ドラマ (アルバム)
『ドラマ』(Drama)は、イングランドのプログレッシブ・ロック・バンド、イエスが1980年に発表したアルバム。新作のスタジオ・アルバムとしては通算10作目で、ライブ・アルバムと編集アルバムを含めると通算12作目にあたる。20世紀に発表されたイエス名義のアルバムの中で、ジョン・アンダーソンがボーカルを担当していない唯一の作品である。
『ドラマ』 | ||||
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イエス の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1980年 | |||
ジャンル | プログレッシブ・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | アトランティック・レコード | |||
プロデュース | イエス | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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イエス アルバム 年表 | ||||
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ミュージックビデオ | ||||
「Into The Lens」 - YouTube 「Tempus Fugit」 - YouTube |
解説
編集イエスは前作『トーマト』(1978年)の制作段階から音楽もメンバーの関係も不調に陥り、1979年12月にアンダーソンとリック・ウェイクマンが脱退した[4]。残されたクリス・スクワイア、アラン・ホワイト、スティーヴ・ハウは、マネージャーのブライアン・レーンが契約していたバグルスのトレヴァー・ホーンとジェフ・ダウンズを迎えて[注釈 1][5]、1980年8月に本作を発表した。
彼等は引き続いてツアーを行なったが、アンダーソンの脱退で生まれた穴をホーンが埋めるのは困難だった[6]。結局、彼等は翌1981年に活動を停止してホーンとダウンズはバグルスの活動を再開した[7]ので、本作はこの5人が制作した唯一のアルバムとなった。
ホーンは1981年に、本作に収録された「レンズの中へ」を改作した「アイ・アム・ア・カメラ」をバグルス名義で発表し、1982年に発表したアルバム『モダン・レコーディングの冒険』に収録した。スクワイアとホワイトは1983年に活動を再開したイエス[注釈 2]のライブで、本作の「光陰矢の如し」をフィーチャーした「ホワイトフィッシュ」というソロを演奏した。
本作の収録曲の候補だったハウ作の「ゴー・スルー・ディス」とダウンズとホーンの共作「ウィー・キャン・フライ・フロム・ヒア」は制作の段階でお蔵入りとなって未収録に終わったが、本作発表後のツアーでは披露された[注釈 3]。後者は2011年に、スクワイア、ホワイト、ハウ、ダウンズ、ベノワ・ディヴィッドを擁するイエスがホーンをプロデューサーに迎えて発表したアルバム『フライ・フロム・ヒア』に、20分を超える大作のタイトル曲として収録された。
収録曲
編集全作詞・作曲: Geoff Downes, Trevor Horn, Steve Howe, Chris Squire, Alan White。 | ||
# | タイトル | 時間 |
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1. | 「マシーン・メシア - "Machine Messiah"」 | |
2. | 「白い車 - "White Car"」 | |
3. | 「夢の出来事 - "Does It Really Happen?"」 | |
4. | 「レンズの中へ - "Into The Lens"」 | |
5. | 「光を越えて - "Run Through The Light"」 | |
6. | 「光陰矢の如し - "Tempus Fugit"」 | |
合計時間: |
リマスター盤
編集2004年にCDのリマスター盤が発売された。音質の向上が図られている他、以下のボーナス・トラックが追加収録されている。
# | タイトル | 備考 | 時間 |
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7. | 「レンズの中へ(アイ・アム・ア・カメラ)(シングル・ヴァージョン) - "Into The Lens (I Am A Camera)" (Single Version)」 | ||
8. | 「光を越えて(シングル・ヴァージョン) - "Run Through The Light" (Single Version)」 | ||
9. | 「ゴー・スルー・ディス - "Have We Really Got To Go Through This"」 | 当時のライブでのみ披露された楽曲のデモで、クリス、スティーヴ、アランの3人による演奏。 | |
10. | 「ソング・No.4 - "Song No.4 (Satellite)"」 | ||
11. | 「光陰矢の如し(トラッキング・セッション) - "Tempus Fugit" (Tracking Session)」 | ||
12. | 「白い車(トラッキング・セッション) - "White Car" (Tracking Session)」 | ||
13. | 「ダンシング・スルー・ザ・ライト - "Dancing Through The Light"」 | 1979年にジョン・アンダーソン、スティーヴ・ハウ、クリス・スクワイア、リック・ウェイクマン、アラン・ホワイトの黄金期メンバーで演奏されたパリス・セッションの音源。当楽曲は「光を越えて」の原型となった[8]。 | |
14. | 「ゴールデン・エイジ - "Golden Age"」 | 同じくパリス・セッションの音源。 | |
15. | 「イン・ザ・タワー - "In The Tower"」 | 同じくパリス・セッションの音源。 | |
16. | 「フレンド・オブ・ア・フレンド - "Friend Of A Friend"」 | 同じくパリス・セッションの音源。 |
レコーディング・メンバー
編集脚注
編集注釈
編集- ^ スクワイアは、自分がダウンズとホーンをメンバーに迎えるという考えを思いついた、と述べた。
- ^ イエスはアンダーソン、スクワイア、ホワイト、トレヴァー・ラビン、トニー・ケイの顔ぶれで活動を再開して、ホーンをプロデューサーに迎えて『ロンリー・ハート』を発表した。
- ^ 2005年に発表された編集ライブ・アルバム『ライヴ・イヤーズ』に、1980年9月にマジソン・スクウェア・ガーデンで開かれたニューヨーク公演からの音源が収録された。
出典
編集- ^ ChartArchive - Yes
- ^ Drama - Yes : Awards : AllMusic
- ^ 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.73
- ^ Morse (1966), pp. 65–66.
- ^ Morse (1996), pp. 66–70.
- ^ Morse (1996), pp. 69–70.
- ^ Morse (1996), p. 73.
- ^ 国内リマスター盤オフィシャル・ブックレットより。
引用文献
編集- Morse, Tim (1996). Yesstories: Yes in Their Own Words. New York: St. Martin's Press. ISBN 0-312-14453-9