トリチオアセトン: trithioacetone)は、化学式C9H18S3で表される有機硫黄化合物の一種。チオアセトン英語版の三量体であり,六員環構造の複素環式化合物である。高濃度では不快なメルカプタン臭であるが、希釈すると焼肉の様な香りとなる。天然には牛肉から発見され、食肉の香り成分の1つである。

トリチオアセトン
trithioacetone[1]
識別情報
CAS登録番号 828-26-2
特性
化学式 C9H18S3
モル質量 222.43
外観 淡いピンク色の液体
匂い 強いメルカプタン
融点

24 ℃[2]

沸点

111–112 °C (11 mmHg)[2]

関連する物質
関連物質 1,3,5-トリチアン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

用途

編集

主に食品香料として、牛肉や豚肉鶏肉のフレーバーの補強に用いるほか、ブドウラズベリーなどのフルーツ系フレーバーにも0.02~15ppmほど使用される。工業的にはアセトン硫化水素を加え、塩化亜鉛触媒として三量化させて得る[1]

3CH3COCH3 + 3H2S → C9H18S3 + 3H2O

脚注

編集
  1. ^ a b 『合成香料 化学と商品知識』印藤元一著 2005年増補改訂 化学工業日報社 ISBN 4-87326-460-X
  2. ^ a b Boehme, H.; Roehr, J.; Schlephack, W. Justus Liebigs Annalen der Chemie 1961, 648, 15.