バタク・トバ語
バタク・トバ語 (Toba Batak) はインドネシアのスマトラ島北部、主にトバ湖の西側で使用されているオーストロネシア語族のマレー・ポリネシア語派に属する言語である。バタク文字を使用し、約200万人に使用されている。日常生活ではほぼ使われなくなったが、学校教育の中でわずかに文化史教育の一環として教えられている。
バタク・トバ語 | |
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Bahasa Toba | |
話される国 | インドネシア |
地域 | 北スマトラ州 |
話者数 | 200万人 |
言語系統 |
オーストロネシア語族
|
表記体系 | ラテン文字、バタク文字 |
言語コード | |
ISO 639-3 |
bbc |
バタク・トバ語の特徴
編集文字
編集バタク文字は音節文字で、自立的な「字母」と付属的な「符号」とからなる体系である。字母は、内属母音/a/を含んだ音節/Ca/(子音+a)を表記する。ただし母音のみの音節/i/および/u/を表記する特別な字母も存在する。[1]。字母は「Ina ni surat」、符号は「Anak ni surat」と呼ばれる。
記述は伝統的に、左から右へと竹に刻むことで行われる。また、竹の下から上へと書き進むため竹を垂直に持つなどして読む。アルファベットはsi-sija-sija(9・9)と呼ばれる。これは字母の総数が、1本来表記には必要のないnyaを除き9+9つまり18個であることに由来する。
字母
編集文字の表記は以下の通り。
IPA | a | ha | ma | na | ra | ta | sa | pa | la | ga | dʒa | da | ŋa | ba | wa | ja | ɲa | i | u |
Ina ni surat |
符号
編集内属母音以外の母音は、字母に符号をつけることで表記できる。 また、内属母音抹消符号(pangolat)をつけることで子音のみを表記できる。[1]
文字の表記は以下の通り。ここでは/Ka/を例にとる。
音価 | 文字表記 | 名称 |
---|---|---|
ke | hatadingan | |
ki | haluain | |
ko | siala | |
ku | haborotan/haboruan | |
kang | hamisarang/paminggil | |
子音のみ | pangolat |
音韻
編集母音
編集a /a/
i /i/
u /u/
e /é/ /è/
o /o/ /ô/
母音/é/と/è/、/o/と/ô/はそれぞれeおよびoによって区別なく表記される。
子音
Solid | Fluid | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Edged | Blunt | Nasals | Semi-Vowels | Triller | Aspirate | ||
Gutturals | k | g | ng | r | h | ||
Palatals | (tj) | dj | (nj) | j | |||
Dentals | t | d | n | l | |||
Labials | p | b | m | w | |||
sibilant | s |
形態論
編集バタク・トバ語では、動詞が「基語」と「派生語」にわかれる。派生語は接辞を基語につけることによって作られる。そのうち、一種類の接辞が付くものを「simple derived verbs」、それ以上の数の接辞が付くものを「compound derived verbs」と呼ぶ。[3]simple derived verbsに付く接辞は6種類あり、「ma-」「mang-」「mar-」「um-」「pa-」「ha-」がある。compound derived verbsに着く接辞は11種類あり、「ma-hi」「ma-si」「mang-si」「ma/mang/mar-hu」「mangun」「mangi」「mar-si」「pa-tu」「ur/ar」「al」「mangha/marha]がある。このうちur/ar/alは接中辞である。
重複が表す意味は語に依存する。動作を表す語であれば動作の繰り返しや継続を表し、動作でない場合はそれに似た状況を表す。
例 linjang-linjang 「穴のようなもの」
また動詞の重複は基語のみが繰り返される。
例 manomba-nomba