ドックランズ・ライト・レイルウェイ

自動走行システムで運行する地下鉄・高架鉄道。ロンドンのドックランズ地区を走る(イギリス)

ドックランズ・ライト・レイルウェイ (Docklands Light Railway: DLR) は、ロンドン東部ドックランズを走る鉄道[注 1]。ドックランズ再開発計画の一環として1987年開業。ライトメトロライトレールの形態を持つ。

ドックランズ・ライト・レイルウェイ
ロゴマーク
ドックランズ・ライト・レイルウェイ (DLR)
ドックランズ・ライト・レイルウェイ (DLR)
基本情報
イギリスの旗 イギリス
所在地 ロンドン
種類 ライトメトロ/ライトレール
開業 1987年8月31日
詳細情報
総延長距離 34 km
路線数 7路線
駅数 45駅
軌間 1,435 mm
電化方式 直流750V 第三軌条方式
最高速度 80 km/h
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ロンドン中心部と、カナリー・ワーフロンドン・シティ空港エクセル・エキシビション・センターなどの東部の主要箇所を結んでおり、年間8千万人以上の乗客を輸送している。

概要

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鉄輪式の鉄道で小型車両を用いた自動運転の高架鉄道(地下区間も持つ)であり、非常時や2012年のロンドンオリンピック期間中などを除き無人運転で運行されている[注 2] [1]。ゆりかもめなどに並び、自動運転技術の進んだ世界で有数の路線である[1]

ロンドン地下鉄とは違い、信用乗車方式を採用しているため、改札は無い。その代わり、オイスターカードのリーダーが設置されているため、改札がなくてDLRに自由に乗り降りできる状態であっても、乗車の前後にタッチしなければならない[2]。駅員も一部地下駅を除き、基本的に配置されていない。不正乗車が発覚すると£80の罰金が科せられるが、21日以内に支払うと£40に減免される[2]

DLRでは全駅がバリアフリー化されている。ロンドン交通局は2013年7月1日から半年間、全長2m未満の自転車の持ち込みを認めている。ただし、平日の7:00から9:00までと16:00から19:00まで以外の時間帯、およびバンク駅とシャドウェル駅の間以外の路線に限られ[3]、車内や駅での使用は禁止している[2]。 DLRに限ったことではないが、日本では通常通り抜け可能な、車両の連結部のドアは緊急時を除き通常通り抜け禁止である。 DLRでは全ての駅構内はもちろん、全ての車両の車内を監視カメラで撮影している[2]

運行形態

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DLRには6つの支線があり、現在は、以下のような系統が運行されている。基本的にすべての列車が各駅停車である[4][5]

詳しくは「ロンドン交通局DLR運行系統図」を参照
  • 本線から
  • ルイシャム支線から
    • ルイシャム駅 - カナリー・ワーフ駅 - バンク駅
    • ルイシャム駅 - カナリー・ワーフ駅 - ストラトフォード駅(平日朝の一部列車)
  • ストラトフォード支線から
    • ストラトフォード駅 - カナリー・ワーフ駅
    • ストラトフォード駅 - カナリー・ワーフ駅 - ルイシャム駅(平日朝の一部列車)
  • ウーリッジ・アーセナル支線から
    • ウーリッジ・アーセナル駅 - カニング・タウン駅(1,2番線)
    • ウーリッジ・アーセナル駅 - カニング・タウン駅(3,4番線) - バンク駅
    • ウーリッジ・アーセナル駅 - カニング・タウン駅(1,2番線) - ストラトフォード国際駅(平日朝夕のみ)
  • ベックトン支線から
    • ベックトン駅 - カニング・タウン駅(3,4番線) - タワー・ゲートウェイ駅
    • ベックトン駅 - カニング・タウン駅(1,2番線) - ストラトフォード国際駅(平日朝夕以外)
  • ストラトフォード国際支線から
    • ストラトフォード国際駅 - カニング・タウン駅(1,2番線) - ベックトン駅(平日朝夕以外)
    • ストラトフォード国際駅 - カニング・タウン駅(1,2番線) - ウーリッジ・アーセナル駅(平日朝夕のみ)
 
