テロリスト監禁センター
テロリスト監禁センターは、エルサルバドルに存在する刑務所の一つ。主にギャングなどを収容する。日本では英語名の Terrorism Confinement Center (CECOT)をテロリスト拘禁センター、またはテロリスト収容センターとも訳されている。
設立の背景
編集2010年代、エルサルバドルはギャング(マラス)の活動が活発になった。特にマラ・サルバトルチャなどの強大なギャング勢力は抗争を繰り返し、多数の一般市民を巻き込みながら拡大したため、2015年の殺人発生率は世界でも最高水準に達した。2019年にエルサルバドル大統領に就任したナジブ・ブケレは、国内の治安維持を優先事項に掲げギャングをテロリストと呼び、超法規的な手法で摘発を推進した。たちまち既存の刑務所の収容人員は定員の3倍に達したため、2023年までに中部のテコルカに新しい刑務所、テロリスト監禁センターを設置。166ヘクタールの広大な敷地に4万人を収容、兵士600人と警察官250人が警備する施設を出現させた[1]。脱獄防止対策として、携帯電話の信号を遮断する通信機能抑止装置を導入。頑丈な鋼鉄の独房、周囲を囲う壁、19の監視塔、電気柵、パトロールエリアといった多重の防壁も作られた[2]。
待遇
編集刑務所の環境は劣悪で、雑居房は100人以上を収容することを前提としている。雑居房の中には洗面台とトイレは2か所ずつ、ベッドは金属製のものが80人分しか用意されておらずマットレスもシーツもない[3]。受刑者は丸刈りにされ、白いTシャツが与えられる。食事は抗争を避けるためにフォーク等の食器の使用は禁止され、プラスチックの容器から手づかみで食べるものとなっている[4][5]。社会復帰をさせないことが前提であり、矯正教育プログラムは存在していない。家族との面会を含め外部との接触は一切認められていない[6]。
脚注
編集- ^ “4万人収容の刑務所が誕生、中南米最大級 100人に1人逮捕の国で”. 朝日新聞DIGITAL (2023年3月22日). 2024年12月24日閲覧。
- ^ “地上の地獄──血まみれの土地に巨大刑務所開設、エルサルバドル”. ニューズウィーク (2023年3月3日). 2024年12月24日閲覧。
- ^ “ギャング2000人到着、「米州最大」刑務所に第2陣 エルサルバドル”. AFP (2023年3月16日). 2024年6月13日閲覧。
- ^ “ズラリと並んだギャング2000人がお引っ越し…収容人数4万の巨大刑務所 ナイフ・フォークはNGで食事は手づかみ”. FNN (2024年6月13日). 2024年6月13日閲覧。
- ^ “「受刑者はすべて殺人犯」ギャング4万人を収容 エルサルバドルの「巨大刑務所」の実態 食事はすべて手づかみ、運動時間は1日30分”. TBS (2024年12月22日). 2024年12月25日閲覧。
- ^ ““世界最恐”ギャング刑務所めぐり中米・エルサルバドルで抗議デモ 「息子を返してほしい」 強権的な治安対策 国民も分断”. TBS (2024年9月17日). 2024年12月25日閲覧。
座標: 北緯13度31分58.76秒 西経88度48分14.4秒 / 北緯13.5329889度 西経88.804000度