フォルクスワーゲン・ターレック

ターレック (英語: Tarek) はフォルクスワーゲンダカール・ラリー参戦を目的に、グループT2規定(当時のスーパープロダクション=プロトタイプや改造車、現在のグループT1)の下に開発した、二輪駆動バギーカーである。

ターレック
カテゴリー FIA グループT2
コンストラクター フォルクスワーゲン
後継 レーストゥアレグ
主要諸元[1]
シャシー マルチチューブラーフレーム
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン式
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン式
全長 4600 mm
全幅 2200 mm
全高 1800 mm
トレッド
1830 mm
1890 mm
ホイールベース 3060 mm
エンジン 1.9 L 直列4気筒 TDI ターボ ミッドシップ
トランスミッション FORTIN 5速 マニュアルHパターン
出力 160 kW / 430 Nm
重量 1180 kg
燃料 205 L
タイヤ BFグッドリッチ
主要成績
ドライバー
テンプレートを表示

概要

編集

2002年11月のエッセンモーターショー英語版にて、フォルクスワーゲンは2003年のダカール・ラリー英語版にこのターレックでワークス参戦することを発表した[2]

背後では四輪駆動フォルクスワーゲン・レーストゥアレグの開発が行われており、ターレックはレーストゥアレグを投入する前に若いチームの習熟を行うための練習機であった[3][4]

車名はアラビア語に由来し「道」という意味を持つ[5]。またフォルクスワーゲン・W12ナルドとのデザインの関連性もあり、「デザート・ナルド」とも呼ばれた[6]

2003年ダカールでステファン・アンラールとユタ・クラインシュミットがそれぞれ総合6-8位、ディーゼル二輪駆動車クラス1-2位フィニッシュを記録した。

翌年以降はレーストゥアレグの登場によりガレージにしまわれていたが、ターレックでチーム1の好成績を収めたにもかかわらず理不尽にもワークスを放出されたベルギーのステファン・アンラールが、2004年ダカールでSMGバギーのトラブルに懲りた後にターレックを購入。ベルギーのアウディ・VWクラブの支援を受けながら、以降彼が運用し続けた[7]。なおアンラールは2000年に自分の一人乗りバギーに載せて、初めてTDIをダカールに持ち込んだ経歴の持ち主であり、自身のチームを運用するのは初めてでは無かった[8]

2005年にはファラオ・ラリーで並み居るワークス四輪駆動勢を破り総合優勝を飾り、2007年ダカールでは総合10位に入った。その後に『フォルクスワーゲン・バギー HRT TDI』の名称で3.0リッターV6ディーゼルエンジンを搭載し、2010年ダカールをディーゼル二輪駆動車クラスで1位完走を果たした。2011〜2012年にはアフリカ・エコレースでも同クラスで優勝している[9]

メカニズム

編集

パイプフレームイタルデザイン・ジウジアーロによる CFRP の外装を持つ後輪駆動のバギーである[10][1][11]。車両重量は1,180kg。

エンジンは最大出力160 kW (218馬力)/4250rpm、最大トルク390Nm/3000rpmを発生する 1.9 L 直列 4 気筒 TDI ターボディーゼルを搭載する[1]

戦績

編集
テレフォニカ・ダカール2003
ドライバー コ・ドライバー ステージ順位[12] 総合順位[12][13] クラス順位[14]
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
 ユタ・クラインシュミット  ファブリツィア・ポンズ 12 64 15 31 10 8 5 6 6 6 66 9 10 33 11 7 3 8 2
 ステファン・アンラール  ボビー・ウィリス 5 15 3 14 6 9 9 9 16 8 12 10 9 8 10 2 5 6 1
  ディーター・デッピング  ヴァルター・バッハフーバー 19 13 8 13 Ret Ret
FIA クロスカントリーラリー・ワールドカップ2003[15]
イベント ドライバー コ・ドライバー 総合順位 クラス順位[16]
イタリアン・バハ 2003[17]  ユタ・クラインシュミット  ファブリツィア・ポンズ 7 2
 ステファン・アンラール  アラン・ロー 4 1

脚注

編集
  1. ^ a b c Technische Daten Volkswagen Tarek” (ドイツ語). フォルクスワーゲン. 2003年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月13日閲覧。
  2. ^ フォルクスワーゲン、2003年パリ・ダカール・ラリーに初参戦』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパンオリジナルの2004年6月13日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20040613013423/http://www.volkswagen.co.jp/news/archive2002/2002-1203d.html2021年10月13日閲覧 
  3. ^ Volkswagen Tarek” (ドイツ語). フォルクスワーゲン. 2002年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月13日閲覧。
  4. ^ Volkswagen Touareg Dakar 2003” (ドイツ語). フォルクスワーゲン. 2003年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月13日閲覧。
  5. ^ 2003 Volkswagen Tarek
  6. ^ DAKAR 2003, UMA PROVA QUE STÉPHANE PETERHANSEL NUNCA ESQUECERÁ
  7. ^ Stéphane Henrard retrouve son bébé
  8. ^ Rallye-Raid - Rallye des Pharaons : Henrard persiste et signe !
  9. ^ VOLKSWAGEN FACTORY TEAM BUGGY FOR SALE
  10. ^ オートスポーツ 897, p. 22.
  11. ^ W12 Nardo als Inspiration” (ドイツ語). フォルクスワーゲン. 2003年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月13日閲覧。
  12. ^ a b 2003 DAKAR RALLY” (英語). 三菱自動車工業株式会社. 2012年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月13日閲覧。
  13. ^ VW ターレック、“パリ・ダカール ラリー”初出場でベスト10に入賞 総合で6位、8位。2WD車の中でも1位、2位を独占』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン。オリジナルの2004年6月12日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20040612170242/http://www.volkswagen.co.jp/news/2003/2003-0120a.html2021年10月13日閲覧 
  14. ^ 二輪駆動車クラス
  15. ^ CCR_Championship”. 2004年2月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月9日閲覧。
  16. ^ 二輪駆動車クラス
  17. ^ VWターレック 2003 FIAクロスカントリー ワールドカップ第一戦でクラス優勝』(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン。オリジナルの2004年6月13日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20040613104219/http://www.volkswagen.co.jp/news/2003/2003-0318a.html2021年10月13日閲覧 

参考文献

編集
  • 中島, 祥和、古賀, 敬介、多賀, まりお、松沼, 猛「今度のパリダカは絶対面白くなる!」『オートスポーツ』第39巻第48号、三栄書房、2002年12月、17-23頁。