フロー: Flow)とは、一定期間内に流れた量をいい、ストック: Stock)とは、ある一時点において貯蔵されている量をいう。フローとストックを対比するのは、主に経済学での用法である。

Dynamic Stock and flow diagram

解説

編集

ストックとフローとは、前者の変化量が後者にあたるという関係にある。たとえばダムに貯まっている水量がストック、これに対してダムから流出したり流入する水量がフローにあたる。

アルフレッド・マーシャルの式M=kPY においては、M(マネーサプライ)はストック、PY(名目GDP)はフローにあたる。kの逆数である貨幣の所得速度が低下することは、ダムの淀んだ水に喩えられることがある。

アーヴィング・フィッシャーは、生産をストックへの追加、消費をストックからの削減と見た上、経済的な福祉をあらわすものはストックの大きさであると考えた[1]。このような考え方は、フローである消費が大であることを経済的な豊かさと見る考え方とは、対立するものである[2]

複式簿記では、期間の損益状況をあらわす損益計算書(収益・費用)がフロー、特定時点での財産状況をあらわす貸借対照表(資産・負債・資本)がストックにあたるものである。

脚注

編集
  1. ^ 岩波経済学小辞典第3版
  2. ^ ちなみに資本ストックの大量減少(たとえば戦争などによる)は、その後の国民所得(フローにあたる)の高成長をもたらすという関係にある(貯蓄率一定の場合)
  3. ^ a b 伊藤元重 『はじめての経済学〈上〉』 日本経済新聞出版社〈日経文庫〉、2004年、62頁。