ナノ結晶
概要
編集ナノ結晶は粒径がおよそ数〜数十nmの多結晶体[1]。
ナノスケールになると金属の表面は格子間の結合が途中で切れていて電子結合的に不安定な状態になるため固体内とは違った物性が発現することが知られており、これらの粒子同士が結晶として安定に存在するためには強引に結合する必要があり、そのため粒子間には原子配列の無秩序な結晶粒界が形成される[1]。結晶全体中で、結晶粒界の体積は10%の割合を占める[1]。
製造法
編集気相拡散法
編集気相拡散法(ガスディポジション法)不活性ガス中に母材の蒸気を噴出させて液体窒素で冷却された基板に蒸着させて生成する[1]。
スパッタ法
編集不活性ガス中で母材にレーザーを照射して蒸発させる[1]。
用途
編集用途への応用が考えられる。
- 発光素子
- 磁性材[2]
特徴
編集- 製造法は比較的容易。
- バルク状では無害でもナノスケールになると未知の影響が出る可能性がある
脚注
編集- ^ a b c d e “ナノ結晶”. 2018年12月31日閲覧。
- ^ 牧野彰宏, 井上明久, 「Fe-TM (遷移金属) 系ナノ結晶軟磁性材料」『まてりあ』 日本金属学会, 1998年 37巻 6号 p.479-487, doi:10.2320/materia.37.479。
参考文献
編集- 岩崎富生, 佐々木直哉, 千葉矩正 ほか, 「分子動力学法を用いたナノ結晶アルミニウムの引張変形解析」『日本機械学会論文集 A編』 60巻 578号 1994年 p.2377-2382, doi:10.1299/kikaia.60.2377。
- 越田信義, 「ナノシリコンの発光と新機能」『応用物理』 69巻 7号 2000年 p.792-796, doi:10.11470/oubutsu1932.69.792。
- 河村能人, 井上明久, 「ナノ結晶強力マグネシウム合金の開発」『まてりあ』 日本金属学会, 41巻 9号 2002年 p.644-649, doi:10.2320/materia.41.644
- 戸高義一, 梅本実, 渡辺幸則 ほか, 「ショットピーニングによる鉄鋼材料表面のナノ結晶化」『日本金属学会誌』 67巻 12号 2003年 p.690-696。