ヒメジ科(学名:Mullidae)は、スズキ目スズキ亜目の下位分類群の一つである。暖かく浅い海に適応した魚で、鮮やかな体色や下顎下面に2本の「あごひげ」(触鬚)があることなどを特徴とする。

ヒメジ科
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: ヒメジ科 Mullidae
Rafinesque, 1815
英名
Goatfish

概要

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全世界の暖海に分布し、6属・66種が分類されている。うち日本近海産は3属・22種である。南西太平洋産ヒメジ属の一種(Upeneus francisi)は成長しても全長10cmに達しないが、最大種のオオスジヒメジParupeneus barberinus)は全長60cmに達する。

体は側扁し、大型種では背中側が高くなるものもいるが、腹側はあまり下に突き出ない。二つの背鰭は明らかに離れ、第一背鰭は6-8棘条、第二背鰭は8-9軟条からなる。体色は鮮やかで、種類によって異なる。また同じ個体でも昼と夜で体色や斑紋が大きく異なる。死ぬと体表の模様が変わる種類もいる。

口は頭部のやや下側に偏ってつき、下顎に2本の「あごひげ」がある。英名"Goatfish"(ヤギ魚)はここに由来し、日本でもオジサン(小父さん、 P. multifasciatus)、オキナヒメジ(翁比売知、 P. spilurus)といったあごひげに因む標準和名を付けられた種類が存在する。

全種が暖かい浅い海に生息していて、特にサンゴ礁で色鮮やかな大型種が多く見られる。稚魚は海岸の波打ち際に出現し、汽水域に入ることもある。成魚は海底からあまり離れず、表層・中層に上がることはほとんどない。

食性は肉食性で、主に甲殻類多毛類などのベントス(底生生物)を捕食するが、大型種は遊泳性の小魚を捕食することもある。餌を探す際はあごひげを忙しく動かし、海底やサンゴの枝の間などを探る動作を行う。あごひげには味蕾に似た感覚器が並び、潜んでいる小動物を探し当てるのに役立っている。

中型・大型種は各地で食用に漁獲される。また、鮮やかなうえに変化する体色から、スクーバダイビング水族館において観賞の対象にもなる。

分類

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参考文献

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  • Mullidae - Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2008.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version(09/2008).
  • 岡村収監修(ヒメジ科執筆者 : 山川武)山渓カラー名鑑『日本の海水魚』 ISBN 4-635-09027-2
  • 井田齋他『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』講談社 ISBN 4-06-211280-9
  • 檜山義夫監修『野外観察図鑑4 魚』旺文社 ISBN 4-01-072424-2