ハゼクチ(鯊口、Acanthogobius hasta)は、河川感潮帯にくらす大型のハゼ。別名は、ハシクイ、ハゼなどがある。ハゼクチという名は福岡県柳川での呼び名。

ハゼクチ
保全状況評価
絶滅危惧II類環境省レッドリスト
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ハゼ亜目 Gobioidei
: ハゼ科 Gobiidae
亜科 : ゴビオネルス亜科 Gobionellinae
: マハゼ属 Acanthogobius
: ハゼクチ A. hasta
学名
Acanthogobius hasta
Temminck and Schlegel, 1845
英名
Hazekuti
頭部

分布

編集

日本の有明海八代海の北部海域、渤海黄海杭州湾河口、南シナ海の、河川感潮帯の泥底に生息する。仔稚魚は河口沖で浮遊生活をおくり、その後、河川感潮帯に移動する。[1][2]

形態

編集

若魚マハゼに類似するが、成長とともに尾部が伸び、成魚は細長い体形となる。日本最大のハゼ科の魚類で、オスは成熟するとほほが肥大する。体側や尾鰭に黒点がないことでマハゼと区別可能。[1][2]

生態

編集

着底後は多毛類アミ類やヨコエビ類を食べ、15cmを超えるとカニ類やゴカイや小型魚類を食べる。繁殖期は3-4月。卵は飼育下で15日でふ化し、ふ化直後の仔魚は6mm。約18日間の浮遊生活を送り、10mmになるとが完成し着底する。1年で成熟し、産卵後は死亡する年魚。大陸遺存種[3][1]

利用

編集

潮待ち網(小型の定置網)、成熟個体は河口沖の延縄、干潟の手づかみ漁で獲られ、高値で取引される。鱗は細かくマハゼと比べると硬い。白身でうま味は強くない。刺身煮つけ天ぷら、小形は唐揚げで食される。は秋~冬。[3][2]

保全状況

編集

干潟干拓や、河口の汚濁、河口堰の建設などによって個体数が減少し、環境省によって絶滅危惧Ⅱ類に指定された。漁獲によっても減少している。[1]

脚注

編集
  1. ^ a b c d 細谷和海 『増補改訂 日本の淡水魚』 山と渓谷社 494頁
  2. ^ a b c ハゼクチ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑”. ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑. 2022年9月20日閲覧。
  3. ^ a b ハゼクチの特徴 | 釣魚図鑑(特徴・仕掛け・さばき方) | Honda釣り倶楽部”. Honda公式ホームページ. 2022年9月20日閲覧。