ハウス・ジャック・ビルト

ハウス・ジャック・ビルト』(The House That Jack Built)は、ラース・フォン・トリアー監督・脚本、マット・ディロン主演による2018年のサイコロジカルホラー映画である[3]。1970年代から80年代にかけての12年間にわたって米国ワシントン州で暗躍したシリアルキラーのジャックが描かれる[4][5]第71回カンヌ国際映画祭でプレミア上映された。監督自身の言葉によれば、この映画は人生とは意地悪なもので、邪悪であり、これは映画製作同時期の米大統領の台頭が悲しくも証明していることを、昇華させて作られたと述べている。

ハウス・ジャック・ビルト
The House That Jack Built
監督 ラース・フォン・トリアー
脚本 ラース・フォン・トリアー
原案 Jenle Hallund
製作 ルイーズ・ベスス
製作総指揮
  • ピヴ・ベルントゥ
  • トマス・エスキルソン
  • トーマス・ガメルトフト
  • ピーター・オールベック・イェンセン
  • Leonid Ogarev
出演者
撮影 マヌエル・アルベルト・クラロ
編集 モリー・マレーネ・ステンズガード
製作会社
配給 アメリカ合衆国の旗 IFCフィルムズ英語版
日本の旗 クロックワークス / アルバトロス・フィルム
公開 フランスの旗 2018年5月14日 (CIFF)
デンマークの旗 2018年11月29日
日本の旗 2019年6月14日
上映時間 155分[1]
製作国
言語 英語
製作費 8,700,000[2]
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一部シーンがカットされたバージョンが存在しており、日本国内においては上映時間155分のものがR18+[6]、二次市場向け再編集版として上映時間が152分に短縮されたものがR15+に区分されている[7]

プロット

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ジャックは強迫性障害を持ち、建築技師を自称している。彼の夢は「建築家」になることだが、なかなか理想の家を建てることができない。 殺人に夢中になったジャックは行為を彼なりの論理で正当化しつつ、自らの「芸術」に行き詰まりを覚える。

キャスト

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製作

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トリアーは当初テレビシリーズとしてこのアイデアの企画を進めていたが、2016年2月に映画となることを発表した[4]。シリアルキラーに関する広範囲にわたる研究を終え、トリアーは2016年5月までに脚本を完成させた[5]。国際セールス権はトリアーのゼントロパ英語版と共にトラストノルディスクが所有する[4]。資金調達はフィルム・アイ・ヴァスト英語版が行い、コペンハーゲン・フィルム・ファンドが108万ユーロの製作補助金を提供した[4][12]。製作はフランス、ドイツ、スウェーデン、デンマークが共同で行った[4]

2016年11月2日、トリアーはマット・ディロンが主役に決まったことを発表した[13]。続いて2017年2月、ライリー・キーオソフィー・グローベール英語版[12]、さらに翌月にユマ・サーマンの参加が発表された[3]。撮影は2017年3月にスウェーデンのベンクトフォッシュ英語版で始まった[14][2]。撮影は2段階に分けられて行われ[5]、完了後に視覚効果処理が施される[15][16]

公開

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2017年5月、IFCフィルムズ英語版が米国配給権を獲得した[17]。2017年3月時点でトリアーは以前に問題発言から出入り禁止にされてしまったカンヌ国際映画祭でのプレミア上映を目指して交渉行っていた[15]。2018年4月19日、第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション外でのプレミア上映決定が発表された[18]。発表後、ティーザー予告が公開された[19]

2018年5月14日に第71回カンヌ国際映画祭でワールド・プレミアが実施された[20]。プレミア上映時には100人以上の観客が退席したが、終了後には6分間に及ぶスタンディングオベーションを受けたと報じられた[20][21]

批評家の反応

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Rotten Tomatoesでは26件のレビューで支持率は50%、平均点は6/10となっている[22]

インディワイヤー英語版』の批評家のエリック・コーンは「A-」と格付けし、「ワイルド・マスターピース」と評した[23]。『BBC.com』のニコラス・バーバーは5つ星満点で4つ星を与え、「間違いなく、大胆で刺激的な映画で、デンマークの著名な映画作家は誰も作れなかった」と評した[24]。『バラエティ』のオーウェン・グレイバーマンもまた肯定的な評価を下し、「それは破壊的な良作映画と離れ業の中間にある。あなたの肌に合うように設計されている」と述べた[25]。『ハリウッド・リポーター』は「『The House That Jack Built』は間違いなく見るべきものだ。だが最も驚くべきことは、それが不安定であることと同様に頻繁に虚ろであることだ」と評した[26]。『ガーディアン』のピーター・ブラッドショウ英語版は「悽惨と哀悼の試練」と評しつつ、映画の閉幕を称賛した[27]

