ハヌマンラングールSemnopithecus entellus)は、霊長目オナガザル科に分類される霊長類。

ハヌマンラングール
ハヌマンラングール
ハヌマンラングール Semnopithecus entellus
保全状況評価[1][2]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 霊長目 Primates
亜目 : 直鼻亜目 Haplorrhini
下目 : Simiiformes
小目 : Catarrhini
上科 : オナガザル上科 Cercopithecoidea
: オナガザル科 Cercopithecidae
亜科 : コロブス亜科 Colobinae
: Semnopithecus
Desmarest, 1822
: ハヌマンラングール S. entellus
学名
Semnopithecus entellus (Dufresne, 1797)
和名
ハヌマンラングール
ハヌマンザル
英名
Hanuman langur

分布

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インドスリランカパキスタンバングラデシュ中華人民共和国ネパール

形態

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体長オス51 - 78センチメートル、メス41 - 68センチメートル。尾長69 - 108センチメートル。体重オス8 - 20キログラム、メス5 - 17キログラム。メスよりもオスの方が大型になる。体形は細長い。ラングールはサンスクリット語で「痩せたサル」の意。ヒンディー語で「長い尻尾」の意[3][要検証]。全身は灰褐色の体毛で覆われる。

顔や四肢の甲では黒い皮膚が露出している。四肢は細長い。

分類

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英語版やワシントン条約等では、基亜種S. e.entellus以外の亜種のうちの一部をハヌマンラングール属の別種としている。

生態

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低地から標高3500mまでの森林等に生息する。樹上にも登るが、主に地上棲。1頭もしくは少数のオスと、数十頭のメスや幼獣からなる中規模な群れを形成し生活する。若いオスのみで群れを形成することもある。近年若いオスが群れのオスを追い出しした後に、追い出したオスとメスとの間に産まれた幼獣を殺すこと(子殺し)が初めて確認されたサルとして有名である。しかしこの生態にも地域変異があるらしく、上記の1つの群れに複数のオスが含まれる個体群においては子殺しは行われないようである。

樹上での生活において長い尾は役立つが、地上での移動する際は邪魔なため尾を上げて移動する。尾の上げ方にも地域変異がある。

食性は植物食で、木の若、樹皮、果実、レンズ豆・唐辛子などの種子等を食べる。

繁殖形態は胎生で、1回に1頭の幼獣を産む。

人間との関係

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ハヌマン(ハヌマーン)はインド神話(『ラーマーヤナ』)に登場する神で、本種の形態がハヌマーンを連想させたと思われる。

生息地ではハヌマーンの使いと信じられている。インドにおいてハヌマーンの民間信仰は強くそれに伴い、本種は手厚く保護されている。そのため本種は人を恐れることなく都市部や寺院等にも生息し、民家や商店から食物を奪い取ることもある。(現地では)人に被害を及ぼすアカゲザルにとってライバル的な存在のため、アカゲザル撃退用に猿回し芸人がラングールを調教し、使役している。

参考文献

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  1. ^ Appendices I, II and III<http://www.cites.org/>(accessed[リンク切れ] April 11, 2016)
  2. ^ Mitra, S. & Molur, S. 2008. Semnopithecus entellus. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T39832A10274074. doi:10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T39832A10274074.en, Downloaded on 11 April 2016.
  3. ^ 2009年9月1日放送アニマルプラネットのBBCどうぶつ図鑑より
  • 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、33頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館、2002年、143頁。

関連項目

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