フリック入力
フリック入力(フリックにゅうりょく、flick input)とは、タッチスクリーン上で指を素早く動かしたり弾いたりして行う操作全般のこと。「フリック」(flick)とは、「素早く動かす、弾く」という意味であり、この場合、指のスライド(弾き)のことを表しており、タッチスクリーン操作全般に用いられる表現だ。タブレットやタッチパネル式の液晶ディスプレイでのスライド操作のことを、単にフリックとも呼ぶ。日本においては主にスマートフォンやタブレットのタッチスクリーンで採用されている、フリックにより行う日本語入力方式。
概要
編集日本語入力方式としてのフリック入力は、テンキー風に配置された各行のあ段(あかさたなはまやらわ)の周囲に、十字型や扇形に他のい段・う段・え段・お段の4段が潜在的に配置されており、あ段のキーを押しつつ目的の文字の方向に指をスライドさせる(弾く)ことで、文字を入力する。従来の「あ段→い段→う段→え段→お段」と、機械式のキーのプッシュを繰り返して入力するトグル入力に比べ、素早い入力が可能になる。その入力効率の高さから、スマートフォンの普及し始めた2010年頃からキーボード離れが加速している[1]。
1998年にApple Newton用に開発された日本語入力システム「Hanabi」[2]が草分けで、2008年にiPhoneに採用されたことで、急速に広まった。日本におけるフリック入力は、発明家でシンガーソングライターの小川コータがiPhone上陸以前に考案し2007年から2015年にかけて特許出願した[3]ものであり、取得した権利はマイクロソフトに譲渡された[4]。
OSの操作に使用されるフリック入力は、2007年1月発売のWindows VistaのHome Basicを除くエディションでペン フリックの名称で採用されている[5]。デフォルトでは上下左右の十字操作で、縦方向がスクロール、横方向がWindows Explorerやブラウザの戻る・進むの動作に割り当てられており、さらに詳細設定で斜め4方向も認識させることが出来、これらにコピー、ペースト、印刷などを割り当てることができる[6]。続く2009年10月発売のWindows 7では名称がWindows タッチ[7]へと変わり、フリックを含む操作も2本指に対応したタッチ ジェスチャと呼ばれ、ズームや回転なども扱えるマルチタッチに進化している[8]。また、スマートフォン向けの組み込みOSでは、Windows Phone 7から対応している。
フリック入力が可能な日本語入力システム
編集- iOS
- Android向けIMEアプリケーション
- Google 日本語入力
- Gboard - Google日本語入力の後継システム
- POBox Touch
- OpenWnn(iWnn)系 - Simeji、OpenWnnフリック入力対応版、OpenWnn plusなど。
- Windows Phone 7.5以降
- ATOK(ATOK for iOS・ATOK for Android)
フリック入力に関連する特許
編集脚注
編集- ^ 若者のキーボード離れ加速 レポート・卒論でフリック入力も
- ^ “Hanabi (特許申請済:特許平10-285333)”. Newton工房. 2023年11月16日閲覧。
- ^ 小川コータ (2020年10月18日). “フリック入力発明秘話”. 発明家ミュージシャン小川コータ. note. 2023年11月16日閲覧。
- ^ 小川コータ (2020年10月20日). “フリック入力を売った話”. 発明家ミュージシャン小川コータ. note. 2023年11月16日閲覧。
- ^ ペン フリックとは
- ^ ペン フリックをカスタマイズする
- ^ Windows タッチ
- ^ タッチ ジェスチャを使用する
- ^ “特許5210471 「文字入力システム」”. J-PlatPat 特許情報プラットフォーム. 文献固定アドレス用結果一覧. 2023年11月27日閲覧。
- ^ “特許4694579 「文字入力システム」”. J-PlatPat 特許情報プラットフォーム. 文献固定アドレス用結果一覧. 2023年11月27日閲覧。
- ^ “特許4907612 「文字入力システム」”. J-PlatPat 特許情報プラットフォーム. 文献固定アドレス用結果一覧. 2023年11月27日閲覧。
- ^ “特許4979100 「文字入力システム」”. J-PlatPat 特許情報プラットフォーム. 文献固定アドレス用結果一覧. 2023年11月27日閲覧。
- ^ “特許4969710 「文字入力システム」”. J-PlatPat 特許情報プラットフォーム. 文献固定アドレス用結果一覧. 2023年11月27日閲覧。