バンパイアキラー
『バンパイアキラー』(VAMPIRE KILLER、北米: Castlevania: Bloodlines、欧州: Castlevania: The New Generation)は、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)から1994年3月17日(日本では3月18日)に発売されたメガドライブ用ソフトのアクションゲーム。
ジャンル | アクションゲーム |
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対応機種 | メガドライブ |
開発元 | コナミ |
発売元 | コナミ |
プロデューサー | 桐田富和 |
音楽 | 山根ミチル |
シリーズ | 悪魔城ドラキュラシリーズ |
人数 | 1人 |
メディア | 8メガビットROMカセット |
発売日 |
1994年3月17日 1994年3月18日 1994年3月20日 |
概要
編集ゴシックホラーアクションゲーム・悪魔城ドラキュラシリーズの1作で、唯一メガドライブでの作品。1917年の第一次世界大戦中のヨーロッパを舞台とした、シリーズでも異色作であった。「悪魔城ドラキュラ」のタイトルは冠していないが、シリーズ定番の鞭を武器とする主人公に、槍を武器とする主人公も加えたダブル主人公選択制を採用している、ステージクリア型の横視点スクロールのアクション[1]。開発スタッフは本作のコンセプトとして「派手な演出」を企画当初から考えていたという。多関節[注 1]で動くボス敵が多いのも特徴的。キャッチコピーは、「汝に<バンパイアキラー>の称号を授く」[注 2]。なお本作のゲーム中の文字は、メガドライブ(北米での名称はGENESIS)が日本よりも北米でより広く普及していたこともあり、日本版でもオープニング・エンディングデモやキャラクター紹介など全て英語表示である。北米および欧州(ユーロ)版とはタイトル・ロゴ以外は全て共通仕様となっている。
本作は発表当時には、吸血鬼ドラキュラを題材にした世界のイメージと基本的なシステムは悪魔城ドラキュラシリーズを踏襲しているがその続編ではなく、まったく新しい「コナミのホラーアクション新シリーズ」とされていた[注 3]。また、発売当時には「ドラキュラ外伝」と紹介され、外伝として位置付けられていた[2]。本作はゲーム雑誌上でユーザー参加企画(後述)が行われるなどしていたが、当初予定より延期されて発売され、開発中の画像には製品版には存在しないゲーム画面もあるなど、ゲーム内容の変更もあった。
本作はメガドライブ後期の発売で生産数も少なかったためか、同じような境遇の他のメガドライブゲーム同様、希少価値が高いレアソフトとして中古市場ではプレミアム価格で取引されており、他のゲーム機への移植もされておらず悪魔城ドラキュラ公式サイトでも「現在では入手困難なプレミア品」と紹介されていたが[1]、2019年には『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』(5月16日配信)[3]やメガドライブの復刻版ハードメガドライブ ミニ[4](9月19日発売)に収録されることとなった。 自家醸造家がスーパーファミコンのために作った技術の悪魔[5]。
システム
編集基本的に従来同様、ジャンルとしてはステージをクリアして最終ボスを倒す、横視点スクロールのステージクリア型2Dアクションである。全6ステージで、ステージによってはちょっとした分岐ルートも存在する。使用するメイン武器が異なる2人の主人公がおり、ゲーム開始時にどちらか1人を選択してスタートする(プレイ中のキャラクター変更は不可)。パスワード・コンティニュー制。オプション画面で難易度などを変更できる。従来のシリーズ作品と比較しての本作の特徴は以下の通り。
- これまでのシリーズ作品では悪魔城内部及びその周辺を各ステージとして区切っていたのに対し、本作はヨーロッパ全土を舞台としており、ステージごとに舞台となる国を移動していく。
- サブウェポンの使用に必要なアイテムの名称及び形状は伝統的に「ハート」だったが、本作では「ジュエル」という宝石型のアイテムとなっている。
- 従来はメイン武器のパワーアップは3段階(革の鞭 → 鎖の鞭 → 長い鎖の鞭)というのが伝統だったが、本作では更にその上の4段階までパワーアップする。ただし、4段階目の状態でダメージを受けると3段階目に戻ってしまう。また、4段階目でジュエル数が8以上ある状態では、サブウェポンがジョニーは敵を追尾、エリックは画面全体を拡散して攻撃する究極のサブウェポンに変化する。
