ピッチクラス
概要
編集ピッチクラス集合論では、次のように定義される。
- ある2つの音があって、その周波数が であるとする。このとき、 となるような整数 が存在するとき、 はオクターブに関して同値であるといい、 と表す。ここで、 で表される集合をピッチクラスといい、これには整数による音名を与えることにする。
すなわち、例えば 音、 音、 音は、オクターブによる違いを無視して、同じピッチクラス「 」に分類される(この例では 音、 音、 音の周波数が一般的にはそれぞれ110Hz、220Hz、440Hzであるから、 という関係が成立する)。これは集合論的に次のように表される。
また、平均律において、D♯音とE♭音とF♭♭音などの異名同音は、同じピッチクラスに分類される。これらのピッチクラスには以下の整数値が与えられ、平均律上で半音が1、1オクターブが12となるように定められている。下表の鍵盤の欄が白いものはピアノの白鍵、黒いものは同じく黒鍵の音である。
鍵盤 | ピッチクラス値 | 英語音名 | 日本語音名 |
---|---|---|---|
0 | C | ハ | |
1 | C♯/D♭ | 嬰ハ/変ニ | |
2 | D | ニ | |
3 | D♯/E♭ | 嬰ニ/変ホ | |
4 | E | ホ | |
5 | F | ヘ | |
6 | F♯/G♭ | 嬰ヘ/変ト | |
7 | G | ト | |
8 | G♯/A♭ | 嬰ト/変イ | |
9 | A | イ | |
A(10) | A♯/B♭ | 嬰イ/変ロ | |
B(11) | B | ロ |
これに転じて、移動ド的な階名としてピッチクラス値が用いられることもある。例えば自然的長音階、自然的短音階はピッチクラス表記で{0,2,4,5,7,9,B,C}、{0,2,3,5,7,8,A,C}などと表記する(Cは0の1オクターブ上の音である)。