リスボンのトラム(Elétricos de Lisboa)は1873年に運行を開始したリスボンの交通機関である。

リスボン市電
ロゴマーク
15系統専用の連接車
15系統専用の連接車
基本情報
ポルトガルの旗 ポルトガル
所在地 リスボン
種類 路面電車
開業 1901年
運営者 CCFLポルトガル語版
公式サイト CCFL公式ウェブサイト
詳細情報
総延長距離 12.2km
路線数 5路線
輸送人員 1,900万人(2008年)
軌間 900mm
電化方式 直流600V、架空電車線方式
テンプレートを表示

トラムを運営するCarris(Companhia Carris de Ferro de Lisboa = リスボン電気鉄道会社)は1872年9月18日に設立され、最初の馬車鉄道路線が1873年11月17日にSanta ApolóniaからSantosの間で運行を開始した[1]1901年8月31日には電車方式のトラムが初めて導入され、その後まもなく既存路線は全て電化された[1]。当初、車両は米国から輸入されていたが、1924年以降は地元で製造されるようになった[1]1960年以降、自動車交通の隆盛や地下鉄(リスボンメトロ)の開業に伴ってトラム路線を廃止し、バス路線に転換が行われた[1]。2015年現在、5路線・総延長48kmのトラム ネットワークが57両の車両によって運行されている[2]

路線規格

編集

軌間は900mmと特殊軌間であり[3]、国内にはかつてブラガ市電などがあったが既になく、現存するのはリンツ市電しかない。[4][5]  給電方式は架空電車線方式直流600V電化で直吊架線方式である。路線内の狭隘区間ではガントレットが使用されている。

運転系統

編集
 
2011年現在の路線図

最盛期には28系統存在したが大幅な路線縮小が行われ、現在運行されているのは6系統のみである。うち15系統は1995年より夜間を除いて連接車で運行されている。[6]

運賃

編集

2014年現在の運賃は次の通り[7]

使用車両

編集

改修車

編集
 
28系統で運用される改修車

1995年から1996年にかけて大規模な改修 (541-585号に改番された45両)がフォスロ・キーペドイツ語版によって行われた。車体は保安灯と開放デッキに折り戸を取り付けた程度であるが、主要機器についてはほぼ総入れ替えとなっている。[8]制御機器はキーペ製のインバーター制御、主電動機は出力33kWのものからスコダ製50kW[9]ブレーキクノール製で電磁吸着ブレーキ付き、台車MAN製となった。[10]集電装置についてもトロリーポールとともにZパンタグラフを取り付けている。費用は1輌あたり6,000万エスクードかかった。

更新車

編集

戦間期に製造された700番台の車両の内、軽度の更新(前照灯、保安灯、折り戸の取り付け等)を行った車両が、貸切や多客期の波動輸送用に存置された。しかしながらその後の連接車増備により726号723号が3、4号に改番され貸切専用車になった以外の車両は廃車となった。[11]改修車との見分けは従前の走行装置、尾灯、パンタグラフが未装備など容易である。

連接車

編集
 
506(2010年撮影)

DÜWAGジーメンスが設計し、CAFがライセンス生産した全長は24.02m、3車体連接車超低床電車で、メトロバレンシア4号線用を元に設計されたメーター軌間用低床車である。[12][13]1964年以来の新車となり、最高速度70km/h、2+2の座席配置で着席定員65人、定員は210人で501号から510号と附番された。

参考文献

編集
  1. ^ a b c d Carris History http://carris.transporteslisboa.pt/en/history/
  2. ^ Carris Daytime Service http://carris.transporteslisboa.pt/en/daylight-service-tram/
  3. ^ 五十畑弘『図説日本と世界の土木遺産』秀和システム、2017年、124頁。ISBN 978-4-7980-5223-6 
  4. ^ C.C.: “Eléctricos portugueses em museus estrangeiros” Público (Local: Lisboa) (1996.11.18): p.41
  5. ^ Walter KLAG: “Aŭstrio: Ĉarma fervojlinio” Monato 34:05(2013.05): p.20-21
  6. ^ "Electric back to the Castle" Morning Post ( 11/21/1997 ): p.7
  7. ^ http://carris.transporteslisboa.pt/en/fares/
  8. ^ Wolfgang Kaiser: Tourismus als Chance. Zur Lage der Straßenbahn in Lissabon, in: Straßenbahn-Magazin, Heft 9/2008, S. 14–21
  9. ^ CCFL公式 - 車両紹介 2016年5月13日閲覧
  10. ^ Christoph Groneck: Metros in Portugal. Schienennahverkehr in und um Lissabon und Porto. Robert Schwandl Verlag, Berlin 2008, ISBN 978-3-936573-20-6, S. 16
  11. ^ Lisboa Trams - Second generation trams 2016年5月13日閲覧
  12. ^ Christoph Groneck: Metros in Portugal. Schienennahverkehr in und um Lissabon und Porto. Robert Schwandl Verlag, Berlin 2008, ISBN 978-3-936573-20-6, S. 17
  13. ^ BRAZÃO, Carlos. (1995). "Nuevos Tranvias para Lisboa" (em Espanhol). Maquetren (35): 108, 109.