パラドックスデベロップメントスタジオ
パラドックスデベロップメントスタジオ(英語: Paradox Development Studio)は、スウェーデンのゲームデベロッパー会社。ゲームパブリッシャーのパラドックスインタラクティブ (Paradox Interactive) の子会社で、その開発部門にあたる。歴史をモチーフにしたグランドストラテジーゲームに定評があり、Europa Universalis、Hearts of Iron、Crusader Kings、Victoria、Stellarisといったシリーズで知られている。
沿革
編集Paradox社は、スウェーデンのボードゲーム制作会社Target Gamesの遺産をもとに1995年に立ち上げられた。一貫してPC向けのゲーム開発に注力しており、1999年にはPCグランドストラテジーゲーム部門であるParadox Interactiveと、ボードゲーム・ロールプレイングゲーム部門であるParadox Entertainmentという二つに分かれた。
2012年1月、Paradox Interactiveがさらに分割され、様々なジャンルのゲームを取り扱うパブリッシャーとして同名を引き継いだParadox Interactiveと共に、グランドストラテジーゲームの開発部門としてのParadox Development Studioが成立した。
このゲームデベロップメントスタジオは、グランドストラテジーゲーム分野でも最も早期に成立したデベロッパーの一つで、ここで制作されたほぼすべてのタイトルがグランドストラテジーゲームに分類されている。グランドストラテジーゲームとは、基本的に全世界を基調として、経済や外交、戦争などの要素を繰り広げるジャンルである。
ゲームエンジン
編集現在に至るまでに、Paradox社はEuropaとClausewitz(クラウゼヴィッツ)という2つのゲームエンジンを開発している。共に誰もがModを作成できるよう配慮した設計になっており、そのため有志が物によってはテキストエディタでModを開発できるほどの利便性を有している。その結果、Paradox社のいずれのゲームにおいても、強力なMod開発コミュニティが形成されている[1]。
Paradox社のデビュー作は、2000年公開のEuropa Universalis だった。このゲームを動かすゲームエンジンは後にEuropa Enginとして知られるようになるが、スタジオのマネージャーのヨハン・アンダーソンは、この「エンジン」は単に前に制作されたゲームのコードの大部分を次のゲームへコピー・アンド・ペーストしただけのものだったことを明かしている[2]。2008年4月、Paradox社は一部のインディーゲームデベロッパーに、Europa Engineのライセンスプログラムを自由に使用することを認めた[3][4][5]。この結果、Crystal Empire GamesがFor the Gloryを、BL-LogicがArsenal of Democracyを、Darkest Hour TeamがDarkest Hourを、そしてParadox Development StudioがIron Cross(Hearts of Iron IIの拡張パック)を製作し、それぞれParadox Interactiveによって発売された。
2007年、Paradox Development StudioはEuropa Universalis IIIをの発表にあたり、新たなゲームエンジンであるClausewitz Engineを開発した[6]。この名はプロイセンの将軍カール・フォン・クラウゼヴィッツからとったもので、ゲーム中に世界の一部もしくは全体を3D描画することができるようになった。2011年のSengoku には、Clausewitz 2エンジンが使用された。2019年のImperator: Romeでは、従来のClausewitz Engineに、64ビットに対応するための"Jomini"(19世紀のスイスの将軍アントワーヌ=アンリ・ジョミニに由来)が追加された[7]。これにより3D描画が改善され、さらにMod製作が容易になったる[8]。ここで新たに制作されたゲームエンジンは、DirectX 11もサポートしている。
開発したゲームの一覧
編集ここではParadox Development Studiosが開発したゲームに限って挙げる[9]。これらに加え、Paradox Development StudioがParadox Entertainmentの一部だったころにSvea Rikeシリーズの一部として、Crown of the NorthとTwo Thronesの二作品を開発している。
タイトル | リリース年 | 拡張パック・DLC | 拡張リリース年 |
---|---|---|---|
Europa Universalis | 2000年 | — | — |
Europa Universalis II | 2001年 | — | — |
Hearts of Iron | 2002年 | — | — |
Victoria: An Empire Under the Sun | 2003年 | Revolutions | 2006年 |
Crusader Kings | 2004年 | Deus Vult | 2007年 |
Hearts of Iron II | 2005年 | Doomsday | 2006年 |
Armageddon | 2007年 | ||
Europa Universalis III | 2007年 | Napoleon's Ambition | 2007年 |
In Nomine | 2008年 | ||
Heir to the Throne | 2009年 | ||
Divine Wind | 2010年 | ||
Europa Universalis: Rome | 2008年 | Vae Victis | 2008年 |
Hearts of Iron III | 2009年 | Semper Fi | 2010年 |
