フラニ族
フラニ族[1](フラニぞく)は、北西はモーリタニアから東は中央アフリカまで西アフリカの多くの国に分布する民族。居住地域は主にサヘル地帯に広がっている。
プル族(マリ、ガオ南部) | |
居住地域 | |
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言語 | |
フラニ語 | |
宗教 | |
イスラム教 | |
関連する民族 | |
トゥクロール族、ハウサ族 |
概要
編集ナイジェリアやその他の国で、彼らはフラニ族 (Fulani) と称されるが、彼ら自身はフルベ族(Fulbe, 単数ではプロpullo)と称する。また、その他にもフラ族 (Foulah)、フルフルデ族 (Fulfulde)、プル族 (Peulh、Peul)など様々な呼称がある。遊牧民を起源とし、現在でも牧畜を営む人が多い。バントゥーともベルベル人やアラブ人とも異なる。独特の言語体系を有し、豊富な民話を継承している。また、セネガル川中流域には、彼らと近い民族であるトゥクロール族がいる。
基本的に遊牧民であるが、沿岸ギニア地域の山岳地帯から中部ギニア地域の乾燥サバンナ地帯では、雑穀扱いされるフォニオの栽培を行っている[2]。
他部族等との対立
編集2000年代に入るとナイジェリアのカドゥナ州において、農耕民のキリスト教徒との間で土地利用をめぐる衝突が発生する。しばしば暴力事件に発展し、双方に多数の死者が発生するようになった[3]。また、2015年頃からは、ブルキナファソのフラニ族の居住地域にイスラム系武装組織が進出し、組織への勧誘が行われている[4]。
2018年1月1日、ベヌエ州にて遊牧民らが農家を襲撃する事件が発生し72人が死亡。ベヌエ州知事は、襲撃者をフラニ族と目している[5]。
2019年3月23日、ブルキナファソ国境付近のバンカス圏オゴサグ村にドゴン族が襲撃を掛け、フラニ族の子どもや女性を含む134人以上が殺害された。両者の間では、土地や水の配分を巡り衝突が起きていた[6][7]。
国際キリスト教人権監視機構の調査によると、フラニ族の過激派は「過去数年間でボコ・ハラムよりも多くのキリスト教徒を殺害し、キリスト教徒の農民を追い出している」と報告されている[8]。
会話について
編集フルベ族は、「あなたの夫は、どこに行きましたか」などとは普通言わない。「夫」の代わりに「家の主」とか、「~のお父さん」と言う。そう問えば、妻である女性は、「ある人は、~へ行きました」と答える。ここでは、相手に自分の夫のことを語るのは恥だと考えられているためである。
また同様に、「あなたの長男はきれいですね」などという質問にも、フルベ族の母親は、「私の子は醜い。この汚らしい奴」などと答える。これは、長男のことを語るのは恥であることと、長男の美しさを妬む悪い精霊などが長男にとりつかないようにするためである。
出典
編集- ^ “ボロロ族(ウォダベ族,フラニ族)のゲレウォール祭りの美男子コンクール,等”. 2018年4月27日閲覧。
- ^ 小林裕三「ギニアのフォニオは今」『国際農林業協力』Vol.46 No.1 p.36 公益社団法人国際農林業協働協会 2023年7月31日
- ^ “ナイジェリアの村を武装集団が襲撃、100人殺害”. AFP (フランス通信社). (2014年3月17日) 2014年3月18日閲覧。
- ^ “ブルキナファソで180人集団埋葬 軍関与か”. AFP (2020年7月8日). 2020年7月12日閲覧。
- ^ 遊牧民と農家が衝突、72人死亡 CNN(2018年1月12日)2018年1月12日閲覧。
- ^ “村襲撃、マリで住民100人殺害 子どもや女性も”. 時事通信 (2019年3月24日). 2019年3月24日閲覧。
- ^ “狩猟民が村を襲撃、牧畜民130人以上を殺害”. AFP (2019年3月24日). 2019年3月24日閲覧。
- ^ “バイデン政権、ナイジェリアを信教の自由侵害国から除外 諸団体が相次いで非難声明”. クリスチャントゥデイ. (2021年11月24日) 2021年11月27日閲覧。
参考文献
編集- ジョン・ムウェテ・ムルアカ『アフリカを知るための基礎知識』明石書店、1998年。 ISBN 4-7503-1044-1
関連項目
編集-
アレクシ=マリ・ゴーシェの『プルの戦士』
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同『プルの羊飼い』
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同『プルの女』