ハンフリー・ボガート

アメリカの俳優 (1899-1957)

ハンフリー・ディフォレスト・ボガートHumphrey DeForest Bogart, 1899年12月25日- 1957年1月14日)は、ニューヨーク出身のハリウッド映画俳優。愛称はボギー

Humphrey Bogart
ハンフリー・ボガート
ハンフリー・ボガート
1941年宣伝写真
本名 Humphrey DeForest Bogart
生年月日 (1899-12-25) 1899年12月25日
没年月日 (1957-01-14) 1957年1月14日(57歳没)
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
職業 俳優
ジャンル 映画
配偶者 ヘレン・メンケン(1926-1927)
Mary Philips (1928-1937)
Mayo Methot (1938-1945)
ローレン・バコール (1945–1957)
主な作品
マルタの鷹』(1941年)
カサブランカ』(1942年)
脱出』(1944年)
三つ数えろ』(1946年)
黄金』(1948年)
アフリカの女王』(1951年)
受賞
アカデミー賞
主演男優賞
1952年アフリカの女王
AFI賞
映画スターベスト100
1999年 男優部門第1位
その他の賞
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来歴

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ニューヨークにおいて、イングランドオランダ系の血をひく外科医の父ベルモント・デフォレスト・ボガートと、イングランド系で画家の母、モード・ハンフリーの間に生まれる。父は厳格なプレスビテリアン、母は厳格なエピスコパリアンだった[1]

家庭が裕福だったこともあり、イェール大学へ進学するよう希望していたが、ボガートは高校を中退。1918年海軍に入隊するも、3年後に除隊。やがてブルックリンの劇場で舞台に立ち、俳優の道を志す。

1930年ジョン・フォード監督の『河上の別荘』で初出演を果たす。1936年の『化石の森』に出演して以降15年近くにわたり、ワーナー・ブラザースの専属に近い形で俳優活動を行った。

1930年代ギャング映画の敵役を多く演じたが、40歳を過ぎて主演した『ハイ・シェラ』や『マルタの鷹』のようなフィルム・ノワール作品や『カサブランカ』などで、ハードボイルド・スターの地位を確立。後年は演技派としても活躍し、『アフリカの女王』(1951年)ではアカデミー賞主演男優賞を受賞した。 1947年にはハリウッドのマッカーシズムに反対し、傍聴の様子はライフ (雑誌)にも掲載された。

1940年代 - 1950年代を代表する名優として、時代の象徴的存在に挙げられることが多い。1999年アメリカン・フィルム・インスティチュートが発表した「映画スターベスト100」では男優の1位に輝いている。

晩年に食道癌を宣告され、妻と共に闘病するものの1957年1月14日に永眠する。

人物

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ボガートはヘビースモーカーとして知られ、また酒豪でもあった。愛飲酒はドランブイスコッチウイスキーベースの薬用酒)で、飲んだ量に比例して毒舌が激しくなるといわれた。

ジョン・ヒューストンとも馬が合い、彼の監督デビュー作である『マルタの鷹』をはじめ、『黄金』、『キー・ラーゴ』、『アフリカの女王』、『悪魔をやっつけろ』など、死去するまで数多くの作品で主演を務めた。また、マイケル・カーティスラオール・ウォルシュとも交流は深かった。

57年の生涯の中で4度結婚をしている。4人目の妻ローレン・バコールとは非常に仲がよく、彼女との間に1男1女をもうけている。バコールの自伝によると、ボガートはその死まで、妻のことを「キッド」と呼んでいたらしい。

トレンチコートの襟を立て、紙巻きたばこをキザに咥えて吹かす」というボガートの姿を真似する人も多い。なお、正しい「ボガート・スタイル」では、指に挟むのではなく葉巻のように摘まんで持つ。