DLR路線図

路線データ

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歴史

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開業当初の路線図と延長した現在の路線図

駅一覧

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本線

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接続路線 所要時間[7][8] ゾーン
バンク タワー‣ゲートウェイ
バンク駅
Bank
 セントラル線ノーザン線ウォータールー&シティー線
 サークル線ディストリクト線モニュメント駅
0 - ゾーン1
タワー・ゲートウェイ駅
Tower Gateway
 サークル線、ディストリクト線(タワーヒル駅
c2cフェンチャーチ・ストリート駅
 タワー・ミレニアム・ピア英語版セント・キャサリン・ピア英語版
- 0
シャドウェル駅 (DLR)
Shadwell
 ロンドン・オーバーグラウンド 4 2 ゾーン2
ライムハウス駅
Limehouse
c2c 6 4
ウェストフェリー駅
Westferry
 ルイシャム支線 8 6
ポプラ駅
Poplar
 ストラトフォード支線 9 7
ブラックウォール駅 (DLR)
Blackwall
11 9
イースト・インディア駅
East India
12 10 ゾーン2
ゾーン3
カニング・タウン駅
Canning Town
 ウーリッジ・アーセナル支線、 ベックトン支線、 ストラトフォード国際支線
 ジュビリー線
14 12 ゾーン3
バンク駅からの列車はウーリッジ・アーセナル支線、
タワー・ゲートウェイ駅からの列車はベックトン支線に乗り入れ

ルイシャム支線

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接続路線 所要時間[7][9] ゾーン
バンク ストラトフォード
バンク駅から乗り入れ。平日朝のストラトフォード支線の一部列車も乗り入れ
ウェストフェリー駅
Westferry
 本線 8 - ゾーン2
ウェスト・インディア・キー駅
West India Quay
 ストラトフォード支線 10 11
カナリー・ワーフ駅
Canary Wharf
 ストラトフォード支線
 ジュビリー線カナリー・ワーフ駅
 カナリー・ワーフ・ピア英語版
11 12
ヘレン・キーズ駅
Heron Quays
 ジュビリー線カナリー・ワーフ駅 12 13
サウス・キー駅
South Quay
14 15
クロスハーバー駅
Crossharbour
16 17
マッドシュート駅
Mudchute
17 18
アイランド・ガーデンズ駅
Island Gardens
 マストハウス・テラス・ピア英語版 18 19
カティーサーク駅
Cutty Sark for Maritime Greenwich
 グリニッジ・ピア英語版 19 20 ゾーン2
ゾーン3
グリニッジ駅
Greenwich
サウスイースタン 20 21
デプトフォード・ブリッジ駅
Deptford Bridge
22 23
エルヴァーサン・ロード駅
Elverson Road
24 25
ルイシャム駅
Lewisham
サウスイースタン 26 27

ストラトフォード支線

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接続路線 所要時間[9] ゾーン
ストラトフォード駅
Stratford
 ストラトフォード国際支線
 セントラル線ジュビリー線
 ロンドン・オーバーグラウンド
グレーター・アングリア英語版グレート・イースタン本線)、c2c
0 ゾーン3
プディング・ミル・レーン駅
Pudding Mill Lane
2 ゾーン2
ゾーン3
ボウ・チャーチ駅
Bow Church
 ディストリクト線ハマースミス&シティー線ボウ・ロード駅 4 ゾーン2
デヴォンズ・ロード駅
Devons Road
5
ラングドン・パーク駅
Langdon Park
7
オール・セインツ駅
All Saints
8
ポプラ駅
Poplar
 本線(バンク駅、タワー・ゲートウェイ駅、カニング・タウン駅方面) 10
ウェスト・インディア・キー駅
West India Quay
 ルイシャム支線 11
カナリー・ワーフ駅
Canary Wharf
 ルイシャム支線
 ジュビリー線
 カナリー・ワーフ・ピア英語版
12
平日朝の一部列車はルイシャム支線に乗り入れ、ルイシャム駅まで延長

