フェンチオン (fenthion) は有機リン殺虫剤の一つ。日本では商標名バイジットとして水稲用等の農薬として用いられ、バルサンウジ殺し乳剤としてハエ駆除用、チグホンスポットとして駆除用にも用いられている。

フェンチオン
識別情報
CAS登録番号 55-38-9
PubChem 3346
特性
化学式 C10H15O3PS2
モル質量 278.33 g mol−1
外観 無色の液体、工業用(純度95-98%)のものは黄色ないし茶色の油状液体[1]
匂い 工業用のものはわずかなニンニク
融点

7.5 °C, 281 K, 46 °F

沸点

(沸点以下で分解)[1]

への溶解度 不溶
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

濃度2%以上は劇物指定。動物では特に鳥類に対して毒性が強く、国家によっては「殺鳥剤」として認可されて使われる(日本では殺鳥剤が認められない)。このため野生鳥類への影響が問題とされている。

用途

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フェンチオンは害虫の殺虫剤、殺ダニ剤、殺鳥剤と使われ、ミバエヨコバイ鉄砲虫アブラムシコドリンガハタオリドリ科の鳥に対して使用されている。ウエストナイル熱対策で、蚊の防除に使用されている。

穀物サトウキビトウモロコシテーブルビート柑橘類ピスタチオ綿オリーブコーヒー豆ココア野菜ブドウに使用されている。

また、シラミノミハエダニおよび他の外部寄生虫を駆除するために家畜(ウシブタイヌ)などにおいて使用されている。

の防虫剤としても利用される[1]

毒性

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縮瞳頭痛吐き気嘔吐めまい筋力低下眠気倦怠感興奮、または不安の急性中毒を引き起こす。中等度または重度である場合、高血圧腹痛下痢、重い流涎、多量の発汗胸苦しさが現れ、使用者は昏睡呼吸停止発作反射の消失し弛緩性麻痺が発生するために、自殺企画者がいる。

野鳥でフェンチオン中毒が起こり、縮瞳、流涎、震顫、歩行困難、呼吸困難の症状、原因不明の死亡が現れた。フェンチオンは魚や水生無脊椎動物に対する毒性が強く、ミツバチもフェンチオンの影響を受けることが判明している。

性質

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フェンチオンは、光化学的に生成されたヒドロキシルラジカルと速やかに反応し、その半減期は約5時間。 通常の水中環境下では、水中でのフェンチオンの半減期は2.9~21.1日である。

土壌中では、フェンチオンは4~6週間で劣化する。

脚注

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  1. ^ a b c 東賢一『建築に使われる化学物質事典』風土社、2006年5月1日、302頁。ISBN 4-938894-80-7