バンディアガラの断崖(バンディアガラのだんがい、: La falaise de Bandiagara)は、マリ共和国ドゴン族居住地域となっている断崖。その壮観な自然環境と、マルセル・グリオールの紹介によって広く知られるようになったドゴン族の文化が保持されている地域であることから、ユネスコ世界遺産に登録されている(ID516)。

世界遺産 バンディアガラの断崖(ドゴン人の地)
マリ共和国
バンディアガラの断崖
バンディアガラの断崖
英名 Cliff of Bandiagara (Land of the Dogons)
仏名 Falaises de Bandiagara (pays dogon)
面積 4000km2
登録区分 複合遺産
IUCN分類 天然記念物 (III)
登録基準 (5) (7)
登録年 1989年(ID516)
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
バンディアガラの断崖の位置
使用方法表示
バンディアガラの断崖
南方からみたバンディアガラの断崖
地域 マリ共和国モプティ州
面積 4,000 km2
創立日 1985年
断崖の近接光景

この断崖の標高差は500mであり、幅は150kmに及んでいる。この断崖の所々や、断崖の裾野に、ドゴン族はおよそ700の村落を作り、25万人ほどが暮らしている。ドゴン族がこの地に定住を始める以前にはテラン族英語版(Tellem)たちの居住地として使われていたが、ドゴン族の流入によって駆逐されテラン族はドゴン族に吸収された。

ドゴン族は独自の神話体系を持ち、キリスト教イスラームに帰依することなくその神話を強固に保持し続けてきた。この神話の中には、シリウスに関する非常に高度な知見が含まれているとされ、オーパーツ的な知識として注目されたこともあるが、その後の調査では、ごく一部のドゴン族グループにしかシリウスに関する神話は存在しないことが判明、またそのシリウス神話に関しても、シリウスが連星であることが知られておらず、決して高度な天文知識は含まれていないことが判明している(ドゴン族の神話を参照)。

このように伝統文化を重んじて集落を営んできたドゴン族だが、都市への人口流出はこの地域にも見られる。また、観光客が押し寄せることによって、伝統的な儀式の位置づけなども変容しつつあることなどが指摘されている。

一帯は自然も豊かであり、高原平野および侵食による洞窟砂丘、岩壁など多様な地形がある。ドゴン族の伝統医学に用いられる薬用植物でバンディアガラの断崖にしか生息していない固有種Acridocarpus monodii英語版が生えているほか、ドゴン族の神聖な儀式に関わるオグロスナギツネジャッカルワニも生息している[1]

登録基準

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この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。

脚注

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  1. ^ Cliff of Bandiagara (Land of the Dogons)” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年4月29日閲覧。

参考文献

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  • ユネスコ世界遺産センター(監修)『ユネスコ世界遺産 (12) 中央・南アフリカ』講談社、1997年
  • 中川武 三宅理一 山田幸正(監修)『世界遺産を旅する・第12巻(エジプト・アフリカ)』近畿日本ツーリスト、1999年

座標: 北緯14度21分32秒 西経3度35分42秒 / 北緯14.35889度 西経3.59500度 / 14.35889; -3.59500