年12月17日のトロント公演から「イッツ・ハード」「デンジャラス」「エミネンス・フロント」「クライ・イフ・ユー・ウォント」を収録。

脚注

編集

出典

編集
  1. ^ thewho.com”. 2023年10月16日閲覧。
  2. ^ McMichael & Lyons (2000), pp. 268–273.
  3. ^ Townshend (2013), pp. 359–360.
  4. ^ Daltrey (2018), pp. 194–195.
  5. ^ McMichael & Lyons (2004), pp. 267–268.
  6. ^ a b McMichael & Lyons (2004), p. 273.
  7. ^ Atkins (2000), p. 266.
  8. ^ thewho.com”. 2023年10月20日閲覧。
  9. ^ Discogs.com”. 2023年10月20日閲覧。
  10. ^ thewho.com”. 2023年10月20日閲覧。

注釈

編集
  1. ^ ロジャー・ダルトリーとの共作名義である「アーリー・モーニング・コールド・タクシー」は、実際はラングストンの作品である。

参考文献

編集
  • McMichael, Joe; Lyons, 'Irish' Jack (2004). The Who Concert File. Omnibus Press. ISBN 1-84449-009-2 
  • Townshend, Pete (2013). Who I Am. HarperCollins. ISBN 978-0-00-747916-0 
  • Daltrey, Roger (2018). Thanks a Lot, Mr. Kibblewhite: My Story. St. Martin's Griffin. ISBN 978-1-250-23710-1 
  • Atkins, John (2000). The Who on Record: A Critical History, 1963-1998. McFarland & Company, Inc., Publishers. ISBN 0786406097