ハロルド・クーン
ハロルド・クーン(Harold William Kuhn、1925年7月29日-2014年7月2日)は、カリフォルニア州サンタモニカ生まれのアメリカの数学者、経済学者である。プリンストン大学名誉教授であり、専門は数学、線形計画法、非線形計画法、ゲーム理論、組み合わせ最適化、オペレーションズ・リサーチである。日本ではハロルド・キューンと呼ぶ人もいる。
ハロルド・クーン | |
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生誕 |
1925年7月29日 アメリカ合衆国 サンタモニカ |
死没 |
2014年7月2日 (88歳没) アメリカ合衆国 ニューヨーク |
居住 | アメリカ合衆国 |
国籍 | アメリカ合衆国 |
研究分野 | 数学, 経済学 |
研究機関 | プリンストン大学 |
博士課程 指導教員 | ラルフ・フォックス |
博士課程 指導学生 |
ギレルモ・オーウェン リチャード・スターンズ |
主な業績 |
ハンガリー方法 カルシュ=クーン=タッカー条件 クーン・ポーカー |
主な受賞歴 | ジョン・フォン・ノイマン理論賞 (1980年) |
プロジェクト:人物伝 |
略歴
編集- 1925年 カリフォルニア州サンタモニカで生まれる。
- 1944年~1946年 アメリカ陸軍で働く(イェール大学で「陸軍言語プログラム」の日本語訓練を受ける)。
- 1947年 カリフォルニア工科大学を卒業する(B.S.)。
- 1948年 プリンストン大学で修士号を取る(M.A.)。
- 1950年 プリンストン大学で博士号を取る(Ph.D.)。
- 1949年~1950年 プリンストン大学の専任講師(the Henry B. Fine Instructor)となる。
- 1950年~1951年 フルブライト研究学者としてパリで勉強する。
- 1951年 プリンストン大学の講師(Lecturer)となる。
- 1952年 ブリン・マー・カレッジの准教授となる。
- 1958年~1959年 全米科学財団シニア博士研究者フェローとしてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで研究する。
- 1959年 プリンストン大学の准教授となる。
- 1963年 プリンストン大学の教授となる。
- 1965年~1966年 全米科学財団シニア博士研究者フェローとしてローマ大学で研究する。
- 1971年~1972年 全米科学財団教員研究者フェローとしてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで研究する。
- 1995年 プリンストン大学の教授を停年退職となる(Professor of Mathematical Economics Emeritus)。
- 2005年 ニューヨーク市に転居する。
- 2014年 死没。
栄誉・受賞
編集- 1980年 オペレーションズ・リサーチ学会よりジョン・フォン・ノイマン理論賞を受ける(デヴィッド・ゲール、アルバート・タッカーと同時受賞)。
- 1982年 グッゲンハイム助成金を得る。
- 1992年 アメリカ芸術科学アカデミーのフェローとなる。
- 2002年 オペレーションズ・リサーチ経営科学研究所(INFORMS)からフェローズ賞を得る。
主な業績
編集- 大学教授としては、経済学者として価格理論、経営経済学、ミクロ経済学、貿易理論、数理経済学を教え、数学者として線形計画法、非線形計画法を教えた。
- 学者としては、非線形計画法(アルバート・タッカーと共同、1950年)、広範囲ゲーム(1950年)、割当て問題のハンガリー方法(1955年)、2行列ゲーム・ナッシュ均衡のアルゴリズム(1959年)、スパーナーの補助定理の拡張(1960年)、単体の細分による固定点の近似値(1968年)、多項式のゼロのためのアルゴリズム(1974年)などの研究がある。
- また、アルバート・タッカーと共編の『ゲーム理論(Ⅰ)(Ⅱ)』と『線形不等式と関係システム』を出版して、貢献した。
- G・P・Szegoと共編した『数学システム理論と経済学』(スプリングラー=ヴァーラグ社)および『微分ゲーム』(ノース=ホーランド社)を出版した。
- (1953年に研究したことのある)非対称の6都市旅行セールスマン問題について、1991年にヘイル・トゥロッタと共同研究で、完全な集合を見出した。
- 「割当て問題に対するハンガリー方法」の記述と同様に、「クーン・ポーカー」を発展させるために、カルシュ=クーン=タッカー条件が有名である。
著作
編集日本語訳
編集- ハロルド・クーン、シルヴィア・ナサー著『ナッシュは何を見たか――純粋数学とゲーム理論』、落合卓四郎・松島斉共訳、シュプリンガー・フェアラーク東京、2005年
原著
編集- Kuhn, H.W. "Contributions to the Theory of Games, I (AM-24).", Princeton University Press, 1950.
- Kuhn, H.W. "Contributions to the Theory of Games, II (AM-28).", Princeton University Press, 1953.
- Kuhn, H. W. , "The Hungarian method for the assignment problem", Naval Research Logistics Quarterly, 2:83–97, 1955.(Republished as: Kuhn, H. W. , "The Hungarian method for the assignment problem", Naval Research Logistics, 52(1):7–21, 2005.)
- Kuhn, H.W. "Linear Inequalities and Related Systems (AM-38)", Princeton University Press, 1956.
- Kuhn, H.W. "Classics in Game Theory.", Princeton University Press, 1997.
- Kuhn, H.W. and Nasar, Sylvia, editors. "The Essential John Nash.", Princeton University Press, 2001.
- Kuhn, H.W. "Lectures on the Theory of Games.", Princeton University Press, 2003.