- サブウェポンの種類が従来と異なる。悪魔城ドラキュラシリーズのサブウェポンと言えば、ナイフ・斧・聖水・クロス・懐中時計の5つが伝統的に使われてきたが、本作ではブーメラン・斧・聖水の3種類である。ただし、各サブウェポンごとに通常使用と、ジュエルを多く消費し強力な攻撃を繰り出す強化使用の2種類があり、主人公ごとの究極のサブウェポン2種も加えると、種類としては全8種存在する事になる。
ステージ
編集ステージ | ステージ名 | BGM | 中ボス | ボス |
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1 | ドラキュラ城跡 (RUINS OF THE CASTLE DRACULA) ルーマニア |
REINCARNATED SOUL NOTHING TO LOSE |
ヘルハウンド | アーマーバトラー |
2 | アトランティス神殿 (ATLANTIS SHRINE) ギリシャ |
THE SINKING OLD SANCTUARY | ウォーターメイジ アーマーロード(鉄球) アーマーロード(斧) |
ゴーレム |
3 | ピサの斜塔 (THE LEANING TOWER OF PISA) イタリア |
THE DISCOLORED WALL | ドラゴンスケルトン | ガーゴイル |
4 | 兵器工場 (THE MUNITIONS FACTORY) ドイツ |
IRON-BLUE INTENTION | フランケン | ギアスチーマー |
5 | ベルサイユ宮殿 (VERSAILLES PALACE) フランス |
THE PRAYER OF A TRAGIC QUEEN | アーマーロード(青) シルエット・デーモン |
プリンセス・オブ・モス |
6 | プロセルピナ城 (THE CASTLE PROSERPINA) イギリス |
CALLING FROM HEAVEN THEME OF SIMON |
死神 エリザベート・バートリーとメデューサ |
ドラキュラ伯爵とドロテア・ツェンテス |
キャラクター
編集- ジョニー・モリス(Johnny Morris[注 4])
- 本作の主人公の1人。1895年12月12日生まれ、アメリカ・テキサス州出身のアメリカ人。22歳。吸血鬼ハンターの名門・ベルモンド一族の血を引くバンパイアハンター。モリス家に伝わる妖鞭バンパイアキラーを武器とする。通常時、鞭は正面に向かってしか振る事ができないが、滞空時のみ斜め上と真下にも振る事ができ、その際に鞭を天井に引っ掛けて無敵状態になる「ロープフック」をする事が可能。これを利用して通常のジャンプでは届かない遠くの足場まで移動できる。武器は革の鞭 → 鎖の鞭 → 長い鎖の鞭 → 波動鞭の4段階にパワーアップする。究極のサブウェポンは、渦巻が画面中を暴れて敵を追尾する「水龍」。日本版と米国版ではパッケージイラストのルックス、ファッションともに異なり、日本版ではゲーム内グラフィックに忠実なレザーのベストにサスペンダーを着用しているが、米国版ではフリルシャツにジャケットを着用している。
- エリック・リカード(Eric Lecarde)
- 本作の主人公の1人。1892年5月3日生まれ、スペイン・セゴビア出身のスペイン人。25歳。元は芸術を愛する青年だったが、恋人を吸血鬼に変えてしまったエリザベートに復讐するためバンパイアハンターとなった。妖槍アルカードスピアを武器とする。武器を振る速度がジョニーより遅く(しゃがみ状態の攻撃のみジョニーより速く振る)、3段階目以上になると射程はジョニーより長くなる。槍は刃先にしか攻撃判定がないので、3段階目以上にパワーアップして槍が伸びると手元の攻撃が疎かになる。立ち状態で方向キーを入れながら攻撃ボタンを押すと、左右、斜め上、真上の5方向に槍を突ける(滞空時は横と真下のみ)。横に槍を突いた場合のみ、槍が伸び切った後に反対側の方向キーを押せば、槍を振り回しつつ反転しての全方位への攻撃が可能で、更にその後にまた反対側にキーを入れれば何度でも連続して回転攻撃を続けられる。一定時間しゃがみ続けてジャンプボタンを押すと、槍を利用して真上方向へ無敵状態になる「スピア・ハイジャンプ」ができる。これを利用して通常のジャンプでは届かない高い足場まで移動できる。武器は槍 → 三又の槍 → 長い三又の槍 → 火炎残像槍の4段階にパワーアップする。究極のサブウェポンは、電撃が画面全体に拡散する「雷電槍」。開発当初のキャラクターイラストでは緑髪だったが、途中で金髪に変更された。しかし、ゲーム中ではデモシーンは金髪になっているが、プレイキャラクターグラフィックは緑髪のままである。
- キンシー・モリス(Quincy Morris)
