ニュートンと贋金づくり
『ニュートンと贋金づくり』(原書名 英: Newton and the Counterfeiter[1])は、17世紀のロンドンを舞台に繰り広げられたイギリスを揺るがした贋金事件、およびそれに対して造幣局官僚として毅然と立ち向かったアイザック・ニュートンの後半生を描いたノンフィクション作品。著者はトーマス・レヴィンソン(マサチューセッツ工科大学教授)である。
ニュートンと贋金づくり :天才科学者が追った世紀の大犯罪 Newton and the Counterfeiter | ||
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著者 | トーマス・レヴェンソン | |
訳者 | 寺西のぶ子 | |
発行日 |
原書初版:2009年 • 改訂版2010年スペイン語訳:2011年 日本語訳:2012年12月 ロシア語版:2013年 | |
発行元 |
原書:ホートン・ミフリン・ハーコート(ボストン)日本語訳:白揚社(東京) スペイン語訳:Alba Editorial(バルセロナ) ロシア語版:Corpus (出版社)(モスクワ) | |
ジャンル | ノンフィクション | |
国 | アメリカ合衆国 | |
言語 | 英語 | |
形態 | 上製本 | |
ページ数 | 原書318p.日本語訳336ページスペイン語訳399p. | |
コード |
原著初版:ISBN 9780151012787 • OCLC 276340857 原著改訂版:ISBN 9780571229932 • OCLC 685111747 日本語訳:ISBN 9784826901673 • OCLC 840062920 スペイン語版:ISBN 9788484286479 • OCLC 796336450 ロシア語版:ISBN 9785170778140 • OCLC 859258421(訳書) | |
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内容
編集著者はこの本の執筆のために、実際の歴史的資料もじっくり調べてノンフィクションとして書いており、17世紀のイギリスの経済・政治に関する歴史書としても、アイザック・ニュートンのあまり知られていない後半生の伝記・評伝としても読むことができる書物である。
アイザック・ニュートンは大学でのアカデミックな仕事にうんざりしてしまい、そのような仕事とは決別しようと知人の力も借りて転職活動を行い、名誉職的で「閑職」と見なされ、給料がとても高かった王立造幣局の官僚の職を見つけてそれに就いた。だが就任早々、彼が直面したのはイギリスという国家の経済崩壊の危機であった[2]。
17世紀イギリスでは、贋金づくりが横行していた。さらに、造幣局から硬貨の金型が盗み出されてしまうといった事件まで起きていた。またイギリスにおいては銀の価格が他の諸国に比べて安かったため、利鞘目的に銀貨が溶かされ海外へ流出しつづけており、イギリス国内の銀貨が尽きてしまう危機にあった[2]。
だがニュートンはそうした危機的状態に、むしろかえって自身の天職を見出すことになり、さまざまな捜査活動や経済改革を断行していった[2]。
たとえば、銀貨の貨幣改鋳や、事実上の紙幣の発行を軌道に乗せるほか、銀本位制から金本位制へ方針転換を政策とした改革を行った[2]。改革に抵抗する勢力の黒幕を追放し[3]、史上最大級の贋金作り犯ウィリアム・チャロナーをタイバーン刑場の処刑台[4]へ送るべく、持ち前の頭脳を活かして周到で執拗な捜査を開始する[2][5]。
参考文献
編集- Heather Stewart (16 August 2009). “Newton and the Counterfeiter by Thomas Levenson;Isaac Newton's other life is uncovered in rich detail, says Heather Stewart”. The Guardian 2013年6月1日閲覧。
- Noel Malcolm (16 Aug 2009). “Newton and the Counterfeiter By Thomas Levenson: review”. The Telegraph (Telegraph Media Group Limited)
- 富山太佳夫 (2013年1月6日). “ニュートンと贋金づくり トマス・レヴェンソン著 天才科学者と犯罪者の対決”. 日本経済新聞
- 荒俣宏 (2013年2月17日). “ニュートンと贋金づくり”. 朝日新聞: p. 15 2013年6月1日閲覧。
- 鎌田浩毅 (2013-05-09). “綿密な取材に裏付けられたニュートンの優れた評伝”. 月刊・文藝春秋 (文芸春秋) 90 (5) .