フォルクスワーゲン・ID.3
ID.3とはフォルクスワーゲンが販売するCセグメントのコンパクトEV車である。
2023年8月現在、日本市場には未導入である。
フォルクスワーゲン・ID.3 | |
---|---|
2023年モデル・前 | |
2023年モデル・後 | |
概要 | |
製造国 |
ドイツ 中国 |
販売期間 | 2020年- |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
駆動方式 | RWD |
プラットフォーム | MEBプラットフォーム |
パワートレイン | |
モーター | 永久磁石交流同期モータ |
サスペンション | |
前 | ストラット式 |
後 | マルチリンク式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,770 mm |
全長 | 4,262 mm |
全幅 | 1,809 mm |
全高 | 1,552 mm |
車両重量 | 1,772-1,935 kg |
概要
編集発表から量産まで
編集2016年のパリサロンにて、電動化と完全自動運転をテーマとしたコンセプトモデル「I.D.コンセプト」が発表された。I.D.コンセプトはフォルクスワーゲンが新開発したEV専用プラットフォーム「モジュラーエレクトリックドライブマトリックス(MEB)」を初採用したコンセプトカーである[1]。
2019年5月に量産プロトタイプが公開され、名称が「ID.3」と発表された。車名の「3」にはビートル・ゴルフに次ぐ第3の革新的モデルになるという意味が込められている。量産モデルは2019年のフランクフルトモーターショーにて発表され、同年11月よりツヴィッカウ工場で量産が開始。2020年7月に欧州で発売された。中国では2021年10月に発売され、中国向けモデルは上汽大衆汽車の安亭工場で量産される[2][3][4][5][6]。
2021年1月からはドレスデンの「ガラスの工場(Die Gläserne Manufaktur)」にて量産が開始された。ここはかつてフェートンの専用工場だった拠点で、2016年のフェートンの生産終了後に一旦閉鎖されたのち、フォルクスワーゲンの電動化とデジタル化戦略をアピールする拠点として改装された[7]。
設計
編集ID.3はEV専用のMEBプラットフォームを初採用した量産モデルである。エクステリアはゴルフと類似したシルエットとしながら、空力的に最適化されたデザインとしている。エンジンが無くなったことでフロントグリルは廃止され、グリルのあった場所には水平のLEDライトが左右一対で備わる。前方投影面積を減らし、床下をフラット化するなどの対策により、Cd値は0.267に抑えられた[3][8]。
インテリアは10インチのセンターディスプレイとステアリング奥の小型のコックピットディスプレイを中心とし、それ以外はボタン類を極力廃止することで、シンプルなデザインとなった。インテリアの素材にはカーボンニュートラルかつ燃費向上のために軽量な原料が選定された[3]。
フェイスリフト
編集2023年4月にフェイスリフトを実施。空力性能と冷却性能の最適化のためにエクステリアデザインが改良され、インテリアのセンターディスプレイは12インチにサイズアップされる。またオプションとしてARヘッドアップディスプレイが選択可能[9]。
また、トラベルアシストとパークアシストプラスという最新のADASもオプションに追加される。トラベルアシストはACCやレーンキープアシストなどが統合された機能で、さらに他のモデルから得られた匿名データを活用して支援能力を向上させることが可能。パークアシストプラスは駐車スペースへ自動駐車する機能で、ドライバーの駐車操作をメモリーし、次回から車両が自動で同じ駐車操作を行う[9]。
-
I.D.コンセプト
-
ガラスの工場
-
インテリア
-
フェイスリフト前
-
フェイスリフト前 (リア)
動力
編集ID.3にはリヤに1基の同期モータが搭載され、後輪を駆動する。リチウムイオンバッテリーの容量はグレードごとに45kWh/58kWh/77kWhから選択される。ただし45kWhバッテリーを搭載するエントリーグレード(Pure performance)は、2021年頃からの半導体不足と販売台数の少なさを理由に2021年8月に受注が停止され、そのままラインナップから外された[10]。
モデル | 販売時期 | 駆動方式 | 最高出力 | 最大トルク | バッテリー容量 | WTLP航続距離 |
---|---|---|---|---|---|---|
Pure performance | 2021/01-2021/08 | RWD | 110 kW(150 PS) | 275 Nm | 45 kWh | 352 km |
Pro | 2020/11-2022/01 | 107 kW(145 PS) | 58 kWh | 426 km | ||
2023/01- | 150 kW(204 PS) | 310 Nm | 429 km | |||
Pro Performance | 2019/11-2022/12 | 426 km | ||||
Pro S | 2020/07-2022/12 | 77 kWh | 553 km | |||
2023/01- | 559 km |
脚注
編集- ^ “ID.–the world premiere” (英語). Volkswagen Newsroom. 2023年8月12日閲覧。
- ^ “VWの次世代EV、車名は『ID.3』に決定…プロトタイプを発表”. Response.. 2023年8月12日閲覧。
- ^ a b c “いよいよ生産が開始されたフォルクスワーゲンの新型EV「ID.3」。その特徴点とは?”. Car Watch. 2023年8月12日閲覧。
- ^ “VWの新型EV『ID.3』、航続は最大550km 7月20日に欧州で受注開始”. Response.. 2023年8月12日閲覧。
- ^ “Volkswagen Officially Introduces ID.3 In China” (英語). INSIDEEVs. 2023年8月12日閲覧。
- ^ “Volkswagen starts pre-production in first plant purely focused on e-mobility in China” (英語). Volkswagen Newsroom. 2023年8月12日閲覧。
- ^ “VW『ID.3』、ドイツの「ガラス張り工場」で生産開始…新世代EVの本拠地に”. Response.. 2023年8月12日閲覧。
- ^ “初テスト 正式発表されたVW ID.3 (EV版ゴルフ)に早速試乗”. Auto Bild Japan. 2023年8月12日閲覧。
- ^ a b “VW『ID.3』改良新型、内外装をアップデート…欧州発表”. Response.. 2023年8月12日閲覧。
- ^ “VW ID.3 vorerst nur noch ab 35.460 Euro bestellbar, Basisversion bis 2022 pausiert” (ドイツ語). ecomento.de. 2023年8月12日閲覧。