参考文献

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  1. ^ The 2018 Official Selection”. Cannes. 15 May 2018閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h Christian Monggaard (8 March 2017). “Lars von Trier talks Uma Thurman, serial killers and Cannes at first press conference since Nazi row”. Screen Daily. 2017年3月9日閲覧。
  3. ^ a b Elsa Keslassy (7 March 2017). “Uma Thurman Joins Cast of Lars von Trier’s ‘The House That Jack Built’”. Variety. 9 March 2017閲覧。
  4. ^ a b c d e Elsa Keslassy (11 May 2016). “Lars Von Trier’s ‘The House That Jack Built’: New Details Emerge”. Variety. 9 March 2017閲覧。
  5. ^ a b c Wendy Mitchell (17 May 2016). “Lars Von Trier’s 'The House That Jack Built' cuts early deals”. Screen Daily. 11 March 2017閲覧。
  6. ^ 映画倫理機構(映倫) | 審査作品”. 2023年1月2日閲覧。
  7. ^ 映画倫理機構(映倫) | 審査作品”. 2023年1月2日閲覧。
  8. ^ Garth Franklin (29 April 2018). “New “Deadpool 2,” “House That Jack” Photos”. Dark Horizons. 2018年5月2日閲覧。
  9. ^ Franco Bianchini (2 January 2018). “Cinema, i dieci film attesi nelle nostre sale tra curiosità, polemiche e… Ruby” (イタリア語). Secolo d'Italia. 2018年5月3日閲覧。
  10. ^ Sonia Kil (April 25, 2017). “Korea's Yu Ji-tae Joins Lars von Trier's 'The House That Jack Built'”. Variety. April 26, 2017閲覧。
  11. ^ Brzeski, Patrick (April 26, 2017). “South Korean Actor Yu Ji-tae Joins Lars Von Trier's 'House That Jack Built'”. The Hollywood Reporter. 2018年5月20日閲覧。
  12. ^ a b Scott Roxborough (11 February 2017). “Berlin: Lars von Trier's 'The House That Jack Built' Adds Riley Keough, Sofie Grabol (Exclusive)”. The Hollywood Reporter. 2017年3月9日閲覧。
  13. ^ Mike Fleming Jr (2 November 2016). “Lars Von Trier Sets Matt Dillon, Bruno Ganz For ‘The House That Jack Built’”. Deadline.com. 2017年3月10日閲覧。
  14. ^ Zach Sharf (8 March 2017). “Lars von Trier Wants You to Know ‘The House That Jack Built’ Will Be His Most Brutal Film Ever”. IndieWire. 2017年3月9日閲覧。
  15. ^ a b Gilbey, Ryan (9 March 2017). “Lars von Trier negotiating for Cannes return after 2011 Nazi comments ban”. The Guardian. 9 March 2017閲覧。
  16. ^ http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-44129653
  17. ^ D'Alessandro, Anthony (25 May 2017). “Lars Von Trier’s ‘The House That Jack Built’ Picked Up By IFC Films – Cannes”. Deadline.com. 25 May 2017閲覧。
  18. ^ Elsa Keslassy (19 April 2018). “Cannes Adds Lars von Trier’s ‘The House That Jack Built,’ Sets Terry Gilliam’s ‘Don Quixote’ as Closer”. Variety. 19 April 2018閲覧。
  19. ^ Miska, Brad (19 April 2018). “Lars von Trier’s ‘The House That Jack Built’ to Premiere at Cannes [Teaser]”. Bloody Disgusting. 14 May 2018閲覧。
  20. ^ a b Ritman, Alex (May 14, 2018). “Cannes: Lars Von Trier's "Disgusting," "Torturous" Film Sparks Walkouts”. The Hollywood Reporter. May 14, 2018閲覧。
  21. ^ Mumford, Gwilym (2018年5月15日). “'Vomitive. Pathetic': Lars Von Trier film prompts mass walkouts at Cannes” (英語). the Guardian. 2018年5月15日閲覧。
  22. ^ The House That Jack Built (2018)”. Rotten Tomatoes. Fandango. 17 May 2018閲覧。
  23. ^ http://www.indiewire.com/2018/05/the-house-that-jack-built-review-lars-von-trier-1201964207/
  24. ^ http://www.bbc.com/culture/story/20180515-film-review-the-house-that-jack-built
  25. ^ http://variety.com/2018/film/reviews/the-house-that-jack-built-review-lars-von-trier-matt-dillon-uma-thurman-1202809430/
  26. ^ https://www.hollywoodreporter.com/review/house-that-jack-built-cannes-2018-1111908
  27. ^ Bradshaw, Peter (2018年5月15日). “The House That Jack Built review – Lars Von Trier serves up a smirking ordeal of gruesomeness” (英語). The Guardian. 2018年5月15日閲覧。

外部リンク

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