ウーリッジ・アーセナル支線

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接続路線 所要時間[7][10] ゾーン
バンク ストラトフォード国際
ほとんどの列車はバンク駅から乗り入れ
カニング・タウン駅
Canning Town
 本線、 ベックトン支線、 ストラトフォード国際支線
 ジュビリー線
14 10 ゾーン3
ウェスト・シルヴァータウン駅
West Silvertown
17 13
ポントゥーン・ドック駅
Pontoon Dock
19 15
ロンドン・シティ空港駅
London City Airport
 ロンドン・シティ空港 21 17
キング・ジョージV駅
King George V
23 19
ウーリッジ・アーセナル駅
Woolwich Arsenal
サウスイースタン
 ウーリッジ・アーセナル・ピア英語版
27 23 ゾーン4

ベックトン支線

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接続路線 所要時間[8][10] ゾーン
タワー‣ゲートウェイ ストラトフォード国際
タワー・ゲートウェイ駅、ストラトフォード国際支線から乗り入れ
カニング・タウン駅
Canning Town
 本線、 ウーリッジ・アーセナル支線、 ストラトフォード国際支線
 ジュビリー線
12 10 ゾーン3
ロイヤル・ヴィクトリア駅
Royal Victoria
 エミレーツ・エア・ライン 14 12
カスタム・ハウス駅
Custom House for ExCeL
15 13
プリンス・リージェント駅
Prince Regent
16 14
ロイヤル・アルバート駅
Royal Albert
18 16
ベックトン・パーク駅
Beckton Park
19 17
サイプレス駅
Cyprus
20 18
ガリオン・リーチ駅
Gallions Reach
22 20
ベックトン駅
Beckton
24 22

ストラトフォード国際支線

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接続路線 所要時間[10] ゾーン
ストラトフォード国際駅
Stratford International
サウスイースタンCTRL 0 ゾーン3
ストラトフォード駅
Stratford
 ストラトフォード支線
 セントラル線ジュビリー線
 ロンドン・オーバーグラウンド
グレーター・アングリア英語版グレート・イースタン本線)、c2c
3
ストラトフォード・ハイ・ストリート駅
Stratford High Street
5
アビー・ロード駅
Abbey Road
6
ウェスト・ハム駅
West Ham
 ジュビリー線ディストリクト線ハマースミス&シティー線
c2c
7
スター・レーン駅
Star Lane
9
カニング・タウン駅
Canning Town
 本線、 ウーリッジ・アーセナル支線、 ベックトン支線
 ジュビリー線
10
平日朝夕以外はベックトン支線に乗り入れ、平日朝夕はウーリッジ・アーセナル支線に乗り入れ

外部リンク

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脚注

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注釈

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  1. ^ 一部区間はイギリス国鉄廃線跡を活用し、建設コストを抑えている。
  2. ^ 日本の新交通システムに近い特徴を持つ。車両は日本ゆりかもめと同様コンピュータ制御されている。初期に投入された車輌は車体正面の非常用出口が無かった為、地下区間が開業した際にドイツエッセンに売却されている

出典

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  1. ^ a b ロンドン交通局DLR概要 Archived 2011年9月2日, at the Wayback Machine.
  2. ^ a b c d ロンドン交通局 DLRのチケットの利用の規則
  3. ^ ロンドン交通局 DLRへの自転車の持ち込みについて
  4. ^ ロンドンオリンピック期間中、競技により一部駅が通過となった。また、パラリンピック開催時はエクセル展覧会センターで室内競技が行われたために、カスタム・ハウス駅が降車専用になった。
  5. ^ バンク駅からルイシャム駅に向かう南行の列車のうち、ウェスト・インディア・キー駅を19:00-21:00に通過する列車はウェスト・インディア・キー駅に停車しない。
  6. ^ 2012年のロンドンオリンピックに伴う旅客輸送を目的として、ユーロスターが発着するストラトフォード国際駅にかつてのイギリス国鉄のノースロンドン線跡を活用して延伸が行われた。
  7. ^ a b c ロンドン交通局DLRバンク駅時刻表
  8. ^ a b ロンドン交通局DLRタワー・ゲートウェイ駅時刻表
  9. ^ a b ロンドン交通局DLRストラトフォード駅時刻表
  10. ^ a b c ロンドン交通局DLRストラトフォード国際駅時刻表