ドメインウォール

トポロジカルソリトンの一種

ドメインウォール(Domain wall)は、離散対称性の自発的破れとともに発生する位相欠陥の一種である。これは、サイン−ゴルドン方程式や多項式ポテンシャルを持つモデルのキンク解に擬えて、キンクとも呼ばれる[1][2][3]。不安定なドメインウォールは、離散対称性の自発的破れが近接しており、かつ偽の真空が存在する場合にも出現する可能性がある。

解説

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ドメイン(ハイパーボリュームとも呼ばれる)は、3次元空間および1次元時間に広がりを持つ。ドメインウォールは、このような隣り合う2つのドメインの境界である。すなわち、ドメインウォールは2次元の空間的広がりと、1次元の時間的広がりを持っている。このようなドメインウォールの例としては、

などがある。同様の位相欠陥は幅広いモデルに現れ、他にも

  • 初期の宇宙では、離散的対称性の自発的破れが起きてドメインウォールが生成された。
  • 余剰次元の相互作用によってドメインウォールが発生するようなブレーンワールドモデルのクラスが存在する[4][5]

といった例が存在する。

脚注

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  1. ^ Lohe, M.A. (1979). “Soliton structures in $P(\phi)_2$”. Physical Review D 20 (12): 3120–3130. Bibcode1979PhRvD..20.3120L. doi:10.1103/PhysRevD.20.3120. 
  2. ^ Gani, V.A.; Kudryavtsev, A.E.; Lizunova, M.A. (2014). “Kink interactions in the (1+1)-dimensional φ^6 model”. Physical Review D 89 (12): 125009. arXiv:1402.5903. Bibcode2014PhRvD..89l5009G. doi:10.1103/PhysRevD.89.125009. 
  3. ^ Gani, V.A.; Lensky, V.; Lizunova, M.A. (2015). “Kink excitation spectra in the (1+1)-dimensional φ^8 model” (英語). Journal of High Energy Physics 2015 (8): 147. arXiv:1506.02313. doi:10.1007/JHEP08(2015)147. ISSN 1029-8479. 
  4. ^ V. A. Rubakov and M. E. Shaposhnikov, Do we live inside a domain wall?, Physics Letters B 125 (1983), 136–138.
  5. ^ V. Dzhunushaliev, V. Folomeev, M. Minamitsuji, Thick brane solutions, Rept.Prog.Phys. 73 (2010).

関連項目

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