ハステロイ(HASTELLOY)はおもにニッケル基にモリブデンクロムを多く加えることで耐食性や耐熱性を高めた合金であり、米ヘインズ社(Haynes International, Inc)の商標である。 広く使用されている合金群であるため日本でも一般名化している。

ニッケルを主成分とする合金でモリブデンやクロム、などの成分量の違いで、ハステロイB、ハステロイCなどがある。析出硬化型のニッケル基合金に属し、耐酸化性の高いものや耐熱性が高い金属であるため、腐食性環境や高温環境での使用に向くが、物理的強度やクリープ強度、疲労強さは特段の強さを持たないため、構造材には向かない。

一般に、圧力計のダイヤフラムなどの耐食性が求められる場合やジェットエンジンの燃焼室などの耐熱性が求められるもの[1]に使用される。日本国内ではMMCスーパーアロイ社(三菱マテリアルグループ)(旧三菱マテリアル桶川製作所)、大同特殊鋼株式会社などで相当材の製造が行われている。

種類と組成

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合金の商品名
"HASTELLOY ○○"
Ni Co Cr Mo W Fe Si Mn C その他
B-2 69 ≦1 ≦1 28 ≦2 ≦0.1 ≦1 ≦0.01
B-3 ≧65 ≦3 1.5 28.5 ≦3 1.5 ≦0.1 ≦3 ≦0.01 Al≦0.5, Ti≦0.2
C-4 65 ≦2 16 16 ≦3 ≦0.08 ≦1 ≦0.01 Ti≦0.7
C-2000 59 ≦2 23 16 ≦3 ≦0.08 ≦0.01 Cu-1.6
C-22 56 ≦2.5 22 13 3 3 ≦0.08 ≦0.5 ≦0.01 V≦0.35
C-276 57 ≦2.5 16 16 4 5 ≦0.08 ≦1 ≦0.01 V≦0.35
G-30 43 ≦2 30 5.5 2.5 15 ≦1 ≦1.5 ≦0.03 Nb≦0.8, Cu≦2
N 71 ≦0.2 7 16 ≦0.5 ≦5 ≦1 ≦0.8 ≦0.08 Al+Ti≦0.5, Cu≦0.35
W 63 ≦2.5 5 24 6 ≦1 ≦1 ≦0.12 V≦0.6
X 47 ≦1.5 22 9 0.6W 18 ≦1 ≦1 ≦0.10 B≦0.008

上記のニッケル (Ni) の含有率はおよそであり、微量成分の含有率により変化する。

脚注

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出典

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  1. ^ 日本航空技術協会編、『航空機材料』、社団法人日本航空技術協会、2008年3月31日第1版第5刷発行、ISBN 9784902151244

外部リンク

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