ラベプラゾール(Rabeprazole)とは、プロトンポンプ阻害薬に分類される胃酸分泌抑制薬の1種である。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療に用いる[1]。先発品はパリエット (Pariet) として、日本、イギリス、ギリシャ、オーストラリア、カナダ、ロシア、ブラジル等で販売されている。日本ではEAファーマ株式会社(製造販売元:エーザイ株式会社)より。後発品も販売される。アメリカでは AcipHex(アシフェックス)として販売されている。

ラベプラゾール
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
ライセンス US FDA:リンク
胎児危険度分類
  • US: B
法的規制
薬物動態データ
生物学的利用能52%
代謝mostly non-enzymatic,
partly 肝臓 (CYP2C19)
半減期1 - 1.5 hours
排泄90% 腎臓
データベースID
CAS番号
117976-89-3
ATCコード A02BC04 (WHO)
PubChem CID: 5029
DrugBank APRD01212
ChemSpider 4853 チェック
UNII 32828355LL チェック
KEGG D08463
ChEMBL CHEMBL1219 チェック
化学的データ
化学式C18H21N3O3S
分子量359.444 g/mol
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作用機序

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ラベプラゾールはプロドラッグであり、酸分泌細胞の酸性領域でチオエーテル体(活性体)となりプロトンポンプの活性を阻害することで、胃酸の分泌を抑制する。

なお、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンとの併用によるヘリコバクター・ピロリ除菌療法にも用いられる。これはラベプラゾールが胃内のpHを上昇させることで、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの除菌効果を高めるとされている。ヘリコバクター・ピロリ除菌の際は胃酸分泌を強力に抑制するため、他の用途で用いられる時よりも多くラベプラゾールを服用する。

効能・効果

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治療

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  • 逆流性食道炎に対するPPIの分割投与

PPIは、半減期が2時間で内服して10~12時間後には血中から消失するため、1日2回投与が有効とされている。 PPIの中で、ラベプラゾールのみ1日2回投与が保険適用になっている[3]。ただし、ボノプラザンのほうが、半減期が7時間と長く胃酸抑制効果は強いとされている[4]

副作用

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主な副作用として、発疹蕁麻疹、かゆみ、下痢・軟便、便秘、味覚異常、腹痛、腹部膨満感、ALT・AST・LDH・Al‐Pの上昇など。胃癌食道癌などの悪性腫瘍や他の消化器疾患による症状を隠蔽することがあるので、内視鏡などによりこれらの疾患でないことを確認すること。

重篤な副作用

出典

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  1. ^ a b c d e f g パリエット錠5mg/パリエット錠10mg 添付文書” (2016年4月). 2016年7月19日閲覧。
  2. ^ ラベプラゾールナトリウム製剤”. 2015年9月9日閲覧。
  3. ^ DIクイズ5:(A)逆流性食道炎に対するPPIの分割投与”. 日経DI. 2024年11月9日閲覧。
  4. ^ ボノプラザンは従来のPPIとは全く別物【時流◆PPIの適切な使い方】”. M3.com. 2024年11月9日閲覧。