- ジョニーの父親で、ベルモンド家の血を引いている。1897年にドラキュラとの戦いに終止符を打ち、永遠の眠りにつかせた。説明書にキャラクター紹介とイラストがあるのはジョニー、エリック、ドロテア、エリザベート、ドラキュラのみであり、キンシーはストーリー紹介に名前が出てくるだけで、ゲーム中にも登場しない。
- ドラキュラ伯爵(Dracula)
- 吸血鬼。エリザベートの叔父にあたる。人間と幾度となく長い抗争を繰り広げ、キンシーとの戦いに敗れて灰と化したが、怨念だけは残っている。
- ドロテア・ツェンテス(Drolta Tzuentes)
- 魔女。エリザベートの下僕である謎の老婆で、魔物達を操る。ドラキュラ第一形態が倒されると自ら戦いを挑んでくる。雑誌「ビープ!メガドライブ」では「彼女は死神の仮の姿だという説もあるが、真偽はさだかではない」と書かれてるが[6]、説明書のキャラクター紹介にそのような説明はなく、ボス戦などゲーム中でもドロテアと死神は別になっている。
- エリザベート・バートリー(Elizabeth Bartley)
- ドラキュラ伯爵の姪にあたる女吸血鬼。300年前に処刑されたが蘇った。サラエボでの皇太子暗殺事件に裏で関わり、戦争を引き起こし、ヨーロッパ中の人間の魂を生け贄に、邪悪な儀式によってドラキュラを復活させようとしている。戦闘途中でメデューサに変身(あるいは召喚?)する。
- 死神(Death)
- シリーズ恒例のボスにして、本作ではステージ6の中ボス。最初は八枚のカードを出し、攻撃したカードに応じた攻撃もしくは回復アイテムを出したり、倒したボスを召喚してくる。カードが尽きると空中を飛び鎌攻撃を繰り出して自ら戦いを挑んでくる。
- プリンセス・オブ・モス(Princess of Moss)
- ステージ5のボス。登場時は貴族風の女性姿だが(説明書のステージ紹介にはマリー・アントワネットの亡霊とある)、一定のダメージを受けると巨大な蛾の正体を現す。なお、エンディングスタッフロールでは上記の英語表記になっているのだが、「蛾」は英語で「moth」であり、「moss」だと「苔」の意味になってしまう。
- ギアスチーマー(Gear Steamer)
- ステージ4のボス。歯車の集合体。体当たりや歯車を投げつけて攻撃してくる。コミカルな動きが特徴。
- ガーゴイル(Gargoyle)
- ステージ3のボス。コウモリのような翼と長い尻尾を持つ巨大な怪物。空中を飛び回る。
- ゴーレム(Golem)
- ステージ2のボス。岩石で構成されたボディを持つ胴長短足のゴーレム。ボスの中で最も巨大だが動きは鈍く、瓦礫を降らせ攻撃してくる。
- アーマーバトラー(Armor Battler)
- ステージ1のボス。巨大な動く甲冑。両手に槍と斧を携えている。最終ステージでは通常の敵として登場する。
ユーザー参加企画
編集開発中にメガドライブ専門ゲーム雑誌「メガドライブFAN」誌上にて、ゲームに登場する敵キャラクタとステージトラップのアイデアを読者から募集する「コナミ & メガドライブFAN特別共同企画」というアイデアコンテストが行われ、最優秀賞には金、優秀賞には銀、入賞(3枠)には銅色のオリジナルロムカセットの本作バンパイアキラーが賞品として受賞者に送られた。ゲーム中には下記の最優秀作品が登場している。
- 敵キャラクタ部門最優秀賞: 金賞「フライング・ビートル・ローラー」(ステージ4に登場する甲虫のような敵)、銀賞「首狩りコウモリ」(ステージ5に登場する鎌のような腕を持つ吊り下がった敵)
- ステージトラップ部門最優秀賞: 「シルエット・デーモン」(ステージ5に登場。トロンプ・ルイユの『ルビンの壷』を思わせる柱の中ボス)
他機種版
編集No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 売上本数 | 備考 |
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1 | 悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション |
2019年5月16日 2019年5月16日 2019年5月16日 |
Nintendo Switch PlayStation 4 Xbox One PC(Steam) |
M2 | KDE | ダウンロード | - | - | 収録ソフトの一つ アップデートにより英語版(Castlevania Bloodlines)が追加 |
2 | バンパイアキラー Castlevania: Bloodlines Castlevania: The New Generation |
2019年9月19日 2019年10月4日 2019年9月19日 |
