ヒメリンゴマイマイ
ヒメリンゴマイマイ (学名 Cornu aspersum (O. F. Müller, 1774))は、有肺目リンゴマイマイ科に分類されるカタツムリの一種[2]。直径約3cmの丸い貝殻をもつ欧州原産のカタツムリで、近年では日本でも見られるようになった[3][4]。 リンゴマイマイとは属が異なるが[5]、同様にエスカルゴとして食用にされ、フランス料理の食材としては「プチグリ」と呼ばれる。
ヒメリンゴマイマイ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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サンディエゴ バルボアパークのヒメリンゴマイマイ
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Cornu aspersum (O. F. Müller, 1774)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Helix aspersa | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ヒメリンゴマイマイ (姫林檎蝸牛) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
brown garden snail 仏名 petit gris |
形態と生態
編集貝殻は殻幅約4cm以下の丸みをおびた螺旋で、黄土色地に褐色の模様が描かれた個体が多い。殻口は大きめでやや斜めに開き、ふちが白色。マイマイ類の特徴として、4本の触角の前2本は長くて眼がある。雌雄同体で恋矢を使って交尾する。7℃以上で繁殖が可能で、直径約3mmの白色の卵を落ち葉の下に好んで産む。孵化した翌年には成貝になる。果樹園や庭園などに生息して広食性であるが、とくにナツミカン・クワ・イチジクの葉を好んで食べる。一方で、鳥・爬虫類・両生類・ホタルの幼虫・ヒトに捕食される[6][7]。
分布
編集地中海沿岸諸国から英国・北欧にかけて。また帰化したものがアフリカや南北アメリカ大陸等に生息する[8]。近年では日本でも見つかることがある[4]。
分岐図
編集本種が属するリンゴマイマイ科の位置づけの概略を下に示す[5]。
マイマイ上科 |
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人間との関係
編集エスカルゴとしてリンゴマイマイとともに食用とされ養殖もされる。一方でカンキツ類や庭木の害虫としても知られていて、濃縮ニンニク・ヨモギ溶液・金属銅に駆除効果がある[7]。スペインのリェイダでは毎年5月の週末にプチグリへ感謝してカタツムリ祭りが開催される。
関連項目
編集脚注
編集出典
編集参考文献
編集- 金田昌士、北川憲一、一戸文彦、溝渕三必、藤原勇治「我が国に未発生の陸産貝Helix aspersa Müllerの生態」『植物防疫所調査研究報告』第24号、植物防疫所、1988年、7-13頁。 url=https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/r_bulletin/pdf/rb024-002.pdf
- 佐々木猛智 『貝類学』 2010, 東京大学出版会, ISBN 978-4-13-060190-0
- O. Razkin, B.J. Gómez-Moliner, C.E. Prieto, A. Martínez-Ortí, J.R. Arrébola, B. Muñoz, L.J. Chueca and M.J. Madeira, “Molecular phylogeny of the western Palaearctic Helicoidea (Gastropoda, Stylommatophora)”, Molecular Phylogenetics and Evolution, 83 (2015) 99-117, url=https://doi.org/10.1016/j.ympev.2014.11.014
- 工藤広大、伊藤舜、平野尚浩「外来種ヒメリンゴマイマイの千葉県千葉市・市原市における初報告」『ちりぼたん : 日本貝類学会研究連絡誌』第53巻第1号、日本貝類学会、2022年、77-81頁、ISSN 0577-9316。
外部リンク
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