主な出演映画

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公開年 邦題
原題
役名 備考
1930 河上の別荘
Up the River
スティーヴ・ジョーダン
1931 肉と霊
Body and Soul
ジム
各国の女
Women of All Nations
ストーン 出演シーン削除
姉妹小町
Bad Sister
ヴァレンタイン・コーリス
1932 舗道の三人女
Three on a Match
ハーヴ
1936 化石の森
The Petrified Forest
デューク・マンティ
弾丸か投票か!
Bullets or Ballots
バグス
太平洋横断機
Across the Pacific
ハップ・スチュアート
1937 札つき女
Marked Woman
デヴィッド・グラハム
倒れるまで
Kid Galahad
ターキー・モーガン
デッドエンド
Dead End
ベビーフェイス・マーティン
1938 少年院
Crime School
マーク
メン・アー・サッチ・フールズ
Men Are Such Fools
ハリー・ギャリオン
犯罪博士
The Amazing Dr. Clitterhouse
ロックス・ヴァレンタイン
汚れた顔の天使
Angels with Dirty Faces
ジェームズ・フレイザー
1939 オクラホマ・キッド
The Oklahoma Kid
ウィップ・マッコード
脱獄者の報酬
You Can't Get Away with Murder
フランク・ウィルソン
愛の勝利
Dark Victory
マイケル
彼奴(きやつ)は顔役だ!
The Roaring Twenties
ジョージ・ハリー
前科者
Invisible Stripes
チャック・マーティン
1940 ヴァジニアの血闘
Virginia City
ジョン
田舎町
It All Came True
Grasselli/Chips Maguire
顔役
Brother Orchid
ジャック・バック
夜までドライブ
They Drive by Night
ポール・ファブリーニ
1941 ハイ・シェラ
High Sierra
ロイ・アール 事実上の初主演作品
マルタの鷹
The Maltese Falcon
サム・スペード
1942 パナマの死角
Across the Pacific
リック・レランド
カサブランカ
Casablanca
リック・ブレイン
1943 サハラ戦車隊
Sahara
ジョー・ガン
北大西洋
Action in the North Atlantic
ジョー・ルッシ
1944 渡洋爆撃隊
Passage to Marseille
ジャン
脱出
To Have and Have Not
ハリー・モーガン
1945 追求
Conflict
リチャード・メイソン
1946 三つ数えろ
The Big Sleep
フィリップ・マーロウ
第二の妻
The Two Mrs. Carrolls
ジョフリー・キャロル
1947 潜行者
Dark Passage
ヴィンセント・ペリー
1948 黄金
The Treasure of the Sierra Madre
ダブス
キー・ラーゴ
Key Largo
フランク・マクラウド
1949 暗黒への転落
Knock on Any Door
弁護士アンドリュー・モートン
東京ジョー
Tokyo Joe
ジョー・バレット
1950 大空への挑戦
Chain Lightning
マット・ブレナン
孤独な場所で
In a Lonely Place
ディクソン・スティール サンタナ・プロ製作
1951 脅迫者
The Enforcer
マーティン・ファーガソン
モロッコ慕情
Sirocco
ハリー・スミス
アフリカの女王
The African Queen
チャールズ(チャーリー)・オルナット アカデミー主演男優賞受賞
1952 デッドライン~USA
Deadline - U.S.A.
エド・ハッチソン
1953 悪魔をやっつけろ
Beat the Devil
ビリー
1954 ケイン号の叛乱
The Caine Mutiny
フィリップ・クイーグ中佐
麗しのサブリナ
Sabrina
ライナス・ララビー
裸足の伯爵夫人
The Barefoot Contessa
ハリー・ドーズ
1955 俺達は天使じゃない
We're No Angels
ジョセフ
必死の逃亡者
The Desperate Hours
グレン・グリフィン
1956 殴られる男
The Harder They Fall
エディ

受賞歴

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アカデミー賞

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受賞
1952年 アカデミー主演男優賞:『アフリカの女王
ノミネート
1944年 アカデミー主演男優賞:『カサブランカ
1955年 アカデミー主演男優賞:『ケイン号の叛乱

