バウギ
北欧神話において、バウギ(古ノルド語: Baugi)は霜の巨人でスットゥングの弟である。スットゥングは父を殺害したフィアラルとガラールから詩の蜜酒を得た後、それを隠匿していた。
『スノッリのエッダ』第二部『詩語法』によると[1]、オーディンはこの蜜酒を入手することに決めた。オーディンはボルヴェルクと名乗ってはバウギの元へ行き、彼の9人の奴隷を殺し合わせた。働き手をなくしたバウギのために、オーディンは農民として夏の間中働いた。秋になるとオーディンは報酬として、スットゥングの保管している蜜酒の数口分を要求した。バウギとオーディンはスットゥングに頼みに行ったが断られた。そこでバウギは、蜜酒を隠している山にラチ[2](Rati)という錐で穴を開けた。するとオーディンは蛇に変身し、内部に滑り込んだ。内部ではスットゥングの娘グンロズが蜜酒を守っていた。オーディンは彼女を口説いて3夜を共にし、自分に3口分だけ譲ってくれるように彼女を説得し、ついに彼女が応じた。オーディンはその蜜酒を全部飲み込み、鷲に変身して逃げたのである。
脚注
編集- ^ 『「詩語法」訳注』5-6頁。
- ^ 『北欧の神話伝説(I)』(松村武雄編、名著普及会〈世界神話伝説大系29〉、1980年改訂版、ISBN 978-4-89551-279-4)48頁で確認した表記。