ビルマ連邦革命評議会
連邦革命評議会 (ビルマ語: နိုင်ငံတော်တော်လှန်ရေးကောင်စီ)。正式名称はビルマ連邦革命評議会(ပြည်ထောင်စုမြန်မာနိုင ်ငံတော်လှန်ရေးကောင်စီ)だが、単に革命評議会(တော်လှန်ရေးကောင်စီ、英語: Revolutionary Council:RC)は、1962年3月2日から1974年3月3日、 1974年ビルマ憲法が公布され、権力が人民議会に移譲されるまで、ミャンマーの最高統治機関であった。
設立
編集1962年3月2日、ネ・ウィンはクーデターを起こし、ウー・ヌ首相以下主要閣僚を拘束、議会を解散、憲法を停止して全権を掌握し、革命評議会を設立した。4月30日には、国家イデオロギーである『ビルマ社会主義への道[1]』発表し、14条で社会主義経済制度樹立を推進・擁護する民主主義だけを運営していくべきと宣言、その実現のためにビルマ社会主義計画党(BSPP)を設立し、ネ・ウィンが議長に就任した。1964年3月28日に国家統一法が施行され、BSPP以外の政党・政治団体の活動が禁止されたので、BSPPは1989年までミャンマー唯一の政党だったが、BSPPが本格始動するのは1971年6月の第1回党大会からであり、それまでは革命評議会に実権があった[2]。革命評議会とは別に、革命評議会のメンバー8人からなる内閣が別に組織された[3]。
メンバー
編集役職 | 名前 | 階級(軍種) | ポスト |
---|---|---|---|
議長 | ネ・ウィン | 将軍(陸軍) | 国軍総司令官 |
議員 | アウンジー | 准将(陸軍) | 陸軍参謀次長 |
議員 | タンペ | 准将(海軍) | 海軍参謀次長 |
議員 | T.クリフ | 准将(空軍) | 空軍参謀次長 |
議員 | ティンペー | 准将(陸軍) | 国軍司令部兵站局長 |
議員 | タンセイン | 大佐(陸軍) | 国軍司令部陸軍高級参謀 |
議員 | チョーソー | 大佐(陸軍) | 国軍司令部人事局長 |
議員 | チッミャイン | 大佐(陸軍) | 国軍司令部副兵站局長 |
議員 | キンニョー | 大佐(陸軍) | 国軍司令部訓練局長 |
議員 | フラハン | 大佐(陸軍) | 国軍司令部医務局長 |
議員 | サンユ | 准将(陸軍) | 西北軍管区司令官 |
議員 | セインウィン | 准将(陸軍) | 中央軍管区司令官 |
議員 | タウンチー | 大佐(陸軍) | 東南軍管区司令官 |
議員 | チーマウン | 大佐(陸軍) | 西南軍管区司令官 |
議員 | マウンシュエ | 大佐(陸軍) | 東部軍管区司令官 |
議員 | ソーミン | 大佐(陸軍) | 国境地域行政官 |
議員 | タンユサイン | 大佐(陸軍) |
革命評議会のメンバーのうち、アウンジー、ティンペー、タンセイン、チョーゾーの4人は、ネ・ウィンが隊長を務めた第4ビルマ・ライフル部隊出身者だった。他にも。他にも8888民主化運動の最中17日間だけ大統領を務めたセインルイン、1976年から1985年まで陸軍参謀総長、1976年から1988年まで国防相を務めたチョーティン(Kyaw Htin)、1988年にBSPPから改名した国民統一党(NUP)初代党首・ウー・タギャウ(U Tha Gyaw)、ネ・ウィンの専用コックで、強大な権力を有したラジュー(Raju)というインド人、皆、第4ビルマ・ライフル部隊出身で、革命評議会は俗に”第4ビルマ・ライフル部隊政権”と呼ばれた[5]。またその構成は、1962年時点の陸軍12万人、海軍3000人、空軍2500人という兵力を反映して、陸軍の圧倒的優位であり、ネ・ウィンより年長者はタンペだけという有り様で、ネ・ウィンの個人的色彩の強い組織だった[6]。
革命評議会のメンバーは頻繁に入れ替わったが、その交代は病死を除けば、辞任か失脚であり、最後まで革命評議会のメンバーだったのは、ネ・ウィン、サンユ、セインウィン、フラハンの4人だけだった[6]。
解散
編集1974年3月3日、 1974年ビルマ憲法が公布され、権力が人民議会に移譲されたことにより、革命評議会は解散した。
脚注
編集注釈
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出典
編集- ^ 大野, 徹 (1964). “ビルマの社会主義への道(国家革命評議会)解説並みに邦訳”. 東南アジア研究 1 (3): 80–85. doi:10.20495/tak.1.3_80 .
- ^ 中西 2009, pp. 99–110.
- ^ Taylor 2009, p. 296.
- ^ 中西 2009, p. 102.
- ^ “Whose Army?”. The Irrawadddy. 2025-03-03閲覧。
- ^ a b 大野 1989, pp. 75-80.
参考文献
編集- 大野, 徹『ビルマの社会主義への道(国家革命評議会)解説並みに邦訳』J-Stage、1964年 。
- 大野, 徹『ビルマー 破綻した 「ビルマ式社会主義」』J-Stage、1989年 。
- 桐生稔『ビルマ式社会主義―自立発展へのひとつの実験』教育社、1979年。
- 中西, 嘉宏『軍政ビルマの権力構造 ネー・ウィン体制下の国家と軍隊1962-1988』京都大学学術出版会、2009年。
- Taylor, Robert.H.『The State in Myanmar』C Hurst & Co Publishers Ltd、2009年。ISBN 978-1850659099。