教科担任
教科担任制
編集教科担任制(Departmentalized Instruction)は各教師が専門とする教科を分担する教授組織の形態で、学級担任制(Self-Contained Instruction)と対置される[1][2]。
米国
編集米国では教科担任制は18世紀末期のニューイングランド地方で誕生した[2]。しかし、1848年にボストンのクインシーグラマースクール(Bostonʼs Quincy Grammar School)のフィルブリック(Philbrick)校長が「学年制の学校計画(the Graded School Plan)」で学級担任制を導入して米国全土に普及したため小学校では学級担任制が主流となった[2]。
1900年代に入ると、ニューヨーク、シカゴ、セントルイスなどで高学年を中心に再度教科担任制が導入された[2]。以後、教科担任制の導入が増加したが、1930年代から40年代にかけて小学校での学級担任制と教科担任制の提唱者に分かれて激しい論争が展開された[2]。
2000年のNCLB法により学力向上のために教科担任制を再導入する小学校の学区もみられた[2]。
しかし、米国の小学校では一般的に学級担任制が主流であるといわれている[2]。
日本
編集日本では1891年に文部省令第12号「学級編制等二関スル規則」が定められてから、一般に小学校では学級担任制、中学校や高等学校では教科担任制が採用されている[1]。教科担任は、各教科ごとの教員免許状を保有し、その教科を指導する。理科・音楽・体育・図画工作・家庭科・外国語などでは小学校においても教科担任が配置されることがある[3]。このような教科担任は特に専科と呼ばれる[3]。
2022年度からは公立小学校の高学年でも教科担任制が本格的に導入されることになった[4]。
半教科担任制
編集半教科担任制(Semi-Departmentalized Instruction)は米国の一部の学校で採用されており、教師が少なくとも2つのアカデミック教科を担当しており、アカデミック教科では生徒1人につき2~3人の教師が指導に当たる方式をいう[2]。
脚注
編集- ^ a b 助川晃洋「小学校教科担任制導入の経緯と課題」『教育学論叢』第39巻、国士舘大学教育学会、2022年2月、43-52頁、CRID 1050856826654009984、ISSN 0914-5869。
- ^ a b c d e f g h 成松美枝「米国の小学校における教科担任制による教育方法 : 発展経緯と効果の検討」『佐賀大学教育学部研究論文集』第6巻第2号、佐賀大学教育学部、2022年2月、63-73頁、CRID 1390573242518093568、doi:10.34551/00023141、ISSN 24322644。
- ^ a b “資料1ー1 東京都説明資料”. 2022年3月31日閲覧。
- ^ 小学校「教科担任制」モデル校語るメリットと苦労 東洋経済オンライン、2021年10月16日。