ハイラエオチャンプサ科

ハイラエオチャンプサ科(ハイラエオチャンプサか、学名Hylaeochampsidae)は、ワニ目に近縁と考えられている、ワニ形上目正鰐類に属する基盤的な絶滅した[1]

ハイラエオチャンプサ科
地質時代
後期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 四肢動物上綱 Tetrapoda
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜型下綱 Archosauromorpha
階級なし : 偽鰐類 Pseudosuchia
上目 : ワニ形上目 Crocodylomorpha
階級なし : 新鰐類 Neosuchia
階級なし : 正鰐類 Eusuchia
: ハイラエオチャンプサ科 Hylaeochampsidae
学名
Hylaeochampsidae Andrews1913

分類

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ハイラエオチャンプサ科はチャールズ・ウィリアム・アンドリュース英語版が1913年に設立した科であり、ただ1属ハイラエオチャンプサのみを内包した[2]。しかし、2007年に新属イハルクトスクスが記載され、同属はハイラエオチャンプサの姉妹群と判明し、そのためハイラエオチャンプサ科に分類された。1887年に命名されたヘテロスクス英語版も本科の属である可能性があるが[3]、ハイラエオチャンプサとのシノニムである可能性が高く、ジェームズ・M・クラークとマーク・ノレルは本属を疑問名として扱っている。またクラークとノレルは、ヘテロスクスの化石があまりに断片的で明瞭な系統関係が示唆されないことから、2属が他の正鰐類から区別される真の分岐群であることを示唆する証拠がないことを主張した[1]。第四の属であるピエトラロイアスクス英語版は2011年にハイラエオチャンプサ科に割り当てられた。ピエトラロイアスクスの記載において実施された系統解析は、パキケイロスクス英語版も本科に位置付けている[4]。当該の2011年の研究で、Buscalioni et al. はハイラエオチャンプサ科を分岐学的に定義した。その定義とは、Hylaeochampsa vectianaIharkutosuchus makadiiPachycheilosuchus trinquei および Pietraroiasuchus ormezzanoi最も近い共通祖先とその全ての子孫からなるノード(節)ベースの分類群である[4][5]

以下のクラドグラムは Buscalioni et al., 2011 に基づく[4]

正鰐類
ハイラエオチャンプサ科

Hylaeochampsa vectiana

Iharkutosuchus

Pietraroiasuchus ormezzanoi

Pachycheilosuchus trinquei

Allodaposuchus

ワニ目

記載と分布

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ハイラエオチャンプサ科は白亜紀の間に現在におけるヨーロッパ中東地域に生息していた。ハイラエオチャンプサおよびそのシノニムの可能性があるヘテロスクスはイングランドワイト島ヴェクティス層英語版で産出しており、その地質時代は前期白亜紀バレミアン期である。イハルクトスクスの標本はハンガリー西部のCsehbánya層から発見されており、地質時代は後期白亜紀サントニアン期である。ハイラエオチャンプサ科の属はいずれも吻部が短く、かつ異歯性を示しており、食物を噛み潰すことに適した可能性の高い大型の歯が後側に集中している。イハルクトスクスにおいては、これらの歯には複数の咬頭までもが存在する。これは哺乳類によく見られる一方でワニ形上目には珍しい特徴であり、また当該の動物が植物食であったことが示唆されている[6]

出典

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  1. ^ a b Clark, J. M.; Norell, M. A. (1992). “The Early Cretaceous crocodylomorph Hylaeochampsa vectiana from the Wealden of the Isle of Wight”. American Museum Novitates (3032). 
  2. ^ Andrews, C. W. (1913). “On the skull and part of the skeleton of a crocodile from the Middle Purbeck of Swanage, with the description of a new species (Pholidosaurus laevis), and a note on the skull of Hylaeochampsa.”. Annals and Magazine of Natural History 8 (11): 485–494. doi:10.1080/00222931308693345. https://zenodo.org/record/1430095. 
  3. ^ Seely, H. G. (1887). “On Heterosuchus valdensis, Seeley, a procoelian crocodile from the Hastings sand of Hastings”. Quarterly Journal of the Geological Society of London 42: 235–242. 
  4. ^ a b c Buscalioni, A.D.; Piras, P.; Vullo, R.; Signore, M.; Barbera, C. (2011). “Early eusuchia crocodylomorpha from the vertebrate-rich Plattenkalk of Pietraroia (Lower Albian, southern Apennines, Italy)”. Zoological Journal of the Linnean Society 163: S199–S227. doi:10.1111/j.1096-3642.2011.00718.x. 
  5. ^ Rio, Jonathan P.; Mannion, Philip D. (6 September 2021). “Phylogenetic analysis of a new morphological dataset elucidates the evolutionary history of Crocodylia and resolves the long-standing gharial problem”. PeerJ 9: e12094. doi:10.7717/peerj.12094. PMC 8428266. PMID 34567843. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8428266/. 
  6. ^ Ősi, A.; Clark, J. M.; Weishampel, D. B. (2007). “First report on a new eusuchian crocodyliform with multicusped teeth from the Upper Cretaceous (Santonian) of Hungary”. Neues Jahrbuch für Geologie und Paläontologie, Abhandlungen 243 (2): 169–177. doi:10.1127/0077-7749/2007/0243-0169.