ピアノ・ノビーレ[注釈 1](piano nobile)とは、大きな家屋の主たるを意味し、通常ルネサンス様式の建築物について使う用語である。直訳すると「高貴な階」となる。ピアノ・ノビーレには、主たる応接室と寝室がある。

フェラーラディアマンテ宮は15世紀のピアノ・ノビーレの例である。外観からも上の階が下の階よりステータスが上であることがわかる。
ヴェネツィアバルバリゴ宮。ピアノ・ノビーレの上の階もほぼ同じ外観なので、セコンド・ピアノ・ノビーレになっている。
18世紀のケドレストン・ホール。粗末な1階の上にピアノ・ノビーレがある。その上の階は外観からあまり豪華でないことがわかる。

ピアノ・ノビーレは1階(ヨーロッパ風の呼称。アメリカや日本で言う2階に相当)にあることが多く、時には2階(日本では3階)にある。その下の地上階にはその他の部屋や使用人の部屋などがある(しばしば造りが粗末になっている)。ピアノ・ノビーレが上にあるのは、眺めがよいという理由もあるが、通りの湿気や臭いを避けるという実用的な理由もあった。特にヴェネツィアパラッツォでは、窓が大きくバルコニーや外廊下があるため、外見からピアノ・ノビーレが明らかである。例えば、カ・フォスカーリカ・ドーロカ・ヴェンドラミン・カレルギバルバリゴ宮などがある。

窓が大きい点がピアノ・ノビーレを見分ける最大の特徴である。イングランドイタリアでは、ピアノ・ノビーレに直接入るための豪華な外階段があり、下の使用人の階に主人が入らなくて済むようにした建物も多い。例えば、イングランドのケドレストン・ホールやイタリアのヴィラ・アルメリコ・カプラがある。

多くの場合、来客がないときはピアノ・ノビーレの上の階にある寝室をその住居の家族が使った。さらにその上は屋根裏部屋で、使用人などが寝室として使っていた。

イタリアの特にヴェネツィアの大きなパラッツォでは、ピアノ・ノビーレの上の階をセコンド・ピアノ・ノビーレ (secondo piano nobile) と呼び、若干小規模に外廊下やバルコニーを備えている。その場合例えば美術館などでは、主たるピアノ・ノビーレをプリモ・ピアノ・ノビーレ (primo piano nobile) と呼んで区別する。このような用語はイングランドでは見られない。

ヨーロッパでは古典様式で住居が建設されている間、このような階の配置がずっと続いた。最近では、19世紀中ごろのバッキンガム宮殿がこのような造りになっている。18世紀のイギリスの建築では、ホルカム・ホールオスタリー・パークチジックハウスがこのような設計を採用している。

参考文献

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  • Chiarini, Marco (2001). Pitti Palace. Livorno: Sillabe s.r.l. ISBN 88-8347-047-8 
  • Chierici, Gino (1964). Il Palazzo Italiano. Milan 
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  • Girouard, Mark (1978). Life in the English Country House. Yale University Press. ISBN 0-300-02273-5 
  • Halliday, E. E. (1967). Cultural History of England. London: Thames and Hudson.
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  • Hussey, Christopher (1955). English Country Houses: Early Georgian 1715–1760 London, Country Life.
  • Jackson-Stops, Gervase (1990). The Country House in Perspective. Pavilion Books Ltd.
  • Kaminski Marion , Art and Architecture of Venice, 1999, Könemann, ISBN 3829026579
  • Masson, Georgina (1959). Italian Villas and Palaces. London: Harry N. Abrams ltd.  London:Nelson. ISBN 0-17-141011-4

脚注

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注釈

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  1. ^ 原音に忠実なカナ表記は「ノービレ[1]

出典

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  1. ^ 『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』小学館、2001年5月1日、427頁。ISBN 4-09-506121-9