英国アカデミー賞

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ノミネート
1953年 最優秀外国男優賞:『アフリカの女王

ニューヨーク映画批評家協会賞

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ノミネート
1942年 主演男優賞:『カサブランカ』、『パナマの死角

パロディほか

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勝手にしやがれ』(1959年)
ジャン=リュック・ゴダールのデビュー作。ハンフリー・ボガートを崇める主人公のミシェルは、マルセイユで自動車を盗み、追ってきた警察官を射殺する…。
ボギー!俺も男だ』(1973年)
ウッディ・アレンの舞台戯曲を彼自らの脚本・主演で映画化。ボガートへのオマージュに満ちたコメディ映画。
原題 『Play It Again, Sam』 は映画『カサブランカ』が由来なのだが、厳密にはボガートはもちろん作中では誰もこの台詞は口にしていない。物真似芸人がボガートの真似をする際にこの言葉を多用したため、多くの人が「『カサブランカ』の中に登場する台詞」と誤解するにいたった。
『ハリウッドに別れを』(1975年)
アンドリュー・バーグマン作の探偵小説。1950年代のハリウッドが舞台になっており、ボガートが主人公の私立探偵を助ける役回りで登場する。
名探偵再登場』(1978年)
ニール・サイモン脚本の全編『マルタの鷹』と『カサブランカ』のパロディ。ボガートもどきの迷探偵ルー・ペキンポーをピーター・フォークが嬉々として演じた。同じスタッフで作られた『名探偵登場』(1976年) でもフォークはボガートのパロディ(こちらの探偵の名はサム・スペードならぬサム・ダイヤモンド)を演じている。
カサブランカ・ダンディ』(1979年)
日本の歌手である沢田研二の26枚目のシングル。「ボギー」が歌詞に登場する。
哀愁のカサブランカ』(1982年)
バーティ・ヒギンズ (en) の1982年のデビューアルバム (en) のシングル収録曲で、1942年の同名映画へのトリビュート作である『Casablanca』を、同年日本の歌手である郷ひろみがカバーしたもの。 その他、鳥羽一郎の『カサブランカ・グッバイ』(1996年) が男女の別れを描いているが、同映画と関連するかは不明。
四つ数えろ』(1982年)
スティーブ・マーティン主演のパロディ映画。ボガートらのハードボイルド映画を編集でつなぎ合わせて、マーティンの新作カットを押し込み一本の映画にでっちあげた。マーティンの演じる探偵のキャラクター自体もボガートの真似。
新・俺がハマーだ!」(1987年)
爆裂刑事スレッジ・ハマーの活躍(?)を描くコメディドラマ・シリーズの第17話「ハマー 俺も男だ!」に、ボルサリーノ帽&トレンチコートのそっくりキャラクターが登場。停職中に探偵稼業を始めたハマーを事件の真相に導く。セリフ「君の瞳に乾杯」、楽曲「アズ・タイム・ゴーズ・バイ(時の過ぎゆくままに)」のフレーズも。
ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年)
一瞬だけ登場する。セリフはない。

エピソード

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  • 日本語吹き替えは、久米明が専任で務めている(次いで大木民夫が起用されていた)が、久米がボガートの吹き替えを始めた頃にはボガードは既に故人であった。
  • 松田優作は『探偵物語』で山口剛から「ボギーをイメージして演じてくれ」と言われたが、「そんなにかっこいいか? 捻り鉢巻すれば寿司屋の親父だろ」と拒んでいる。
  • ルパン三世において、次元大介がボガートとマリリン・モンローの長年のファンであると話すシーンがある。
  • 太陽にほえろ!』の春日部一刑事のニックネームは、ハンフリー・ボガートの愛称である「ボギー」に因んでおり、劇中でもそれが明確に言及されている。

脚注

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  1. ^ "The religious affiliation of Humphrey Bogart." Adherents.com.

外部リンク

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