ハマウツボ
ハマウツボ(浜靫、学名:Orobanche coerulescens)は、ハマウツボ科ハマウツボ属の一年草。葉緑素を欠いた完全な寄生植物[3][4][5]。
ハマウツボ | ||||||||||||||||||||||||
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青森県種差海岸 2017年7月
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Orobanche coerulescens Stephan ex Willd.[1][2] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ハマウツボ(浜靫)[3][4] |
特徴
編集宿主はキク科ヨモギ属で、その根に寄生する。地下の根茎は塊状に肥大し、肉質のひげ根を出して宿主の根につく。茎は太い円柱形で、黄褐色になり、高さは10-25cmに伸長し、まばらに白色の軟毛が生える。葉は鱗片状に退化し、色は黄褐色、長さ7-15mmになる狭卵形または披針形で、先端は膜質となってとがり、白い軟毛がまばらに生える[3][4][5]。
花期は5-7月。茎の上部に穂状花序をつくり、多数の淡紫色の花をつける。一つ一つの花の基部に鱗片状の苞葉があり、長さ7-15mmで披針形から三角状卵形で先はとがる。萼は膜質で2片に深く裂け、各片がさらに2裂して長さは1cmになり先はとがる。花冠はは長さ1.5-2cmの太い筒部のある唇形になり、上唇は浅く2裂し、下唇は3裂し、縁は波状になる。花軸、苞、萼、花冠の外面に白い軟毛が密に生える。雄蕊は4個あり、背面の2本がやや長いが、4個とも花筒の内面に付着して花筒を出ない。子房は1室、4個の胎座があり、花柱は1個で長く先が広がりへこむ。果実は長さ約1cmになる狭楕円形の蒴果になる。種子はきわめて小さな球形で、黒色になり、網目模様がある[3][4][5]。
分布と生育環境
編集日本では、北海道、本州、四国、九州、琉球諸島に分布し[5]、海岸や川原の砂地に生え、ヨモギ属、とくにカワラヨモギの根に寄生する[3][5]。国外では、朝鮮半島、台湾、中国大陸、シベリア、ヨーロッパ東部に分布する[5]。
名前の由来
編集和名ハマウツボは、「浜靫」の意で、海岸に生え、花穂が矢を入れる靫(うつぼ)に似ているため[3][4]、またはシソ科のウツボグサの花に似ているためいう[5]。ウツボグサの和名の由来は、本種と同様である。
学名 Orobanche coerulescens のうち、属名 Orobanche は、orobos + anchein で、ギリシャ語で「(マメ科の一種の)orobos」+「絞め殺す」の意味。この属にマメ科植物に寄生するものがあるため。また、種小名 coerulescens は、「青色に変わる、青色の」の意味[4]。
保全状況評価
編集- 絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
(2017年、環境省)
ギャラリー
編集下位分類
編集脚注
編集- ^ ハマウツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f g h Orobanche coerulescens, The Plant List.
- ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』p.154
- ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.700, p.1304, p.1322
- ^ a b c d e f g h i 『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.153-154
- ^ ハマウツボ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ シロバナハマウツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
参考文献
編集- 林弥栄監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- 日本のレッドデータ検索システム
- The Plant List
外部リンク
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