トウゴクサバノオ
トウゴクサバノオ(東国鯖の尾、学名:Dichocarpum trachyspermum)は、キンポウゲ科シロカネソウ属の二年草[5][6]。別名、オオヤマシロカネソウ[1]。
トウゴクサバノオ | |||||||||||||||||||||
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福島県浜通り地方 2017年4月
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Dichocarpum trachyspermum (Maxim.) W.T.Wang et P.K.Hsiao[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||
トウゴクサバノオ(東国鯖の尾)[3][4] |
特徴
編集植物体全体に無毛で繊細である。ほとんど発達しない短い根茎があり、根はひげ状になる。茎は高さ5-30cmになり、1株から3-4本が出て斜めに立ち上がり、上部は多少とも分枝する。基部から数個の長い葉柄のある根出葉をだして、3-5小葉からなる鳥足状複葉になり、頂小葉は扇形から広卵形になって、長さ幅は0.5-2cmになる。根出葉の葉柄の基部は、卵形の鞘状になって大きく広がる。茎につく葉は対生し、頂小葉は扇形から広卵形で、長さ幅ともに0.5-2cm、縁はあらい鋸歯縁、基部は円形からくさび形となり、短い葉柄の基部の鞘は合着する[4][6][7]。
花期は4-5月。茎先に径5-10mmの黄白色から黄緑色の花が1-2個、やや垂れ下がって咲く。花柄は細く、長さ0.5-3cmになる。花弁状の萼片は5個で、楕円形で長さ4-8mm、幅2-4mmになり、全開はしない。萼片の内側に小さな花弁が5個あり、花弁の舷部はオレンジ色で幅の広い軍配形、蜜腺があって蜜を分泌し、直立するか内曲し、その柄は黄白色になる。雄蕊は15個ほどあり、長さ3-5mm、葯は白色。雌蕊は2個。果実は袋果で長さ0.9cmになり、基部で2個が合着して広がり魚の尾のように見える。種子は径1mmの球形で、小さな突起があり光沢がない[4][6][7]。
分布と生育環境
編集名前の由来
編集和名のトウゴクサバノオは「東国鯖の尾」の意で、関東地方に生えるサバノオの意味である[4]が、分布は関東地方より西の本州、四国、九州まで分布している[5]。また、サバノオは、花後の果実がT字状になるのを、鯖の尾に見立てたもの[8]。
ギャラリー
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花弁状のものは萼片で、花弁は内側のオレンジ色のもの。
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花は全開しない。
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根出葉の葉柄基部は鞘状になって大きく広がる。
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「鯖の尾」状の果実。
下位分類
編集- フクリンアズマシロカネソウ Dichocarpum trachyspermum (Maxim.) W.T.Wang et P.K.Hsiao f. didymocalyx (H.Ohba) H.Ohba[9] - 9-10個の花弁状萼片が重弁状に配置された、トウゴクサバノオの品種[10][11]。
- 2000年に東京大学総合研究博物館教授の大場秀章によって、アズマシロカネソウの重弁品種として、学名:Dichocarpum nipponicum (Franch.)[12] W.T.Wang et P.K.Hsiao f. didymocalyx H.Ohba と命名記載され、和名は「フクリンアズマシロカネソウ」とされた[10]。その後2003年に、この重弁品種の基本種はアズマシロカネソウではなく、トウゴクサバノオであるとして現在の品種学名に訂正されたが、和名は「フクリントウゴクサバノオ」とは訂正されず、「フクリンアズマシロカネソウ」のままになった[11]。そのためか、2016年に改訂版が出版された『改訂新版 日本の野生植物 2』において、アズマシロカネソウの「八重咲品種をフクリンアズマシロカネソウ f. didymocalyx H.Ohba という」と記載されている[6]。
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トウゴクサバノオの重弁品種「フクリンアズマシロカネソウ」。
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花弁状の萼片が10個あり、重弁状になっている。
脚注
編集- ^ a b トウゴクサバノオ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ トウゴクサバノオ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』pp.224-225
- ^ a b c d e f g 『新牧野日本植物圖鑑』p.132, p.1317
- ^ a b 『日本の固有植物』p.54, p.296
- ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物2』pp.149-151
- ^ a b c 『日本の野生植物 草本II 離弁花類』p.81
- ^ 『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』p.225
- ^ フクリンアズマシロカネソウ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b 大場秀章「アズマシロカネソウの重弁花」『植物研究雑誌 (The Journal of Japanese Botany)』第75巻第6号、植物研究雑誌、2000年、369-370頁、doi:10.51033/jjapbot.75_6_9465。
- ^ a b 大場秀章「シロカネソウ属(キンポウゲ科)品種学名の訂正」『植物研究雑誌 (The Journal of Japanese Botany)』第78巻第2号、植物研究雑誌、2003年、115頁、doi:10.51033/jjapbot.78_2_9655。
- ^ 下線強調は投稿者による。
参考文献
編集- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本II 離弁花類』、1982年、平凡社
- 高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』、2003年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 2』、2016年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- 大場秀章「アズマシロカネソウの重弁花」『植物研究雑誌 (The Journal of Japanese Botany)』第75巻第6号、植物研究雑誌、2000年、369-370頁、doi:10.51033/jjapbot.75_6_9465。
- 大場秀章「シロカネソウ属(キンポウゲ科)品種学名の訂正」『植物研究雑誌 (The Journal of Japanese Botany)』第78巻第2号、植物研究雑誌、2003年、115頁、doi:10.51033/jjapbot.78_2_9655。
外部リンク
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