ハイイロシメジ
ハイイロシメジ(灰色湿地[3]・灰色占地[4]、学名: Clitocybe nebularis)は、キシメジ科ハイイロシメジ属(旧カヤタケ属)の中型から大型のキノコである。毒キノコの一つ。
ハイイロシメジ | |||||||||||||||||||||||||||
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ハイイロシメジ Clitocybe nebularis
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Clitocybe nebularis (Batsch), P. Kumm. (1871) | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム[1] | |||||||||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ハイイロシメジ[2] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Clouded funnel[2] |
分布・生態
編集北半球に広く分布する[2]。落葉分解菌(腐生性)[4]。秋から初冬にかけて、各種林内の落葉が多く堆積した地上に散生、または群生する[3][4]。落葉には、キノコの本体にあたる白い菌糸体が見られる[4]。
形態
編集子実体は傘と柄からなる。傘の径は6–20センチメートル (cm) [2][4]。成熟するとほぼ平らに開くが、中央部がやや窪むことが多い[3]。傘表面は淡灰色、中央部は色が濃く、縁部はやや内側に巻き込む[3]。傘裏のヒダは、白色から淡いクリーム色で、密に配列し、柄に対して垂生する[3]。
柄は長さ3 - 6 cmで[4]、傘に対してやや短く、根元は大きく膨らみ、ずんぐりしている[3]。柄の表面は白色から淡灰色で、縦線がある[3]。肉はしまっていて加熱したニンニクのような匂いがある[3]。
食毒性
編集大きくて肉厚で食べ応えがある食感で、シメジのような香りがあり、味もよく良いダシが出るので、地方によっては珍重されるところもある[3][4]。しかし加熱不足による生に近い調理や、体質によって中毒を起こすので毒キノコとされ、安易に食用にすることは慎むべきである[3][4]。毒成分については不明とされる[3]。
食後数十分から24時間以内に、悪寒、嘔吐、下痢などの消化器系の中毒症状を示すが[4][5]、2 - 3日後には回復する[3]。
類似するキノコ
編集類似種にシロノハイイロシメジ(C. robusta)があり、本種よりも白みが強くニラの腐敗臭があるとされる[6]。2024年に新潟県の直売場で大黒シメジ(ホンシメジ)として誤って販売された事例がある[7]。
脚注
編集- ^ “Clitocybe nebularis (Batsch) P. Kumm. 1871”. MycoBank. International Mycological Association. 2011年10月26日閲覧。
- ^ a b c d スミソニアン協会 監修『地球博物学大図鑑 新訂版』デイヴィッド・バーニー 顧問編集、増田まもる・西尾香苗・松倉真理 翻訳、東京書籍、2024年、217頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l 長沢栄史 監修 2009, p. 86.
- ^ a b c d e f g h i 白水貴 監修 2014, p. 67.
- ^ 自然毒のリスクプロファイル:ハイイロシメジ(Clitocybe nebularis) キシメジ科カヤタケ属、厚生労働省
- ^ 大作晃一・吹春俊光・吹春公子『おいしいきのこ毒きのこハンディ図鑑』主婦の友社、2016年、45頁。
- ^ 「購入した人は食べないで」 温泉施設の直売所で誤って毒キノコを販売 食用ではない“ハイイロシメジ” 五泉市 《新潟》
参考文献
編集- 白水貴 監修、ネイチャー&サイエンス 編『毒きのこ : 世にもかわいい危険な生きもの』新井文彦 写真、幻冬舎、2014年9月20日。ISBN 978-4-344-02640-7。
- 長沢栄史 監修、Gakken 編『日本の毒きのこ』学習研究社〈増補改訂フィールドベスト図鑑 13〉、2009年9月28日。ISBN 978-4-05-404263-6。