褐色細胞腫
(パラガングリオーマから転送)
褐色細胞腫のデータ | |
ICD-10 | C74.1 副腎髄質の悪性褐色細胞腫 D35.0 副腎の良性褐色細胞腫 D44.7 異所性褐色細胞腫 |
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褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ、Pheochromocytoma)は、腫瘍組織型の1つで、副腎髄質や傍神経節から発生するカテコールアミン産生腫瘍。統計的理由から俗に「10%病」とも言い、症状から俗に「5H病」とも言う。副腎外の傍神経節から発生した腫瘍を傍神経節腫、またはパラガングリオーマ (英語版)と呼ぶことがある[1]。
褐色細胞腫 | |
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褐色細胞腫 | |
概要 | |
診療科 | 腫瘍学, 内分泌学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | C74.1 |
ICD-9-CM | 255.6 |
ICD-O | M8700/0 |
OMIM | 171300 |
DiseasesDB | 9912 |
MedlinePlus | 000340 |
eMedicine | med/1816 radio/552 ped/1788 |
Patient UK | 褐色細胞腫 |
MeSH | D010673 |
定義(概念)
編集副腎髄質や傍神経節に発生するカテコールアミン産生腫瘍である。クロム親和性細胞から発生する。良性と悪性が存在し良性の予後は良好だが、悪性の早期診断法と有効な治療法の確立が必要な難治性疾患である。副腎を摘出しても、副腎外で何度も再発することがある。二次性高血圧の1つ。
病態
編集原因
編集家族内発症では、RET癌遺伝子やVHL癌抑制遺伝子に突然変異が見られるものがある。孤発性の褐色細胞腫においても最近遺伝子異常(RET,VHL,SDH,etc)が報告されている。特に悪性褐色細胞腫においては、高率にSDHB遺伝子の変異が認められる。それ以外の症例は原因不明である。
統計
編集- 副腎外発生が約10%
- 両側性発生が約10%
- 悪性腫瘍が約10%
- 家族内発生が約10%
- 小児発生が約10%
症状
編集検査
編集血液検査
編集- ノルアドレナリン、アドレナリン
- 高カテコールアミン血症の検査
尿一般検査
編集- アドレナリン、ノルアドレナリン
- 血中カテコールアミンから漏れ出した尿中濃度高値の証明
- メタネフリン、ノルメタネフリン、バニリルマンデル酸(VMA)
- メタネフリンはアドレナリンの代謝産物であり、ノルメタネフリンはノルアドレナリンの代謝産物であり、バニリルマンデル酸はメタネフリンやノルメタネフリンの代謝産物である。
機能検査
編集- クロニジン試験
カテコールアミン | 判定 |
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低下していない | 本症 |
低下している | 本態性高血圧 |
部位検査
編集- CT/MRI: 比較的大きな腫瘍であることが多い。MRIのT2強調画像にて高信号を呈するのが特徴的。内部は均一のこともあるが、出血や壊死により不均一であることが多い。
- 131I-metaiodobenzylguanidineシンチグラフィ(131I-MIBGシンチグラフィ)
- 131I-MIBGシンチグラフィ(よーどひゃくさんじゅういちえむあいびーじーしんちぐらふぃ)とは、131Iで放射線標識したMIBGを用いたシンチグラフィ。I-123に比べ分解能が低く、SPECTも撮れないため、心臓病名で123I-MIBGシンチグラフィ(腹部SPECTも)を撮る方が勧められる(I-131での転移リンパ節見落とし例あり)
- 目的
- 副腎外原発巣や転移巣の場所を調べること。
- 原理
- アドレナリンを分泌する本腫瘍細胞は、アドレナリンの原料としてノルアドレナリンを取り込んでいる。そこでノルアドレナリンと分子構造が似ているMIBGを投与すると、MIBGが本腫瘍細胞に取り込まれて蓄積する。
- 方法
- 甲状腺に131Iが集まらないように、検査前数日前からヨードを内服する。
- 判定
- 副腎外に陽性 (hot spot) 描出される。
- PET:MIBGで取り込みがなくともPETで陽性となることもある。転移巣の検索に有用。
診断
編集治療
編集予後
編集早期診断早期治療がなされれば根治が見込める。治療が遅れると悪性高血圧を呈し、各種合併症が生じる可能性がある。
診療科
編集- 内分泌内科
参考文献
編集- 褐色細胞腫診療マニュアル 著:成瀬光栄/平田結喜緒 診断と治療社 2012年 ISBN 9784787818515
関連項目
編集- 原発性アルドステロン症 - 副腎皮質が原因
- クッシング症候群 - 下垂体腺腫が原因
脚注
編集- ^ 内分泌疾患分野 褐色細胞腫(平成22年度) - 難病情報センター
- ^ 未承認薬・適応外薬の要望 (PDF) 厚生労働省
- ^ 小野 褐色細胞腫の症状軽減薬メチロシンを導入 国内開発へ ミクス online 2013年10月23日
- ^ Valeant 社とのライセンス契約締結のお知らせ (PDF) 小野薬品 2013年10月22日
- ^ 【新薬】メチロシン(デムサー)カテコールアミン分泌過剰を改善する初の褐色細胞腫治療薬、日経メディカル、2019年2月1日
外部リンク
編集- 褐色細胞腫を考える会 - 患者会
- 悪性褐色細胞腫の実態調査と診療指針の作成 - 日本内分泌学会 臨床重要課題 平成19年度