For the Motherland | 2011年 | ||
Their Finest Hour | 2012年 | ||
Victoria II | 2010年 | A House Divided | 2012年 |
Heart of Darkness | 2013年 | ||
Sengoku | 2011年 | — | — |
Crusader Kings II | 2012年 | Sword of Islam | 2012年 |
Legacy of Rome | |||
Sunset Invasion | |||
The Republic | 2013年 | ||
The Old Gods | |||
Sons of Abraham | |||
Rajas of India | 2014年 | ||
Charlemagne | |||
Way of Life | |||
Horse Lords | 2015年 | ||
Conclave | 2016年 | ||
The Reaper's Due | |||
Monks and Mystics | 2017年 | ||
Jade Dragon | |||
Holy Fury | 2018年 | ||
March of the Eagles | 2013年 | — | — |
Europa Universalis IV | 2013年 | Conquest of Paradise | 2014年 |
Wealth of Nations | |||
Res Publica | |||
Art of War | |||
El Dorado | 2015年 | ||
Common Sense | |||
The Cossacks | |||
Mare Nostrum | 2016年 | ||
Rights of Man | |||
Mandate of Heaven | 2017年 | ||
Third Rome | |||
Cradle of Civilization | |||
Rule Britannia | 2018年 | ||
Dharma | |||
Golden Century | |||
Emperor | 2020年 | ||
Leviathan | 2021年 | ||
Origins | |||
Stellaris | 2016年 | Leviathans | 2016年 |
Utopia | 2017年 | ||
Synthetic Dawn | |||
Apocalypse | 2018年 | ||
Distant Stars | |||
Megacorp | |||
Ancient Relics | 2019年 | ||
Federations | 2020年 | ||
Nemesis | 2021年 | ||
Overlord | 2022年 | ||
Hearts of Iron IV | 2016年 | Together for Victory | 2016年 |
Death or Dishonor | 2017年 | ||
Waking the Tiger | 2018年 | ||
Man the Guns | 2019年 | ||
La Résistance | 2020年 | ||
Battle for the Bosporus | |||
No Step Back | 2021年 | ||
By Blood Alone | 2022年 | ||
Imperator: Rome | 2019年 | — | — |
Crusader Kings III | 2020年 | Northern Lords | 2021年 |
Royal Court | 2022年 | ||
Fate of Iberia | |||
Victoria 3 | 2022年 | — | — |
脚注
編集- ^ “GDC Vault - Blurring the Line Between Community & Studio”. www.gdcvault.com. 8 April 2016閲覧。
- ^ Dickle (12 Nov 2019). “The History of Clausewitz | PDXCON2019”. YouTube. 12 Nov 2019閲覧。
- ^ “Free engine for gamers released!” (英語). Paradox Interactive Forums. 2019年7月22日閲覧。
- ^ “Europa Engine” (英語). Indie DB. 2019年7月22日閲覧。
- ^ “License the Europa Engine, and get your work published on Gamersgate” (英語). Paradox Interactive Forums. 2019年7月22日閲覧。
- ^ Savage. “Stellaris: how Paradox plan to make an infinite grand strategy”. PC Gamer. April 8, 2016閲覧。
- ^ “The engine behind Paradox Development Studio’s future games” (英語). VentureBeat (2018年10月14日). 2019年7月21日閲覧。
- ^ “Future Paradox games will be easier to mod thanks to engine upgrade” (英語). pcgamer.com (2018年10月14日). 2019年12月14日閲覧。
- ^ Publishing Development Studio Jobs Contact Internships (2013年4月30日). “Development Studio - Paradox Interactive”. Paradoxplaza.com. 2013年5月11日閲覧。