ピラゾリン
複素環式化合物の一種
ピラゾリンは、五員環の隣り合った位置に二つの窒素原子を持つ複素環式化合物。化学式はC3H6N2で表され、二重結合の位置により3種類の異性体がある。二重結合となる位置が窒素-窒素間のものは1-ピラゾリン、窒素-炭素間のものは2-ピラゾリン、炭素-炭素間のものは3-ピラゾリンである。
ピラゾリン Pyrazolines | |
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1-ピラゾリン
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2-ピラゾリン
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3-ピラゾリン
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 36118-45-3 (異性体未分別) , 2721-43-9 (1-ピラゾリン) , 109-98-8 (2-ピラゾリン) , 6569-23-9 (3-ピラゾリン) |
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特性 | |
化学式 | C3H6N2 |
モル質量 | 70.09 g mol−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
用途
編集ピラゾリンの誘導体は、鱗翅目や甲虫目に有効な殺虫剤[1]、有機ELの発光体[2]、繊維用蛍光増白剤[3]など幅広い分野で使用される。カルボニル基が付加したものはピラゾロンであり、その誘導体は解熱鎮痛剤の原料となる。
類似の化合物
編集ピラゾリンのアナログには、五員環中に二重結合を二つ持つピラゾール、二重結合をもたないピラゾリジン、五員環の1位と3位に窒素原子を持つイミダゾリン、五員環に一つの窒素原子と一つの二重結合を持つピロリンがある。
脚注
編集- ^ 山本出『農薬開発の動向―生物制御科学への展開』シーエムシー出版、2008年、94頁。ISBN 978-4882319740。
- ^ 標準技術集-有機EL(2002年6月28日、特許庁)
- ^ 矢上一夫, 村上薫, 正泉寺秀人、「アントラキノン系酸性染料とピラゾリン系蛍光増白剤の羊毛および絹布上での光退色相互作用」『繊維学会誌』 1991年 47巻 9号 p.487-491, doi:10.2115/fiber.47.9_487