テルモトガ・マリティマ
テルモトガ(サーモトガ)・マリティマ(Thermotoga maritima)は、超好熱性の細菌である。
テルモトガ・マリティマ | |||||||||||||||||||||
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テルモトガ・マリティマのイラスト
細胞の両端の鞘構造に注目 | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Thermotoga maritima Stetter and Huber 1986 |
イタリアヴルカーノ島のレヴァンテ港付近の海底熱水帯より発見、1986年に記載された。増殖温度は55-90℃、最適増殖温度は80℃と非常に高い[1]。数少ない超好熱性の細菌の1つであり、その最初期に発見されたものである。2018年現在においても、Aquifex属に次ぐ増殖温度の高い細菌となっている。
グラム染色は陰性。形状は棒状で、サイズは長さ5μm、幅0.6μmほど[1]。細胞壁として1~2細胞を包むトガと呼ばれる独特の構造を持つ。これはテルモトガ門に広くみられ、両端ないしは片側に大きな隙間があり、まるで古代ローマのトガに見えることから名づけられた[1]。
代謝形態は発酵性で、嫌気性条件下セルロースやキシランなどの糖類を発酵して増殖する。発酵の結果水素を生成するが、水素濃度が高くなると増殖阻害が起こるため、硫黄存在下では水素は硫化水素の形で除去される。ただし、この過程からATPを得ることはできない。
全ゲノムは1999年に解読された。ゲノムサイズは約1.8Mbp、ORFは1877ヶ所。古細菌と共通する遺伝子が24%もあり、高温環境への適応に関係している可能性がある[2]。
脚注
編集- ^ a b c Robert Huber, et al. (1986). “Thermotoga maritima sp. nov. represents a new genus of unique extremely thermophilic eubacteria growing up to 90°C”. Archives of Microbiology 144 (4): 324–333. doi:10.1007/BF00409880.
- ^ Camilla L. Nesbo, et al. (2001). “Phylogenetic analyses of two "archaeal" genes in Thermotoga maritima reveal multiple transfers between Archaea and Bacteria”. Molecular Biology and Evolution 18 (3): 362–375. doi:10.1093/oxfordjournals.molbev.a003812. PMID 11230537.