ドナウの娘
ドナウの娘(ドナウのむすめ、原題: La fille du Danube)は、1836年に初演された全2幕のバレエである。
音楽は『ジゼル』(1841年)で知られるアドルフ・アダン。一世を風靡した名バレリーナ、マリー・タリオーニのために父フィリッポ・タリオーニ(1777年–1871年)が台本と振付を手がけた。
沿革
編集- 初演
1836年9月21日にパリ・オペラ座で、マリー・タリオーニ(フルール・デ・シャン)、ジョゼフ・マジリエ(ルドルフ)のキャストで初演された。
1838年1月29日にも、マリー・タリオーニはサンクトペテルブルクにてこの作品を上演した。
- 再演
1880年にマリウス・プティパがレオン・ミンクスの編曲によりサンクトペテルブルクで再演した後、長らく上演が途絶えていたが、1978年にピエール・ラコット(1932年 - )が、フィリッポがアダンに与えた指示書などをもとに復元し、ブエノスアイレスのテアトロ・コロン劇場においてギレーヌ・テスマー(フルール・デ・シャン)とミカエル・ドナール(ルドルフ)を初演キャストに迎えて上演した。
日本では2006年に東京バレエ団が、ラコット本人からの指導を受けてレパートリーに加えている[1]。この舞台成果などに対して、第6回朝日舞台芸術賞が授与された[2]。
なお、1999年にPaul Chalmersも、タリオーニ版の復刻をイタリアのヴェローナ・バレエ団のために発表している。
主な登場人物
編集- フルール・デ・シャン(ドナウの娘):ヒロイン、村人の養女として育つ。
- ルドルフ:フルールの恋人、男爵の従者
- ドナウ川の女王:フルールの庇護者
- 男爵:フルールの住む村の領主
あらすじ
編集以下に記載するあらすじは、1978年ラコット復元版による[3]。
- 第1幕
ドナウ川の岸辺で発見され、村娘として育った美少女フルール・デ・シャン。彼女には将来を誓い合った恋人ルドルフがいる。
ある日、男爵の城で花嫁を選ぶ舞踏会が催され、村に住む未婚の娘が全員招かれる。フルールは身体が不自由なふりをして求婚を逃れようとするが、却ってその姿を哀れに思った男爵から求婚されてしまう。
それを止めようとしたルドルフは男爵の従卒たちに捕らえられ、進退窮まったフルールは城のバルコニーからドナウ川に投身してしまう。
- 第2幕
フルールの投身を目の当たりにしたルドルフは、男爵や従卒たちを振り切って自分も川に身を投げる。
ルドルフが辿りついたドナウ川の水底には、ドナウ川の女王と沢山の水の精たちがいる。女王は「水の精たちの中からフルール・デ・シャンを見つけよ」とルドルフに命じる。彼は見事にこの試練を乗り越え、女王の祝福を受けて、二人は共に地上へと還る。
脚注
編集- ^ asahi.com:よみがえった伝説のバレエ「ドナウの娘」 2006年11月07日 2011年7月10日閲覧。
- ^ 朝日舞台芸術賞 2011年7月10日閲覧。
- ^ バレエ「ドナウの娘」 2011年7月30日閲覧。
外部リンク
編集- NBS 日本舞台芸術振興会 ドナウの娘 2011年7月30日閲覧。