パシフィック級哨戒艇
パシフィック級哨戒艇(ぱしふぃっくきゅうしょうかいてい、英語: Pacific class patrol boat)とは南太平洋諸国で使用されている小型の哨戒艇。オーストラリアが主催する、太平洋哨戒艇計画(en)によって建造され、南太平洋の各国に供与された。パシフィックフォーラム級哨戒艇とも呼ばれる。
パシフィック級哨戒艇 | |
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ソロモン諸島警察の保有艇 | |
基本情報 | |
艦種 | 哨戒艇 |
要目 | |
排水量 | 162トン |
全長 | 31.5メートル (103 ft) |
最大幅 | 8.1メートル (27 ft) |
吃水 | 2.1メートル (6.9 ft) |
機関方式 | キャタピラー3516 DITA JWディーゼルエンジン×2基(2,820馬力)、2軸 |
速力 | 20ノット (37 km/h) |
航続距離 | 2,500海里 (4,600 km) / 12ノット |
乗員 | 17名 |
兵装 | 小火器若干(使用国によって20mm機関砲、12.7mm機銃、7.62mm機銃などを装備) |
レーダー | 古野電気 1011型レーダー |
建造の経緯
編集→詳細は「太平洋哨戒艇計画」を参照
1982年に国連で国連海洋法条約が採択された結果、各国は沿岸200浬に及ぶ排他的経済水域を持つこととなった。しかし、南西大西洋の島嶼国のほとんどは、この広大な海域の監視・取締りを行う機材や人材、ノウハウそして資金を持っていなかった。
このため南太平洋諸国は1979年から、オーストラリアとニュージーランドに対し、地域の海上警察力整備に対する協力を求めていた。オーストラリア政府はこれに応え、防衛協力計画(Defence Cooperation Project)を策定し、その中の太平洋哨戒艇計画において、警備用哨戒艇と要員教育を提供することとした。この警備用哨戒艇がパシフィック級哨戒艇である。
オーストラリア造船工業社(現在のテニクス・ウエスタン・オーストラリア)が設計および全艇の建造を行った。使用国の運用要求や建造時期によって、設計には若干の差異が生じている。
運用
編集パシフィック級哨戒艇は、その建造目的の通り排他的経済水域の哨戒に当たっており、漁業取締りに重要な役割を果たしている。また、捜索救難や災害時の物資輸送などにも用いられている。
なお、設計時点での寿命は15年であったが、延命改修を受けることでこれを7年延ばしている。2000年10月にはさらに改修を行い、寿命を30年に延長することが決定された。
同型艦一覧
編集建造順序 | 艇名 | 所属国 | 所属組織 | 譲渡 | 退役・備考 |
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1 | HMPNGS Tarangau (P01) →HMPNGS Rabaul (P01) |
パプアニューギニア | 国防軍 | 1987年5月13日 | 2018年8月3日 |
2 | RVS Tukoro (02) | バヌアツ | 警察 | 1987年6月13日 | 2021年6月 |
3 | HMPNGS Dreger (P02) | パプアニューギニア | 国防軍 | 1987年10月29日 | 2021年4月18日 |
4 | ナファヌア Nafanua (04) |
サモア | 警察 | 1988年3月19日 | 2019年6月13日 |
5 | ラタ RSIPV Lata (03) |
ソロモン諸島 | 警察 | 1988年7月 | 2019年9月11日 |
6 | HMPNGS Seeadler (P03) | パプアニューギニア | 国防軍 | 1988年10月28日 | 2021年4月18日 |
7 | HMPNGS Basilisk (P04) →HMPNGS Moresby (P04) |
パプアニューギニア | 国防軍 | 1989年7月1日 | |
8 | テ・ククパ CIPPB Te Kukupa |
クック諸島 | 警察 | 1989年9月1日 | 2022年2月25日 |
9 | ネイアフ VOEA Neiafu (P201) |
トンガ | トンガ防衛隊 | 1989年10月30日 | 2020年9月14日 |
10 | ミクロネシア FSS Micronesia (02) |
ミクロネシア連邦 | 警察 | 1990年1月3日 | 2022年1月12日 |
11 | パリキール FSS Palikir (01) |
ミクロネシア連邦 | 警察 | 1990年4月28日 | 2022年6月15日 |
12 | パンガイ VOEA Pangai (P202) |
トンガ | トンガ防衛隊 | 1990年6月30日 | 2020年4月23日 |
13 | サヴェア VOEA Savea (P203) |
トンガ | トンガ防衛隊 | 1991年3月23日 | 2019年4月 |
14 | RMIS Lomor (03) | マーシャル諸島 | 警察 | 1991年6月29日 | |
15 | アウキ RSIPV Auki (04) |
ソロモン諸島 | 警察 | 1991年11月 | 2021年3月4日 |
16 | RKS Teanoai (301) | キリバス | 警察 | 1994年1月22日 | 2021年5月5日 |
17 | クラ RFNS Kula (201) |
フィジー | 海軍 | 1994年5月28日 | 2019年12月22日 |
18 | テ・マタイリ HMTSS Te Mataili (801) |
ツバル | 警察 | 1994年10月8日 | 2019年1月31日 |
19 | キカウ RFNS Kikau (202) |
フィジー | 海軍 | 1995年5月27日 | 2023年12月20日 |
20 | キロ RFNS Kiro (203) |
フィジー | 海軍 | 1995年10月14日 | 2016年7月14日、荒天により座礁大破後に航行不能となり放棄 |
21 | H・I・レメリク大統領 PSS President H.I. Remeliik (001) |
パラオ | 警察 | 1996年7月25日 | 2020年3月13日 |
22 | インディペンデンス FSS Independence (03) |
ミクロネシア連邦 | 警察 | 1997年5月22日 | 2022年1月12日 |
参考文献・外部リンク
編集- The Pacific Patrol Boat Project - Papers in Australian Maritime Affairs No. 16 (Sea Power Centre - Australia)
- Anthony Bergin and Sam Bateman, "Law and Order at Sea in the South Pacific - The Contribution of the Pacific Patrol Boat Project", Australia and Security Cooperation in the Asia Pacific, AUS-CSCP Newsletter, No 8, April 1999
- Tenix Pacific Patrol Boat