ハイ・ライズ (映画)
『ハイ・ライズ』(原題: High-Rise)は、2015年のイギリスのSFドラマ映画である。監督をベン・ウィートリーが務め、主演をトム・ヒドルストンが務めている。第40回トロント国際映画祭にてプレミア上映された[2]。
ハイ・ライズ | |
---|---|
High-Rise | |
監督 | ベン・ウィートリー |
脚本 | エイミー・ジャンプ |
原作 |
J・G・バラード 『ハイ・ライズ』 |
製作 | ジェレミー・トーマス |
製作総指揮 |
ピーター・ワトソン トーステン・シューマッハー リジー・フランク サム・ラヴェンダー アンナ・ヒッグス ガブリエラ・マルチネリ クリストファー・サイモン ジュヌヴィエーヴ・ルマル |
出演者 |
トム・ヒドルストン ジェレミー・アイアンズ シエナ・ミラー ルーク・エヴァンス エリザベス・モス |
音楽 | クリント・マンセル |
撮影 | ローリー・ローズ |
編集 |
エイミー・ジャンプ ベン・ウィートリー |
製作会社 |
レコーデッド・ピクチャー・カンパニー フィルム4 英国映画協会 ハンウェイ・フィルムズ ノーザン・アイルランド・スクリーン インヘニオス・メディア |
配給 |
スタジオカナル トランスフォーマー |
公開 |
2015年9月13日 (トロント国際映画祭) 2016年3月18日 2016年8月6日 |
上映時間 | 119分[1] |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
あらすじ
編集大学の生理学部で教鞭を執る医師のロバート・ラング(トム・ヒドルストン)が、40階建ての高層ビルに引っ越してくる。その建物はアンソニー・ロイヤル(ジェレミー・アイアンズ)が設計したものであり、ジムからスパ、プール、スーパー・マーケットに至るまで、快適な環境が提供されている。上層階に暮らしている者ほど富裕であるが、下層階に暮らす者たちは不満を募らせつつある。25階に住むラングは、姉の死による心の傷を抱えながらも、住民たちとの交流を始める。
ラングは、最上階に住むロイヤルの部屋に招かれて、すぐに彼と打ち解ける。26階に息子のトビー(ルイス・サック)と住むシャーロット・メルヴィル(シエナ・ミラー)は、ラングと肉体関係をもつ。彼女の部屋で開催されたパーティーで、ラングは、3階に住むドキュメンタリー監督のリチャード・ワイルダー(ルーク・エヴァンス)と出会う。ワイルダーは、妻のヘレン(エリザベス・モス)がいるにもかかわらず、シャーロットを口説き落とそうとしている。
ロイヤルの妻のアン(キーリー・ホーズ)が開催する仮装パーティーにスーツ姿のままで出席したラングは、39階に住む教え子のマンロー(オーガスタス・プリュー)をはじめ、他の出席者たちから笑い者にされる。ラングは、検死解剖の最中に失神したマンローの検査結果を手に入れて、後日、彼を教員室に呼び出す。検査で悪いところが見つかったと聞かされたマンローは衝撃を受ける。パーティーの開催中、マンローはバルコニーから飛び降りて自殺する。警察が捜査しないことを不審に感じたワイルダーは、この建物の問題を暴くため、ドキュメンタリーを撮り始める。
停電や断水が解決しない中、次第に、この建物全体をセックスと暴力が支配していく。いたるところで性交が行われて、強奪が相次いで発生する。ワイルダーは、ロイヤルの元家政婦の部屋を訪ね、銃を手渡され、トビーの父親がロイヤルであることを知らされる。ワイルダーはシャーロットの部屋へ押し入り、彼女に暴行する。その頃、ラングは自らの部屋の壁をペンキで塗り替えていた。ラングは、部屋に来たヘレンと肉体関係をもつ。
ロイヤルの側近たちは、扇動者として振る舞うワイルダーにロボトミー手術を施すべきだと考えて、ラングを最上階に連れてくる。バルコニーから突き落とされそうになりながらも、ラングは、この建物で唯一まともな人間がワイルダーであると述べて、ロボトミー手術の執刀を拒む。ラングが去ったのち、ワイルダーが最上階を訪れて、ロイヤルを射殺する。ワイルダーは、アンと取り巻きの女たちに次々と刃物で刺されて絶命する。
この建物にラングが引っ越してきてから、3か月が経つ。少なくない数の住民たちの死体がそこかしこに転がっており、廃墟の様相を呈している。満ち足りた顔つきのラングは、シャーロットとベッドに横たわる。トビーはラジオでマーガレット・サッチャーの演説を聞いている。トビーの咥えたパイプからシャボン玉が吐き出されて、ゆっくりと大空に舞い上がっていくのであった。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替[3]
- ロバート・ラング - トム・ヒドルストン(平川大輔)
- アンソニー・ロイヤル - ジェレミー・アイアンズ(佐々木省三)
- シャーロット・メルヴィル - シエナ・ミラー(高橋麻里子)
- リチャード・ワイルダー - ルーク・エヴァンス(井木順二)
- ヘレン・ワイルダー - エリザベス・モス(野首南帆子)
- パングボーン - ジェームズ・ピュアフォイ
- アン・ロイヤル - キーリー・ホーズ
- コスグローヴ - ピーター・フェルディナンド
- ジェーン - シエンナ・ギロリー
- スティール - リース・シアースミス
- タルボット - エンゾ・シレンティ
- マンロー - オーガスタス・プリュー
- シモンズ - ダン・スキナー
- フェイ - ステイシー・マーティン(野首南帆子)
- ロバート - トニー・ウェイ
- ローラ - レイラ・ミマック
- マーサー - ビル・パターソン
- トビー - ルイス・サック[4]
上映
編集2015年9月13日、トロント国際映画祭にて上映された[5]。イギリスでは、2016年3月18日に一般公開された[6]。
評価
編集Metacriticでは、36件の批評家レヴューで平均値は65点だった[7]。Rotten Tomatoesでは、166件の批評家レヴューで平均値は6.4点、支持率は62%だった[8]。
『The Hollywood Reporter』のスティーヴン・ダルトンは、「ベン・ウィートリーとエイミー・ジャンプの過去の作品にあった脅威とユーモアが欠けている」と批判した上で、本作を「野心的で素晴らしい失敗作」と評した[9]。
脚注
編集- ^ “HIGH-RISE (15)”. British Board of Film Classification (2016年2月11日). 2016年11月25日閲覧。
- ^ “Toronto Film Festival Announces Inaugural Platform Slate”. Variety (2015年8月13日). 2016年8月23日閲覧。
- ^ “ハイ・ライズ Blu-ray”. 2016年11月25日閲覧。
- ^ “High-Rise”. British Film Institute. 2016年8月23日閲覧。
- ^ “Toronto 2015: Hot Titles To Watch”. Deadline (2015年9月10日). 2016年8月23日閲覧。
- ^ “Ben Wheatley's High-Rise has a new trailer”. Empire (2016年1月7日). 2016年8月23日閲覧。
- ^ “High-Rise”. Metacritic. CBS Interactive. 2016年8月23日閲覧。
- ^ “High-Rise”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2016年8月23日閲覧。
- ^ Dalton, Stephen (2015年9月14日). “'High-Rise': TIFF Review”. The Hollywood Reporter. 2016年8月28日閲覧。