メガドライブ ミニ | M2 | セガゲームス | プリインストール | - | 本体にあらかじめ収録されている42タイトルの中の一つ。 | |
3 | セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online |
2021年10月26日[7] 2021年10月26日 |
Nintendo Switch | 任天堂 M2 |
任天堂 | ダウンロード | - | - |
開発スタッフ
編集- プロデューサー: 桐田富和
- スーパーバイザー: 春木豊
- プログラマー MK1: Hanaten(山村としき)
- エネミープログラム: 武田長
- トラップ & エネミープログラム: 堀尾健一郎
- ワンダリングプログラマー: 古俣浩二
- プログラム: 稲邑秀也
- メインデザイナー: Bunmin(関貞策)
- デザイン: Mamuun(島村信一郎)
- スペシャルデザイン: TAT(高野泰)、Norio Takemoto
- サウンドプログラム: 藤尾敦、笠井治
- サウンドデザイン: 山根ミチル
- パッケージデザイン: M.Yoshihashi(吉橋真弘)、Kaori Sasaki
レビュー
編集評価 | ||||||||||||||
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ゲーム誌「ファミコン通信」のクロスレビューでは、合計で28点(満40点)[8]。「メガドライブFAN」の読者投稿によるゲーム通信簿での平均点は、以下の通りで21.7点(満30点)であった[9]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
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得点 | 3.8 | 3.7 | 3.3 | 3.7 | 3.9 | 3.3 | 21.7 |
「懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー !!」(2018年出版)では、ゴシックホラーの世界観の中、したたり落ちる血の表現や、建物のゆらめき、水面に映る建物の表現など、プレイヤーを視覚的に驚かせるギミックが多数盛り込まれている。高難易度でライトユーザーを寄せ付けない雰囲気もあるが、シリーズになれたプレイヤーなら順応できる作品と評された[1]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c 株式会社QBQ編 『懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー !!』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118704 p70
- ^ ドラキュラ外伝、メガドライブで登場!
- ^ “シリーズ初期の8タイトルを収録!「悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション」発売決定”. セGAME Watch (2019年4月19日). 2019年4月19日閲覧。
- ^ “メガドライブミニ公式サイト>VAMPIRE KILLER(バンパイアキラー)紹介ページ”. セガ (2019年3月31日). 2019年3月30日閲覧。
- ^ Balofsky, Jonathan (2024年7月31日). “Fan Developer Bringing Castlevania: Bloodlines To The SNES” (英語). 2024年8月3日閲覧。
- ^ [1]
- ^ ““Nintendo Switch Online+追加パック”が本日よりサービス開始。ニンテンドウ64やメガドラソフトが楽しめる! 11/5からは『あつ森』DLCも!!” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2021年10月26日). 2021年10月31日閲覧。
- ^ a b “バンパイアキラー [メガドライブ]/ ファミ通.com” (日本語). Gzブレイン. 2015年7月5日閲覧。
- ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店 / インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、873頁。
- ^ “Castlevania: Bloodlines for Genesis - GameRankings”. GameRankings. November 16, 2013閲覧。