ハコネサンショウウオ
ハコネサンショウウオ(黒魚[1][2][3]、箱根山椒魚,Onychodactylus japonicus)は、両生綱有尾目サンショウウオ科ハコネサンショウウオ属に分類される有尾類。
ハコネサンショウウオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ハコネサンショウウオ
| ||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[a 1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Onychodactylus japonicus (Houttuyn, 1782) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ハコネサンショウウオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Japanese clawed salamander |
分布
編集形態
編集全長10-19センチメートル[4][6]。胴体側面にそれぞれ入る皺(肋条)は14-15本[7]。
ハコネサンショウウオ属内では少なくとも本種は発生の途中で肺の原型が形成されるが、発生の進行に伴い消失する[7]。
卵は球形で直径0.5センチメートル、白や淡黄色[5]。オスの後肢は繁殖期には肥大化し[4]、後肢の掌や趾基部に角質の突起が現れる[7]。
分類
編集分子系統学的解析から、複数の隠蔽種(近畿個体群、中国地方個体群)が同所的に分布していると考えられている[7]。2012年に東北地方北部個体群がキタオウシュウサンショウウオO. nipponoborealis、2013年に筑波山個体群がツクバハコネサンショウウオO. tsukubaensis、四国と中国山地西部、岡山県の一部個体群(中国山地や岡山県では本種と同所的に分布)がシコクハコネサンショウウオO. kinneburiとして分割・記載され独立種となった[8][9][10] 。
生態
編集標高500-2,500メートルの山地にある森林に生息する[6]。外敵としては哺乳類(オコジョ、カワネズミ、テン)、ヤマカガシ、魚類(イワナ、ヤマメ)などが挙げられる[5][11]。
繁殖形態は卵生。繁殖期は4-8月[6](石川県の個体群の観察例では初夏と晩秋に繁殖した例もある[4])渓流の源流部の湧水中や伏流水中で産卵が行われる。石の下や隙間に5-7個の卵嚢を生むが[4]、外観からは見えない[5]。
人間との関係
編集福島県檜枝岐村では本種を6-7月のみ郷土料理とする[12]。調理方法としては燻製や天ぷら、唐揚げなどがある[12]。
森林伐採、河川開発、水質汚染などにより、生息数が減少している地域もある[13]。茨城県、京都府、和歌山県では絶滅危惧Ⅰ類、その他多数の都府県で絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧に指定されている[13][a 2][14][15]。
関連項目
編集参考文献
編集- ^
The IUCN Red List of Threatened Species
- Yoshio Kaneko, Masafumi Matsui 2004. Onychodactylus japonicus. In: IUCN 2013. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2.
- ^ 茨城県ホームページ
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2024年2月14日閲覧。
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2024年2月14日閲覧。
- ^ “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2024年2月14日閲覧。
- ^ a b c d e f 池田純 「ハコネサンショウウオ」『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』千石正一監修 長坂拓也編著、ピーシーズ、2002年、295頁。
- ^ a b c d e 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、221頁。
- ^ a b c d 松井孝爾 「ハコネサンショウウオ」『動物大百科12 両生・爬虫類』深田祝監修 T.R.ハリディ、K.アドラー編、平凡社、1986年、68頁。
- ^ a b c d 西川完途 「東アジアの有尾類 第8回 ハコネサンショウウオ属ハコネサンショウウオモドキ」『クリーパー』第60号、クリーパー社、2012年、60-64頁。
- ^ Poyarkov, Che, Min, Kuro-o, Yan, Li, Iizuka & Vieites, "Review of the systematics, morphology and distribution of Asian Clawed Salamanders, genus Onychodactylus (Amphibia, Caudata: Hynobiidae), with the description of four new species." Zootaxa. 3465, Auckland New Zealand, Magnolia press, 2012, pp.1-106.
- ^ Yoshikawa N., M. Matsui., "A new salamander of the genus Onychodactylus from Tsukuba Mountains, eastern Honshu, Japan (Amphibia, Caudata, Hynobiidae)," Current Herpetology. 32, The Herpetological Society of Japan, 2013, pp.9-25.
- ^ Yoshikawa N., M. Matsui, S. Tanabe, T. Okayama, "Description of a new salamander of the genus Onychodactylus from Shikoku and western Honshu, Japan (Amphibia, Caudata, Hynobiidae)". Zootaxa. 3693(4), Auckland New Zealand, Magnolia press, 2013, pp.441-464.
- ^ 吉川夏彦「ヤマカガシ幼体によるハコネサンショウウオ幼体の捕食例」『爬虫両棲類学会報』第2008巻 1号、日本爬虫両棲類学会、2008年、10頁, doi:10.14880/hrghsj1999.2008.8。
- ^ a b 岩沢久彰、「桧枝岐におけるハコネサンショウウオの漁法と燻製」『爬虫両棲類学雑誌』第6巻 4号、日本爬虫両棲類学会、1976年、105-109頁, doi:10.5358/hsj1972.6.4_105
- ^ a b 「ハコネサンショウウオ」『岡山県版レッドデータブック2009 動物編』、公益財団法人岡山県環境保全事業団、2009年、110頁。
- ^ レッドデータ掲載種一覧<動物編>
- ^ “日本のレッドデータ検索システム”. jpnrdb.com. 2020年9月25日閲覧。